レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年6月22日
- 登録日時
- 2022/01/20 16:32
- 更新日時
- 2022/01/25 13:15
- 管理番号
- 県立長野-21-215
- 質問
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日本の警察の始まりについて知りたい。近代警察の始まりと犯罪を取り締まる組織(人)の始まりについてそれぞれわかるといい。
- 回答
-
1.近代警察の始まりについて
・『国史大辞典5』国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館 1985【210.03/コク/5】p.25-27「警察制度」
p.26-27の草創期の警察制度について書かれている部分に以下の記述がある。
(前略)
廃藩置県後これらは大幅に改革され、兵隊の秩序維持は廃止。刑部省・弾正台に代わり司法省を新
設、司法警察一元化の機運が見えた。 (中略) 東京では同[明治]四年十月西郷隆盛と川路利良の手
で、刀剣を持たず棍棒で秩序維持にあたる邏卒三千人の取締組が創設された。同じ時の府県管制、
十一月の県治条例で府県の聴訟課・警察規則・地方邏卒・捕亡吏・番人などが統一された。同五年
八月司法卿江藤新平は司法省警保寮により全国警察の統合をはかり、東京府邏卒も移管した。
(後略)
・『警察制度百年史』警察制度調査会編 警察制度調査会 1974【317.7/51】
p.41-42の「あらすじ」に近代警察制度初期の頃の概要がまとめられている。
また、詳細については以下のページに記述がある。
p.39-47 近代の警察
p.49-59 近代警察の夜明け
p.61-68 近代警察の成立
2.警察的な犯罪を取り締まる組織(人)の始まり
何を警察の始まりととらえるかが文献により異なることを伝えたうえで以下の資料を紹介した。
・『国史大辞典 5』p.25-27「警察制度」(前掲)
p.25-26に徳川幕藩体制下での警察について以下の記述があるが、これが警察制度の始まりであるかに関しては明記がない。
少数の下級武士が警察を担当、情報収集の目明しなどは町人・百姓が補助し、五人組など町村共同体
を基礎とする組織が連帯責任の拘束で犯罪予防・告発・犯人逮捕に協力した。
・『日本大百科全書8』小学館1986【031/ニホ/8】
p.60-63「警察 近代的警察概念の成立」
司法警察(罰を決定する)と行政警察(犯人の逮捕などを行う)の分離について説明されている部分に以下の記述がある。
国民生活の安全および社会秩序の維持を目的とする行政の手段としては、古代とくに816年(弘仁7)
ころに検非違使[けびいし]庁が創設されて以来明治維新に至るまでの間は、主として犯人の追捕と
糾弾の方法によっていた。
また、検非違使については同書p.246-247に説明がある。
・『警察制度百年史』【前掲】
近代以降の警察制度について詳しくまとめられている資料。
「おおむかしの警察」p.13-37にそれ以前の警察制度についてまとめられており、「検非違使」以前の時代のことについても触れている。
・『日本警察史』山元一雄著 松華堂書店 1934
【国立国会図書館デジタルコレクション 永続的識別子:info:ndljp/pid/1876408】[最終確認日 2022/1/20]
第一編上古警察制度p.1-8(20-24コマ目)では大化の改新以前の政治制度と警察権の行使についてまとめられている。
国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能だが、図書館送信参加館のみの公開となっている。
- 回答プロセス
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1.概要を把握する
『日本大百科全書8』、『世界百科事典 8』、『国史大辞典5』を引き、回答の記述を得た。
2.詳細についてかかれた資料を探す
(1)レファレンス協同データベースで「大正から昭和初期の警察官の階級制度はどのようなものであったかわかる資料を見たい。(大阪府立中央図書館)」[最終確認日 2022/1/20]掲載の資料で当館に所蔵のあるもの、国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できるものを確認した。
(2)警察関係の資料が含まれる行政の分類317の書架を参照し、回答の図書を得た。
<その他調査資料>
・『図説江戸の司法警察事典』笹間良彦著 柏書房 1980【322.15/サヨ】
・『江戸の町奉行 (歴史文化ライブラリー)』南和男著 吉川弘文館 2005【322.15/ミカ】
・『検非違使を中心としたる平安時代の警察状態』谷森饒男著 柏書房 1980【317.7/104】
明治から大正時代に書かれたものをまとめた論集になります。論文自体は文語体で書かれている。
・『日本近代国家の成立と警察 (歴史科学叢書)』大日方純夫著 校倉書房 1992【317.7/スミ】
・『日本警察史の研究 :制度・法制・事件』黒田重雄著 令文社 1963【国立国会図書館デジタルコレクション 永続的識別子:info:ndljp/pid/2981371】[最終確認日 2022/1/20]
- 事前調査事項
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犯罪を取り締まる組織(人)については、警察の前進の組織が江戸時代にはあったと聞いたことがある気がするとのこと。
- NDC
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- 行政 (317)
- 参考資料
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国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第5巻 (けーこほ). 吉川弘文館, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001708653-00 , ISBN 4642005056 -
警察制度調査会編 , 警察制度調査会. 警察制度百年史. 警察制度調査会, 1975.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I002766879-00 -
日本大百科全書 8 (けーこうの). 小学館, 1986.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001785427-00 , ISBN 4095260084 -
山元一雄 著 , 山元, 一雄, 1897-. 日本警察史. 松華堂書店, 1934.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000768093-00
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国史大辞典編集委員会 編. 国史大辞典 第5巻 (けーこほ). 吉川弘文館, 1985.
- キーワード
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- 警察--日本--歴史
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000310974