レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年02月11日
- 登録日時
- 2023/02/11 14:55
- 更新日時
- 2023/03/07 19:34
- 管理番号
- 中央-郷-2022-0008
- 質問
-
解決
第二次世界大戦末期に広島市に存在した日本製鋼所西蟹屋工場(現在の南区)について、いつ頃できて、その後原爆による被害はどうだったのか、そして戦後どのようになっていったのか、現在はその場所になにがあるのかが知りたい。
- 回答
-
工場がいつ頃できたかについて、資料④⑥⑧に記載がありました。
原爆による被害については、資料②、③に記載がありました。
戦後どのようになっていったのかについては、資料⑧に記載がありました。
現在何があるのかについては、資料⑩に記載がありました。
具体的な住所については、資料⑤、⑧、⑨に記載がありました。
- 回答プロセス
-
1.『広島原爆戦災誌』を確認したところ、以下の記載が見つかりました。
①『広島原爆戦災誌 第3巻』 広島市/編 広島市 1971年
p.579~583「株式会社 日本製鋼所広島製作所」
p.583「さらに一般市民のために、西蟹屋町の第十一機械工場を中間治療及び収容施設にあて・・・」の記載がありました。
②『広島原爆戦災誌 第4巻』 広島市/編 広島市 1971年
p.419「第一五項 広島市立第一高等女学校 三、学徒動員状況」に「日本製鋼広島工場(事業の区別)
/西蟹屋町(所在地)/当日電休日(教職員)/小銃弾の製造(作業内容)/関西工作所も日本製鋼所当日は電休日のため、工場は休業であった。しかし生徒の中で当番の者数人が出勤した。途中一人が死亡。(備考)」の記載がありました。
p.424に「…大正橋を渡ると、日本製鋼所広島工場(もと日本綿花紡績工場)があり、市立高等女学校の生徒三、四、五年全員が、その工場に動員され、…」の記載がありました。
2.広島平和記念資料館平和データベースを「日本製鋼所」「西蟹屋」のキーワードで検索したところ、以下の写真が見つかりました。
③「日本製鋼所広島分工場内部 西蟹屋町」
https://hpmm-db.jp/(2023/2/1最終確認)
3.県史を確認したところ、以下の記載が見つかりました。
④『広島県史 別編 1 年表』 広島県/編 広島県 1984年
p.676「1945(昭和20)〔乙酉〕」に「日本製鋼所広島製作所、広島市西蟹屋町の東洋紡績広島工場を
買収し、分工場として一部操業を開始。」の記載がありました。
4.④から国立国会デジタルコレクションで「東洋紡績」「広島工場」のキーワードで検索したところ、以下の資料がみつかりました。
⑤『全国工場通覧 昭和16年版』 商工省/編 日刊工業新聞社 1941年
p.1712「紡織工業 紡績業【スフ糸紡績】」に「東洋紡績株式会社廣島工場 廣島市西蟹屋町三〇〇 〔創〕明三五年八 スフ 〔品〕糸 〔代〕加藤俊」の記載がありました。
info:ndljp/pid/8312074(最終確認2023/2/1)
⑥『東洋紡績七十年史』東洋紡績株式会社「東洋紡績七十年史」編修委員会〔編〕 東洋紡績 1953年
p.670「広島工場」に「広島市西蟹屋町」「昭和十七年三月十七日 工場敷地及び建物等を売却す」の記載がありました。
info:ndljp/pid/2465460(最終確認2023/2/1)
5.書棚を確認したところ、以下の資料が見つかりました。
⑦『広島新史 行政編』 広島市/編 広島市 1983年
p.22「消防組織」に「広島の消防署…東消防署は、西蟹屋町の日本製鋼所分工場(もと東洋紡績)を仮消防署とし…」の記載がありました。
⑧『ヒロシマの被爆建造物は語る』 被爆建造物調査研究会/編 広島平和記念資料館 1996年
p.176「日本製鋼所広島分工場」に「所在地(旧町名) 南区西蟹屋四丁目1番(西蟹屋)/竣工時期 1896(明29)年頃/解体等の時期 不詳…」「…1942年3月日本製鋼所に売却、その分工場(第11機械工場)に転用された。…レンガの工場は、戦後もしばらく利用されたと推定されるが、その状況や取り壊し時期はよく分からない」の記載がありました。
6.当館所蔵の地図を確認したところ、以下の記載がありました。
⑨『最新広島市街地図 昭和15年8月版』 金正堂書店/〔編〕 金正堂書店 1940年
西蟹屋町の大正橋付近に「東洋紡績」の記載がありました。資料②④~⑦からこちらが西蟹屋の工場だと思われます。
⑩ゼンリン住宅地図広島市《南区》 2022』 ゼンリン/〔編〕 ゼンリン 2022年
p9「西蟹屋四丁目1」は現在、ケーズデンキ広島本店となっています。
⑪『弘文の戸別記入詳細地図広島市 〔昭和36〕』 弘文社/編 弘文社 1961年
p.64「西蟹屋町300」に「日本通運倉庫」等の記載がありました。
以下の資料では確認できませんでした。
・『広島原爆戦災誌 第2巻』 広島市/編 広島市 1971年
西蟹屋町の被爆前後の状況について記載がありましたが、日本製鋼所西蟹屋工場についての記載はありませんでした。
・『広島の想い出』 あき書房/編,金正堂書店/編,新時代新聞社/編 あき書房 2014年
・『最新大広島市街地図 1:15,000』 広文館/編 広文館 1940年
・『大日本職業別明細図大広島市 第3版』 復刻版 あき書房 2011年
・『都市の復興 広島被爆40年史』広島都市生活研究会/編 広島市企画調整局 1985年
・『船越町史』 広島市役所/編 広島市役所 1981年
p.319~「5 日本製鋼所広島工場」を確認しましたが、西蟹屋の工場についての記載は見つかりませんでした。
・『広島県主要工場要覧 第1号』 広島県商工部/〔編〕 広島県商工部 1950年
・『生徒動員日誌 〔翻刻〕』 生徒動員日誌刊行会/監修 広島高等学校同窓会 1998年
・『瀬戸内の基地軍需工場』 堀 義人/編著 広島共同印刷(印刷) 1985年
p110~121「2日本製鋼所広島製作所」を確認しましたが、西蟹屋の工場についての記載は見つかりませんでした。
・『日本製鋼所百年史』 日本製鋼所社史編纂委員会/編纂 日本製鋼所 2008年
広島製作所についての記載や年表を確認しましたが、西蟹屋の工場についての記載は見つかりませんでした。
・『日本製鋼所社史資料 上』 日本製鋼所/〔編〕 日本製鋼所 1968年
・『日本製鋼所社史資料 下』 日本製鋼所/〔編〕 日本製鋼所 1968年
広島製作所についての記載や年表を確認しましたが、西蟹屋の工場についての記載は見つかりませんでした。
- 事前調査事項
- NDC
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- 中国地方 (217 9版)
- 建築学 (520 9版)
- 参考資料
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広島市/編. 広島原爆戦災誌 第3巻. 広島市, 1971.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I020082602-00 -
広島市/編. 広島原爆戦災誌 第4巻. 広島市, 1971.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I020082603-00 -
広島県 編 , 広島県. 広島県史 別編 1. 広島県, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I082066910-00 -
広島市 編 , 広島市. 広島新史 行政編. 広島市, 1983.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001662271-00 -
被爆建造物調査研究会 編 , 被爆建造物調査研究会. ヒロシマの被爆建造物は語る : 被爆50周年. 広島平和記念資料館, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I082791150-00 -
金正堂書店〔編〕 , 金正堂書店〔編〕. 最新広島市街地図 昭和15年8月版. 金正堂書店, 1940.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I113296917-00 -
弘文社 編 , 弘文社. 弘文の戸別記入詳細地図広島市 〔昭和36〕 改訂新版. 弘文社, 1961.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I096777351-00
-
広島市/編. 広島原爆戦災誌 第3巻. 広島市, 1971.
- キーワード
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- 日本製鋼所
- 被爆建物
- 西蟹屋
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000328833