レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年09月30日
- 登録日時
- 2019/03/22 11:42
- 更新日時
- 2019/03/22 11:42
- 管理番号
- 相-180012
- 質問
-
未解決
俵屋宗達と尾形光琳それぞれの「松島図屏風」について。ここには金雲と言われる日本絵画独得と思われる表現が入っていますが、この金雲という表現様式はいつその表現が始まり、絵の中でどのような役を働らかせようとしたものなのか、詳しく説明している資料を紹介して下さい。
- 回答
-
「金雲」について詳しく説明している当館所蔵の資料を見つけることはできませんでしたが、ご参考として、次の資料をご紹介しました。
・武田恒夫『近世初期障屏画の研究』大阪大学 1983 博士論文
大阪大学の機関リポジトリに要旨があり、そちらの要旨には「本格的な金碧障扉画が成立した事情を述べ,ついで,その金碧画面構成,とくに金雲と金地を指標とすることによって,それがいかに多様な展開をとげたかを,具体的に論じる。」とあり、論文の審査結果の要旨には「とくに重要な問題は画面構成上における金雲と金地との差異,および表現手法における金雲から金地への推移であるが,それらが現存作品に即して余すところなく論じられている。すなわち,金雲は画面上の中心的なモチーフを強調するために不必要な部分を遮蔽し,さらに画中において前後する時間や遠く隔てられた空間をあらわす働きをする。」との記述があります。
(https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/33709/)
・『説話論集 第八集』説話と説話文学の会編 清文堂出版 1998
p.369~417「デンバー美術館本「いそざき」絵巻について」若杉準治著のp.389に「金雲は大画面(障屏画)の山水画や景物画に装飾性と遠近を意識して用いられ、また物語絵の複数の場面を区分する目的で使用されることもあった。」等の記述があります。
・『原色日本の美術 第14巻 宗達と光琳』山根有三著 小学館 1969
p.32「15~17松島図」の項では「(略)十二世紀後半の『平家納経』の装飾から宗達が学んだと思われる。」との記述があります。
・『金と銀 かがやきの日本美術』東京国立博物館編 東京国立博物館 1999
p.9~24「テーマ解説」のp.21「五 さまざまな表現」において、「(略)中世の大和絵屏風には、総金地の(略)金銀の加飾に富んだ多様な作例があり」、「宗達は、金の持つ抽象性と意匠化の力を用い、金地を素地のように意識して用いることで無限定な空間の広がりを獲得」との記述があります。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 芸術史.美術史 (702 9版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000253527