レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/07/19
- 登録日時
- 2020/09/16 00:30
- 更新日時
- 2020/09/16 00:30
- 管理番号
- 6001045249
- 質問
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解決
マルグリット・ド・ナヴァルについて書かれた資料を見たい。その著作『罪深き魂の鏡』の翻訳や研究もあれば見たい。
- 回答
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1)マルグリット・ド・ナヴァルについて
■人物について
下記の資料によると、マルグリット・ド・ナヴァルは次のような人物として紹介されている。
マルグリット・ド・ナヴァル Marguerite de Navarre 1492.4.11-1549.12.21
フランスのナヴァールの王妃で、文筆家。フランス国王フランソワ1世の姉。1509年、アランソン公シャルルと結婚、夫の没後、1527年にナヴァール王アンリ・ダルブレと再婚。二人の間に生まれた娘のジャンヌ・ダルブレは後の国王アンリ4世の母。1515年弟が国王に即位すると、宮廷の中心人物となり、弟を補佐。フランス・ルネサンスおよび宗教改革の庇護者として、カルヴァンやルフェーヴル・デタープルらを保護した。自らも神秘的な詩や物語を書き、ボッカッチョの『デカメロン』にならった小話集『エプタメロン』を著した。
(図書)
・『世界日本キリスト教文学事典』(遠藤祐/[ほか]責任編集 教文館 1994.3)
p593 マルグリット・ド・ナヴァール
・『新カトリック大事典 4 ハク-ワン』(上智学院新カトリック大事典編纂委員会/編 研究社 2009.4)
p839 マルグリット・ド・ナヴァール
・『岩波世界人名大辞典 第2分冊 ト〜ン 付録・索引』(岩波書店辞典編集部/編 岩波書店 2013.12)
p2784 マルグリット・ド・ナヴァール 別名:M. d'Angoulême
・『ルネサンス人物列伝』(ロバート・デイヴィス/著 悠書館 2012.7)
p222-224 マルグリット・ド・ナヴァル:詩人にして文芸保護者の王妃 1492~1549年
p223 フランソワ・クルーエの素描によるマルグリット・ド・ナヴァル(1540年頃)の肖像画あり(カラー)
・『戦国明暗二人妃』(渡辺一夫/著 中央公論社 1977)
p11-171 「巷説・逆臣と公妃」
フランスの軍人シャルル・ド・ブルボンとマルグリット・ド・ナヴァルについての歴史読物。巻末に舞台になった時代の略年表、索引あり。
・『フランス文学史 第3巻 (創元選書)』(ベディエ,アザアル/共編 辰野隆, 鈴木信太郎/監修 創元社 1943)
国立国会図書館/図書館送信参加館内公開 書誌ID:000000690550 131コマ-142コマ
p237-258 武者小路実光訳「第三章 マルグリット・ド・ナヴァル、コントの作者とロマンの作者」第一節 ナヴァル女王・マルグリット
(雑誌記事)
・安斎和雄「女性を通して見たフランス史(7)マルグリット・ド・ナヴァール」『ふらんす』42(7)(白水社 1967.7)p8-14
■翻訳著作
解説やあとがきなどに、マルグリット・ド・ナヴァルの伝記的記述もある。
・『エプタメロン : ナヴァール王妃の七日物語』([マルグリット・ド・ナヴァール/著] 平野威馬雄/[編]訳 誠文図書 1982.11)
全巻遂字訳。p324-351 あとがき
・『エプタメロン : ナヴァール王妃の七日物語 (ちくま文庫)』([マルグリット・ド・ナヴァール/著] 平野威馬雄/訳 筑摩書房 1995.3)
前述書の文庫版。p322-347 あとがき p349-354解説「コキュ文学の可能性」(鹿島茂)
・『世界文学全集 古典篇第17巻 マルグリット篇』(マルグリット/[著] 河出書房 1953)
p1-381「エプタメロン(七日物語)」p383-393 註 p395-404 訳者解説
・『フランス・ルネサンス文学集 2 笑いと涙と』(宮下志朗/編訳 白水社 2016.3)
p445-459「シャンソン・スピリチュエル」(抄) (マルグリット・ド・ナヴァール/著 篠田勝英/訳)
p446解題
2)『罪深き魂の鏡』の翻訳・研究について
関連資料を調査したが、『罪深き魂の鏡』は日本語訳されていないようで、作品研究も見つからなかった。マルグリット・ド・ナヴァルについての資料や、代表作『エプタメロン』の日本語翻訳本の解説などで、著作として触れられることがあるが、内容についてはほとんど言及されていない。一部紹介する。
1)で紹介した資料に、次のような記述あり。
・『世界文学全集 古典篇第17巻 マルグリット篇』(マルグリット/[著] 河出書房 1953)
訳者解説で、マルグリット・ド・ナヴァルの生涯の解説中、p397 1521年の部分。
「彼女が己れの魂の苦悩を叙した詩集『罪業ふかき魂の鏡』( “Le Miroir de l'âme pécheresse”)を制作したのはこの頃らしい。やがて、これらの人たちにたいするソルボンヌの迫害が始まり、彼女は迫害を受ける人達を救うため全力をつくすことになる。彼らにたいする彼女の援助のため彼女に根を持ったソルボンヌは彼女の『罪業ふかき魂の鏡』を禁書目録中に加えた。これはフランソワ一世の干渉によって取り消されたが、彼女は迫害される改革論者たちへの援助の手を弛めなかった。」
・『ルネサンス人物列伝』(ロバート・デイヴィス/著 悠書館 2012.7)
p224 「・・・1531年、『罪深い魂の鏡』を出版した。この敬虔で死にとりつかれた詩作品は、彼女の宗教改革者的心情を披瀝するもので、保守的な神学者たちの怒りを招いた。」
次の資料では、英国エリザベス朝における罪のあり方についての章で、『罪深き魂の鏡』(Miroir de l'âme pécheresse)についても論じている。
・『地球の子供たち:人間はみな<きょうだい>か?』(マーク・シェル/[著] 荒木正純・村山敏勝/共訳 みすず書房 2002.12)
「4〈聖母の眠り〉から〈国家〉へ――または、イングランドの罪深き魂」(p102-171)の内、「ナバラの王妃マルグリート」の項では、『罪深き魂の鏡』の内容についても少し触れられている。
また、同章内の「罪深き魂の鏡」の項では、のちのイングランド女王・エリザベス一世が、1544年11歳の時に、『罪深き魂の鏡』(Miroir de l'âme pécheresse)を原書から『The glass of the Sinful Soul』と題して英訳した経緯について記載している。
日本語訳ではないが、上記資料の著者であるマーク・シェルによって、エリザベス一世による英訳本の研究書が刊行されており、日本でも複数の大学図書館で所蔵あり。
・『Elizabeth's glass : with "The glass of the Sinful Soul" (1544) by Elizabeth I, and "Epistle dedicatory" & "Conclusion" (1548) by John Bale』(Marc Shell University of Nebraska Press c1993)
※CiNii Books:『Elizabeth's glass』(2020/7/19現在)
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA20624206
[事例作成日:2020年7月19日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- ヨーロッパ (283 10版)
- 詩 (951 10版)
- フランス文学 (950 10版)
- 参考資料
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- 世界日本キリスト教文学事典 遠藤/祐∥[ほか]責任編集 教文館 1994.3 (593)
- 新カトリック大事典 4 上智学院新カトリック大事典編纂委員会∥編 研究社 2009.4 (839)
- 岩波世界人名大辞典 第2分冊 岩波書店辞典編集部‖編 岩波書店 2013.12 (2784)
- ルネサンス人物列伝 ロバート・デイヴィス∥著 悠書館 2012.7 (222-224)
- 戦国明暗二人妃 渡辺/一夫∥著 中央公論社 1977 (11-171)
- ふらんす 白水社 42(7-12) (42(7):8-14)
- エプタメロン [マルグリット・ド・ナヴァール∥著] 誠文図書 1982.11
- エプタメロン [マルグリット・ド・ナヴァール∥著] 筑摩書房 1995.3
- 世界文学全集 古典篇第17巻 河出書房 1953
- フランス・ルネサンス文学集 2 宮下/志朗‖編訳 白水社 2016.3 (445-459)
- 地球の子供たち マーク・シェル∥[著] みすず書房 2002.12 (102-171)
- https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA20624206 (CiNii Books:『Elizabeth's glass』(2020/7/19現在))
- キーワード
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- マルグリット・ダングレーム(マルグリットダングレーム)
- フランス・ルネサンス(フランスルネサンス)
- 宗教改革(しゅうきょうかいかく)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 出版情報,人物・団体
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000287192