レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007/10/31
- 登録日時
- 2008/01/31 02:12
- 更新日時
- 2009/11/20 14:41
- 管理番号
- 埼熊-2007-081
- 質問
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解決
『幽嶂閑話』(林有章 1935)の「47 荒川流域の変遷と利根川落口の変更」p188の記述にある「二本榎」は現在のどこになるのか。地図等で確認できる資料はあるか。
- 回答
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『幽嶂閑話』(1935年刊)の村岡河原の合戦場「二本榎」は、下記の資料の記述および略図により「熊谷市榎町」と考えられるが、史料により諸説あり。詳細は以下の資料を紹介する。
『新編武蔵風土記稿 [第3期] 第11巻』(雄山閣)
p107〈村岡村〉に「永禄12年(1439)の頃の村岡河原合戦のこと、その地は後年荒川の瀬替りて今対岸熊谷宿の内字五本榎と唱る地」とある。
『熊谷の地名と旧跡』(熊谷市立図書館 1993)
p15の新編武蔵風土記稿に地名「石原村 五本榎」があり、p65の熊谷石原の地図に「榎町」がある。
『熊谷市史 通史編』(熊谷市 1984)
p138-139に「10世紀に入ると(中略)話が「今昔物語」に載っている。これが「村岡河原合戦」の最初のものである。」との記述および「五本榎の合戦場」と補記された地図(略図)あり。
p175の戦国時代の項には「1439年には本市内の村岡河原でも合戦があった。」と記述あり。
『新編埼玉県史 通史編2』
p376に、永禄12年(1440)に村岡河原(熊谷市村岡)で合戦があった記述および合戦図が掲載されている。
『熊谷市郷土文化会誌 37号 (昭和57年11月号)』p49-64「村岡河原の伝説と合戦」の項に「これらの戦場記録よりみる村岡とは(中略)昔の伝説には二本榎の言葉もあり、五本榎ともいう。昭和の初めのころ競馬場の西に大きな榎が一本残りこれを二本榎と言っていた。・・・この地名の処は清水窪か見晴町附近と思う。」という記述と地図(略図)あり。
『熊谷郷土会誌 第1~7号 (昭和11-17年刊の合本複製)』(国書刊行会)
第3号のp73-74「五本榎合戦と河原松山」の項
p74に「五本榎は古く石原の小字名(中略)昔の村岡河原合戦というは今の熊谷駅の南にあらず駅西なる五本榎と伝ふ・・・(新編武蔵風土記稿)、即ち字五本榎は小字中河原を中心とした小字腰巻あたりと思ふ。」と記述あり。
『熊谷市郷土文化会誌 48号 (平成5年11月号)』
p22「榎」(えのき)の項に、昭和17年12月1日の区画整理に伴う町名変更による「榎町」に関する記述が次のようにある。
〈一本榎〉「現在は伐採され、荒川の河川敷・・・(後略)」
〈二本榎〉「現、榎木町260番地付近に2本の榎の大木がある。(後略)」
〈五本榎〉「現、榎町内説と石原地内説と2説がある。〈榎町-五本榎の戦場跡〉荒川大橋の上流200メートルの地域一帯は、昔広々とした河原であった。当時この地に合戦があったので58年11月6日に植樹、南小学校校庭北東隅・榎木町260番地・南小学校東門桜堤に生育している。」
なお、個人のWebサイトから、熊谷南小学校には「五本榎の合戦場の案内板」があることがわかる。
- 回答プロセス
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『幽嶂閑話』(1935)p188の記述を確認する。「新編武蔵風土記に載っている昔の「村岡河原の合戦」というのは熊谷の南に位置する現在の村岡ではなく、西の方「二本榎」の辺であった」とあることから、典拠史料にあたる。
『新編武蔵風土記稿 [第3期] 第11巻』(雄山閣)p107の記述には、「永禄12年(1439)頃の「村岡河原合戦」の地は熊谷宿の内「五本榎」と唱る地」とあり。
郷土資料で熊谷市関係やの村岡河原の合戦を探索する。
『熊谷郷土会誌 3号 (昭和13年)』p74に「昔の村岡河原合戦というは今の熊谷駅の南にあらず駅西なる五本榎と伝ふ・・・(新編武蔵風土記稿より)」等の記述や合戦図(略図)がいくつか見つかる。
『熊谷市郷土文化会誌 37号(昭和57年11月号)』p49-64「戦場の村岡とは(中略)昔の伝説には二本榎の言葉もあり、五本榎ともいう・・・」
以上、五本榎の合戦とも称されることから、〈石原村五本榎木〉〈熊谷市榎町〉関連を調べる。史料により様々な説があることから、参考となる資料紹介とした。
他に個人の運営サイトで《村岡河原合戦場》のWeb情報があり、「五本榎の合戦場の案内版」等の情報がある。(http://www.kit.hi-ho.ne.jp/nagae/muraokagawara.html 2008/01/30最終確認)
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 関東地方 (213 9版)
- 貴重書.郷土資料.その他の特別コレクション (090 9版)
- 参考資料
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- 『幽嶂閑話』(林有章 1935)
- 『新編武蔵風土記稿 [第3期] 第11巻』(雄山閣)
- 『熊谷の地名と旧跡』
- 『熊谷市史 通史編』
- 『新編埼玉県史 通史編2』
- 『熊谷市郷土文化会誌 37号 (昭和57年11月号)』
- 『熊谷郷土会誌 第1-7号 (昭和11-17年刊の合本複製)』(国書刊行会)
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『熊谷市郷土文化会誌 48号 (平成5年11月号)』
- キーワード
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- 地誌-武蔵国
- 二本榎-熊谷市-埼玉県
- 地名
- 郷土資料
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 定番事例-参考資料-新編埼玉県史-解決
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000041451