レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年01月05日
- 登録日時
- 2023/11/22 18:41
- 更新日時
- 2023/11/24 11:57
- 管理番号
- 相橋-R5-36
- 質問
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解決
江戸時代、旅人が亡くなった場合、宿場は国元の家族にその死を知らせたのか知りたい。
- 回答
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身分証明と旅の目的が記載された「往来手形」の最後に「病死したときにはそちらで処置していただきたい旨と、連絡をお願いする」と書くのが慣例だったが、当時の示達(じたつ:官庁から国民に対し通知する文書)や書状・記録によれば、旅人病人は投薬介抱や宿送り(しゅくおくり:宿駅から宿駅へと順に送ること)し、死去の際は出身地に連絡したことが記載されている。(②③より)
路上の無縁仏のために供養塔を建てられていた記録もある。(③より)
- 回答プロセス
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検索エンジンGoogle(http://www.google.co.jp/ 2023/01/17 最終確認)にて、
キーワード“江戸時代の客 死の扱い”で検索したところ、以下の資料が見つかった。
Yahoo知恵袋(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1294216302 2023/01/17 最終確認)に 「江戸時代は、旅籠で死ぬような客死というのも多かったのでしょうか?」という質問があり、その回答に「往来手形」に「道中で死亡した時の死後処理について」書かれているとのこと。
市内蔵書検索システムにてキーワード“往来手形”で検索したところ、以下の資料が見つかった。
①『はじめての古文書教室』 (自館請求記号:210.029)
p161 「第10章 道中―往来手形「往来証文之事」享和三亥年正月」の項に、往来手形についての記載あり。
p162-163 「第10章」に、実物の往来手形の写真あり。
p170 「第10章」に「もし病気になったりまたは死亡したときは、そちらで処置してください」と現代訳あり。
p171 「第10章」に「さらに飛脚を立てて連絡する必要はありません。都合のよい便がありましたらお知らせください」と現代訳あり。
市内蔵書検索システムにてキーワード“江戸 手形”で検索したところ、以下の資料が見つかった。
②『江戸庶民の旅 (平凡社新書 148)』 (自館請求記号:S384.37)
p75-77 「第一章 庶民の旅 病死した旅人」の項に、往来手形について①同様の内容あり。
当時の示達や書状の内容によると、旅人の扱いは親身で、「何日も旅籠で家族同様の看病をして無事帰国させた例もあるし、死亡した場合は、亡くなる前の状況や、埋葬した寺などを事細かに書いて、死者の家族に知らせるのが普通だった。」と記載あり。
②から、“交易・交通・旅行(384.37)”の書架を確認したところ、以下の資料が見つかった。
③『江戸の旅人たち』 (自館請求記号:384.37)
p199-201 「旅と病い・死・性 病人・行き倒れの処遇」の項に、往来手形について①②同様の内容あり。
元禄時代には「幕府は元禄元年(一六八八)十月に病人旅人の投薬介抱や宿送りを宿駅へ命じている(『徳川禁令考』前集六)。」との記載あり。
「松本藩の大庄屋記録をみると、巡礼死去の際には身元がわかれば出身地へ連絡し、身元不明の場合は領主の許可をえて埋葬している(『信州塩尻赤羽家元禄大庄屋記録』)。」との記載あり。路上の無縁仏のためには供養塔を建てられていた記録もある。
④『江戸の旅と交通』(自館請求記号:384.37)
p58 「旅支度の用品類」の項に、「往来手形 庶民が旅をするときに必要なもので町・村役人や寺が発行した。旅行先や旅の目的が記されている。」との記載と、「往来手形」の写真あり。
⑤『江戸の旅人』(自館請求記号:384.37)
p9-12 「往来手形と旅の心得」の項に、「往来手形」と当時の旅についての説明あり。
該当なし
⑥『江戸の旅文化 (岩波新書 新赤版 884)』(自館請求記号:S384.37)
⑦『庶民の旅』(自館請求記号:384.37)
⑧『ニッポンの旅 江戸達人と歩く東海道』(自館請求記号:384.37)
⑨『旅の風俗史』(自館請求記号:384.37)
⑩『“きよのさん”と歩く江戸六百里』(自館請求記号:384.37)
- 事前調査事項
- NDC
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- 社会.家庭生活の習俗 (384)
- 日本史 (210)
- 参考資料
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天野清文, 実松幸男著 , 天野, 清文 , 実松, 幸男 , 林, 英夫. はじめての古文書教室. 天野出版工房, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I002412289-00 , ISBN 9784642079464 -
金森敦子著 , 金森, 敦子. 江戸庶民の旅 : 旅のかたち・関所と女. 平凡社, 2002. (平凡社新書, 148)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I006562811-00 , ISBN 4582851487 -
深井甚三 著 , 深井, 甚三, 1949-. 江戸の旅人たち. 吉川弘文館, 1997. (歴史文化ライブラリー ; 9)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002584596-00 , ISBN 464205409X
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天野清文, 実松幸男著 , 天野, 清文 , 実松, 幸男 , 林, 英夫. はじめての古文書教室. 天野出版工房, 2005.
- キーワード
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- 江戸
- 手形
- 往来手形
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000341375