以下の資料に関連記述を確認しました。
・『とちぎ20世紀 下巻』(下野新聞「とちぎ20世紀」取材班/編 下野新聞社 2001)
p.12-17「不遇の文学者 江口渙」
・『文学碑の旅 栃木県 下』(寺内恒夫/著 落合書店 1989)
「二、那須南部地区 烏山町」に「吾子としも 江口渙歌碑(愛宕公園)」の項があります。(p.66-69)
p.66「”大正・昭和の文学史上大きな足跡を残した江口渙を敬慕する人々の発議により、全国各地の方々の協力と、烏山町有志の厚意を得て、江口渙を永く顕彰するために”昭和五十三年四月、「江口渙文学碑をつくる会」が建立したものである。」との記述があります。
また次の下野新聞記事から、旧烏山町を中心に発行されていたコミュニティー紙「那南タイムス」の発行者杉山幸一氏が、過去に江口渙の文芸講演会を行ったことがあるとの記述を確認しました。
・2017年1月8日24面「旧烏山町で発行のコミュニティー紙/東京の弁理士・日比さん/那南タイムス復刻へ/発行者調査が契機に」
記事は、「那南タイムス」及び「杉山幸一氏」に関するものですが、杉山氏の活動紹介として、文中に「地元在住の作家江口渙や流行作家による講演会などを行った。」と記されています。
この記述を元に、当館で所蔵する杉山氏の著作をお調べしましたが、関連情報は確認できませんでした。
・『僕の烏山地図』 (杉山幸一/著 那南タイムス社 1957)
※目次、索引はなく、調査は職員の目視による見出しの確認のみで、本文の精読は行っておりません。
このほか、近年県内で発表された論文は次のものがあります。
・下田太郎/著「年表から辿るGHQ検閲期の江口渙作品」
(『氏家喜連川歴史と文化 第14号』氏家喜連川歴史文化研究会 2015 所収)
・下田太郎/著「人的ネットワークとメディアの利活用-江口渙宛石井友幸書簡から-」
(『氏家喜連川歴史と文化 第17号』氏家喜連川歴史文化研究会 2018 所収)
下田氏の研究活動については、下野新聞で次の記事を確認しました。
・2015年2月26日21面「多喜二の最期伝える書簡/旧烏山の江口渙宅で発見/監房内部、死の前後明らかに/小樽文学館(北海道)が公開」
記事は、見出どおり小林多喜二の新発見資料に関するものですが、下田氏の研究活動として、文中に「終戦直後のメディア史を研究する下田太郎さんは、昨年夏から江口渙の記録文学「虚無の花」の調査研究に取り組んでいる。調査の一環で昨年11月、江口の旧宅で遺族の許可を得て書簡や雑誌類の整理をした。」と記されています。