以下の資料が参考になります。
●『日本伝奇伝説大事典』(乾克己/[ほか]編 角川書店 1986.10)p213-214
「鬼」の項目に「羅刹に代表されるような仏教界の悪鬼への想像や、現世に時として起きる凶暴惨虐な事件の見聞に扶けられつつ、鬼のイメージはふくらみ、その凶暴な力の背景への想像が、様々な説話を生んでいったと考えられる」とあります。また、「民俗信仰として実感されていた祖先の霊魂などの類」の鬼には、「子孫の繁栄を祝福し、宝をもたらすものもあった」とあります。
●『日本昔話事典』(稲田浩二/[ほか]編 弘文堂 1978)164p
「鬼」の項目に「各地の伝承には自然地形を創造した神,山の神として信仰される鬼の姿が見出される」とあります。
●『日本「鬼」総覧(事典シリーズ 第23号)』(新人物往来社 1995)
オニの文芸、オニの芸能、オニの祭り、オニの信仰、オニの民俗、オニと子ども、オニの美術工芸といった目次構成になっています。
その他、「オニ」文献一覧(363p-389p)、日本「オニ」年表(391p-395p)、日本「オニ」一覧(397p-427p)、全国「オニ」地名一覧(428p-431p)などがあります。
●『怪異の民俗学 4 鬼』(小松和彦/責任編集 河出書房新社 2000.10)
総論(春来る鬼など)、鬼の文学史、鬼の歴史、鬼の民俗学といった目次構成になっています。
収録論文解題が、447p-456pに載っています。
●『鬼の人類学』(本間雅彦/著 高志書院 1997.3)
韃靼の鬼、鬼の原像、境の神々、北からの道・西からの道、山棲みの習俗といった目次構成になっています。
「鬼の原像」に「鬼の正体」23p-26p、「先住民と鬼」(27p-29p)などがあります。
●『鬼の思想 鬼哭と狂気』(綱澤満昭/著 風媒社 2009.9)
「鬼は誰のものか」
「童子と鬼」
「鬼伝説と鉄生産」
「源頼光と酒呑童子」
「坂田金時――その伝説の意味するもの」
「宮沢賢治と東北縄文・鬼」
「農本思想・柳田国男・鬼――故郷喪失者の寂寥感」
上記にプロローグとエピローグを加えた目次構成になっています。
●『日本のまつろわぬ民:漂泊する産鉄民の残痕』(水澤龍樹/著 新人物往来社 2011.4)
目次を一部抜粋します。
第1章 鬼の長者
第4章 鬼の王国
第8章 博徒の本地
第9章 天狗奇譚
第10章 鬼のふるさと
第11章 狐と王権
第12章 鬼門と陰陽師
第13章 金太郎の母
第14 鬼の語り部
「第1章 鬼の長者」は「古代産鉄民はどこへ消えたのか?「鬼退治」譚に隠された真相に迫る」と目次にあります。
「第14 鬼の語り部」は「日本史のうちに見え隠れする漂泊民の影と、時を超える伝承の行方」と目次にあります。
●『鬼の絵草子:その民俗学と経済学』(南清彦/著 叢文社 1998.5)
203p-263pに、「≪付録≫鬼の名のつく地名解説」があります。
その他、目次から一部抜粋します。
「一、鬼思想の歴史的・社会的背景――非合理主義・神秘思想とその歴史的検証」
「三、鬼思想の二つの系譜――精霊的鬼と実在的鬼」
「四、精霊的鬼の造形化と、鬼に関する諺」
「十一、異文化に対する畏敬としての実在的鬼――渡来人や僻地の人々への畏敬」
「十二、公害産業や資源独占者としての実在的鬼――タタラ製鉄、水銀汚染等を起すもの」
「十三、弱者いじめする者、権力への抵抗者としての実在的鬼――各地の鬼退治伝説」
●『鬼の系譜』(佐藤秀治/著 文芸社 2004.12)
軽井沢茨木童子伝承、大江山の鬼退治、検証・大江山での出来事、茨木童子と斬られし腕、鬼退治と鬼の正体、といった目次構成になっています。
●『鬼 Truth in fantasy 47』(高平鳴海/[ほか]共著 新紀元社 1999.8)
様々な種類の鬼の解説が記載されています。
物語の背景なども書かれています。
●『鬼 精霊的鬼と実在的鬼』(南清彦/著 枯草庵 1994)
目次を一部抜粋します。
「一、鬼思想の歴史的・社会的背景――旧社会と現代社会」
「ニ、鬼の名のつくいろいろなもの――人名、地名、物品名」
「三、鬼思想の二つのグループ――精霊的鬼と実在的鬼」
「四、精霊的鬼の造形化と鬼に関する諺」
「十一、異文化を鬼とした旧思想――渡来人やへき地の人への畏敬」
「十二、公害的仕事や資源独占者を鬼とみた新旧思想」
「十三、弱者いじめする者、権力に抵抗する者を鬼とみた新旧思想」
●『越後の鬼』(磯部定治/著 新潟日報事業社 2005.1)
越後の鬼、と越後の妖怪に目次構成は分かれています。
「越後の鬼」の、「昔話の中の鬼たち」(76p-101p)に7つの話と、解説がそれぞれ載っています。
他に、「鬼の地名やことわざなど」(102p-107p)などがあります。
●『戸隠の鬼たち』(国分義司/著 信濃毎日新聞社 2003.8)
一、鬼の官那羅と青葉の笛
ニ、さびしい鬼たち――戸隠の修験者
三、九頭一尾の鬼
四、猿の国のキララ(鬼裸々)
五、鬼のばくち
六、マーメイドを食った餓鬼
七、鬼女紅葉伝説
(鬼女紅葉伝説1~3とエピローグとなっています)
八、長い髪の女鬼――おまん
九、高原の白い鬼――ミズバショウ
十、越水の槐
十一、鬼姫と津村信夫
という目次構成になっています。
●『桃太郎と太閤さん:「鬼退治伝説」の誕生』(前田晴人/著 新人物往来社 2012.1)
桃太郎の世界、桃と鬼の祭儀神話、吉備津宮の鬼退治神話、桃太郎のモデル、桃太郎の作者、という目次構成になっています。
●『鬼と悪魔の神話学』(吉田敦彦/著 青土社 2006.5)
「第1部 鬼と神――日本」の目次を挙げます。
第一章 鬼からも福を得る日本の多神教の知恵
第二章 高千穂と阿蘇の伝説と祭りに見る鬼の正体
第三章 高千穂の夜神楽の中の荒神と岩戸神楽
第四章 竹切会式の大蛇と「ゆりもどし」
第五章 大国主とナマハゲの鬼
●『熊野鬼伝説:坂上田村麻呂英雄譚の誕生』(桐村英一郎/著 三弥井書店 2012.1)
目次を一部抜粋します。
「熊野は「鬼の国」プロローグ」
「鬼ケ城」
「尾呂志の鬼退治」
「海の鬼 山の鬼」
●『鬼の日本史:福は内、鬼は外? 上』(沢史生/著 彩流社 1990.6)
序篇 鬼をつくる
第二篇 しき島のヤマ人の国
●『鬼の日本史:福は内、鬼は外? 下』(沢史生/著 彩流社 1990.7)
第三篇 鬼の季節
第四篇 鬼の末裔たち
●『鬼の研究』(知切光歳/著 大陸書房 1978.8)
目次を一部抜粋します。
第一部 鬼の系譜
第三部 日本の鬼
「第三部 日本の鬼」は、「祭祀と伝説の中の鬼」「平安朝の鬼」「鎌倉時代の鬼」「江戸時代の鬼」に大きく分けられています。
●『鬼伝説の研究:金工史の視点から』(若尾五雄/著 大和書房 1981.3)
鬼と金工、修験と鬼、各地の鬼伝説、という目次構成になっています。
●『鬼の風土記』(服部邦夫/著 創林社 1982.2)
鬼の風土記、おとぎ話の原像、漂泊・鎮魂の譜という目次構成になっています。
「鬼の風土記」には「酒呑童子」「渡辺綱と鬼」「田村麻呂と悪路王」「桃太郎と鬼」があります。
●『鬼の系譜:わが愛しの鬼たち』(中村光行/著 五月書房 1989.12)
プロローグ愛しき鬼たち、鬼の食生活、地獄の鬼、怨念とエロチシズム、鬼退治の残虐性、宗教における利用価値、吉凶と導く鬼、雷神と風神、という目次構成になっています。
●『日本の鬼:日本文化探求の視角 増補改訂』(近藤喜博/著 桜楓社 1975)
鬼の由来、鬼の文化史、山の鬼・水のモノ、風神・雷神、古代伝承と三輪神婚、という目次構成になっています。
なお、当館に所蔵はありませんが、
『鬼の地名辞典:鬼のルーツを地名から探る』(荒木伊佐男 [ほか]著 鬼を語る会 [1982])
という資料があるようです。
国立国会図書館東京本館、京都府立図書館、京都府立総合資料館でお持ちのようです。