レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年11月14日
- 登録日時
- 2012/03/13 09:28
- 更新日時
- 2012/06/02 16:28
- 管理番号
- 埼熊-2011-181
- 質問
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未解決
戦時中に徴用され傷病を負った人に対する支援が必要だということを、戦後、進駐軍の要員が発言した旨の記事を探している。
- 回答
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以下の資料や新聞データベースを調査した結果、旧生活保護法の成立を促したGHQの覚書等についての資料は見つかったが、質問の回答に結びつく資料は見あたらなかった。
GHQは一般的な社会保障制度の必要性やその原則について指示や覚書を発表している。その詳細な解説のある以下の資料を紹介した。
覚書等
『資料・戦後二十年史 4 労働』(日本評論社 1966)
p31-33に、GHQによる次の覚書あり「救済並に福祉計画の件」(S20.12.14)、「SCAPIN775覚書」(S21.2.27)、「救済福祉計画細部指示覚書」(S21.2.27)
『GHQ指令総集成 1(索引)』(竹前栄治監修 1994)
p59(SCAPIN番号404)「救済および福祉計画」あり。
p178(SCAPIN番号1949,1949/1)「占領軍雇用の日本人に対する健康診断、免疫措置および医療、入院その他の福利に関する日本政府の責任」あり。
『新・日本社会事業の歴史』(吉田久一著 勁草書房 2004)
p290-296「戦後の公的扶助は占領政策によって民主化された」として、社会福祉に関するGHQの司令や覚書について記載あり。
『証言 日本の社会福祉 1920-2008』(蟻塚昌克著 ミネルヴァ書房 2009)
p154-159〈第1段階 占領期における福祉3法体制と社会福祉基礎構造の確立〉の項あり。
『戦後社会保障の形成』(北場勉著 中央法規出版 2000)
p34-41〈「福祉3法体制」と戦後「措置制度」の確立〉の項あり。
宍戸 伴久著「戦後処理の残された課題-日本と欧米における一般市民の戦争被害の補償」(『レファレンス 58(12)』p111-140 国立国会図書館調査及び立法考査局 2008.12)
p113「一般市民の戦争被害の補償が行われなかったのは、(中略)「連合国最高司令部」(以下「GHQ」という。)の方針として、戦争被害の救済は社会保障制度(生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法に基づく給付等)による、とされたためであった。」
p113「我が国の政府は、戦前から今日まで、一般市民の戦争被害は国家補償の対象とならない、という立場を堅持している。」
「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の制定の経緯
『援護50年史』(ぎょうせい 1997)
p101-112〈戦傷病者戦没者遺族等の援護〉に、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の制定の経緯・論議・内容について詳述あり。
「〈制定前夜〉戦傷病者戦没者遺族等援護法」坂本耕一(『時の法令 1248号』 p40-42 朝陽会 全国官報販売協同組合(発売) 1985.5.13)
占領行政下、軍国主義払拭のために昭和20年11月24日「恩給及び恵与」と題する覚書がGHQから政府に伝達され、軍人恩給は停止・制限されることとなったとの記述あり。
- 回答プロセス
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『ハンドブック戦後補償 シリーズ・問われる戦後補償 別冊』 (梨の木舎 1994)
索引の次の項に該当の記述なし。
〈援護諸法〉〈援護法〉〈恩給〉〈恩給法〉〈軍人・軍属〉〈軍属〉〈傷痍軍人〉〈傷痍軍人・軍属〉〈戦傷病者戦没者遺族等援護法〉〈徴用〉〈徴用工〉
GHQの要人
『GHQ 岩波新書』(竹前栄治著 岩波書店 1983)
p130-133公衆衛生福祉局に在籍した人物の業績が紹介されているが、質問の発言については記述なし
『GHQの組織と人事 1946年9月現在』(福島鋳郎 編 巌南堂書店 1984)
p303-313「GHQ幕領の横顔」に要人の紹介があるが、質問に結びつく記述なし。
戦後史
『戦後日本 占領と戦後改革 2 占領と改革』(中村政則〔ほか〕編 岩波書店 1995)
p48「占領軍の公衆福祉政策は、『勇み足』や日本の伝統的医療技術にたいする無理解があったにせよ『無差別・平等』原則の政策を志向・強制したことは疑い得ない。これに対し日本の官僚は戦前の慈恵的福祉概念から脱し得ず、傷痍軍人保護を中心に福祉政策を志向したため戦後福祉政策の本質は変わることがなかった。」とあり。
新聞記事データベース検索
《聞蔵Ⅱ》《ヨミダス歴史館》 を以下のキーワードで検索するが、関連の記述なし。
検索語〈戦時徴用〉〈補償〉〈GHQ〉&〈1945.8-1952.5〉
その他調査済み資料で関連の記述のなかったもの。
『戦後史大事典』(佐々木毅〔ほか〕編 三省堂 2005)
『日本占領革命 GHQからの証言 上・下』(セオドア・コーエン〔著〕 大前正臣訳 ティービーエスブリタニカ 1983)
『GHQ労働課の人と政策 エムティ出版の教育叢書 1』(竹前栄治著 エムティ出版 1991)
『GHQ歴史課陳述録 終戦史資料 上・下』(佐藤元英編 黒沢文貴編 原書房 2002)
『GHQの人びと 経歴と政策』(竹前栄治著 明石書店 2002)
『戦後補償とは何か ND books』(朝日新聞社 1994)
『アジアの声 6 戦後補償を考える』(東方出版 1992)
『昭和の戦後史 1 占領と再生』(家永三郎〔ほか〕編 汐文社 1976)
『日本戦後史資料』(塩田庄兵衛ほか〕編 新日本出版社 1995)
『戦後社会福祉基礎構造改革の原点』(田中壽著 筒井書房 2005)
『社会保障と社会改革』(真田是著 かもがわ出版 2005)
『日本社会保障基本文献集 30 戦後における社会保障の展開』(菅沼隆監修 日本図書センター 2008)
- 事前調査事項
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質問館調査資料は以下のとおり。
「さまざまなる戦後」(保阪正康著 文芸春秋 1995)
「敗戦と民主化 GHQ経済分析官の見た日本」(T.A.ビッソン著 慶應義塾大学出版会 2005)
「戦後日本 6 占領と戦後改革 戦後改革とその遺産」(中村政則(ほか)編 岩波書店 1995)
「戦後50年決定的瞬間の真実」(グイド・クノップ著 文芸春秋 1995)
「戦後体験の発掘 15人が語る占領下の青春」(安田常雄編 三省堂 1991)
「マッカーサーと吉田茂 上・下」(リチャード・B・フィン著 同文書院インターナショナル 1993)
「日本占領研究事典」(思想の科学研究会編 現代史出版会 1978)
「日本同時代史 1・2」(歴史学研究会編 青木書店 1990)
「ビッソン日本占領回想記」(トーマス・A・ビッソン著 三省堂 1983)
「鷲の翼の下で 占領下日本 1945‐47」(J・C・ペリー著 筑摩書房 1982)
「激動の百年史 わが決断と奇跡の転換」(吉田茂著 白川書院 1978)
「日本占領の日々 マクマホン・ボール日記」(マクマホン・ボール著 岩波書店 1992)
「図説日本の社会福祉」(真田是編 法律文化社 2007)
「証言日本の社会福祉 1920-2008」(蟻塚昌克著 ミネルヴァ書房 2009)
「被占領期社会福祉分析」(菅沼隆著 ミネルヴァ書房 2005)
「GHQサムス准将の改革 戦後日本の医療福祉政策の原点」(C.F.サムス著 桐書房 2007)
「日本の社会保障」(柴田嘉彦著 新日本出版社 1998)
「日本占領 GHQ高官の証言」(竹前栄治著 中央公論社 1988)
「証言 日本占領史 GHQ労働課の群像」(竹前栄治著 岩波書店 1983)
「日本の戦後補償」(日本弁護士連合会編 明石書店 1994)
「「戦後補償」を考える」(内田雅敏著 講談社 1994)
「現代史資料43・44 国家総動員1・2」(中村隆英編 みすず書房 1979)
「GHQ日本占領史23 社会福祉」(竹前栄治監修 日本図書センター 1998)
「GHQ日本占領史24 社会保障」(竹前栄治監修 日本図書センター 1996)
「GHQ日本占領史25 賠償」(竹前栄治監修 日本図書センター 1996)
「「戦争の記憶」その隠蔽の構造 国立戦争メモリアルを通して」(田中伸尚著 緑風出版 1997)
- NDC
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- 社会福祉 (369 9版)
- 参考資料
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- 『資料・戦後二十年史 4 労働』(日本評論社 1966)
- 『GHQ指令総集成 1(索引)』(竹前栄治監修 1994)
- 『新・日本社会事業の歴史』(吉田久一著 勁草書房 2004)
- 『証言 日本の社会福祉 1920-2008』(蟻塚昌克著 ミネルヴァ書房 2009)
- 『戦後社会保障の形成』(北場勉著 中央法規出版 2000)
- 『援護50年史』(ぎょうせい 1997)
- 『時の法令 1248号』(朝陽会 全国官報販売協同組合(発売)1985.5.13)
- 『レファレンス 58(12)』国立国会図書館調査及び立法考査局 2008.12)
- キーワード
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- 社会福祉-日本-歴史
- 連合軍総司令部
- 戦傷病者戦没者遺族等援護法
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000103502