レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年05月30日
- 登録日時
- 2013/07/31 13:35
- 更新日時
- 2018/08/31 18:08
- 管理番号
- 県立I2013-21
- 質問
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解決
ネズミモチの木に付着する白いカビ(菌)の名前を知りたい。昔、そのカビを戸の敷居にまいてスベリを良くするために使用した。
- 回答
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※ 高知県立図書館・高知市民図書館合築に伴い、資料に関する情報が現在の情報とは異なる場合があります。 ※
お探しのものは、ネズミモチ(モクセイ科イボタノキ属)と同属のイボタノキに寄生する、「イボタロウカイガラムシ」が分泌する「イボタ蝋」ではないか。・『樹皮・葉でわかる樹木図鑑』p.252によると、イボタノキ(別名「水蝋の木」、モクセイ科イボタノキ属)の、「樹皮につくイボタロウムシが分泌する白いロウ質をイボタロウと呼び、かつて薬用やツヤ出し剤として利用した」とある。・『図説花と樹の事典』p.58によると、イボタノキに寄生する「イボタロウカイガラムシが分泌するイボタ蝋が皮膚にできたイボを取るのに効があることから」イボタノキの和名がついたとある。また、「イボタ蝋は、枝や幹の白い粉を削り、加熱して蝋分を溶かし、布で濾してから凝固させる。敷居に塗って戸の滑りをよくしたり、家具のつや出し、刀剣のさび止めなどに用いた」「会津地方ではこの蝋を採るためにイボタロウカイガラムシを飼育していた」とある。
- 回答プロセス
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樹木図鑑等でネズミモチを調べるが不明。ネズミモチにつく「カビ(菌)」の名前、とのことだったので、菌、微生物、病害虫の辞典等で探したところ『原色樹木病害虫図鑑』R/654.8 P.206に「ネズミモチ灰色かび病」の記載があった。ただし カビは灰色あるいはネズミ色で白色ではなく、そのカビですべりが良くなるなどの記載もないため、これではないと思われるが参考までにお伝えした。利用者さんは樹木図鑑のネズミモチのページをコピーして帰られた。後日、グーグルで 「ネズミモチの木」×「とすべりこ」で検索していたところ、ヒットしたページに、ネズミモチの紹介と並んで「イボタノキ(水蝋の樹、疣取木)」の紹介があった。イボタノキの名前の由来として、「樹皮に寄生するイボタロウムシが分泌する「いぼた蝋」が取れることから。いぼた蝋は、蝋燭の原料、家具のつや出し、戸の滑りをよくするために敷居に塗り、日本刀の手入れにも用いられるとのこと」とあった。
(しろうと自然科学者の自然観察日記:http://plaza.rakuten.co.jp/okada1952/diary/201301180000/)イボタノキを樹木の図鑑類で調べなおしたところ、ネズミモチの木と同属であり、回答の内容が記載されていた。利用者の「戸の敷居にまいてスベリを良くするために使用した」という言と一致することから、おそらくお探しのものは「いぼた蝋」だったのではないかと思われる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 林業.狩猟 (65 9版)
- 参考資料
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菱山忠三郎 監修. 樹皮・葉でわかる樹木図鑑. 成美堂出版, 2011.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011200831-00 , ISBN 9784415310183 -
木村陽二郎 監修 , 植物文化研究会, 雅麗 編. 図説花と樹の事典. 柏書房, 2005.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007737222-00 , ISBN 4760126589 -
奥野 孝夫/共著 , 田中 寛/共著 , 木村 裕/共著. 原色樹木病害虫図鑑. 保育社, 1979. (保育社の原色図鑑 ; 54)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000102707-00 , ISBN 458630054X
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菱山忠三郎 監修. 樹皮・葉でわかる樹木図鑑. 成美堂出版, 2011.
- キーワード
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- イボタノキ
- ネズミモチ
- イボタロウカイガラムシ
- いぼた蝋
- イボタロウ
- ろうそく
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000134821