当館所蔵資料で該当する歌碑について記載が確認できたものは下記3冊のみ。
①『伊豆の近代文学碑』(黒田 重正/著, 静岡新聞社, 2004)
文学碑No.202がいづみ荘(いずみ荘)の歌碑。No.203が畑毛排水機場の歌碑。
巻頭写真資料p.31 歌碑の白黒画像あり(小)
p.98(資料1-5)「No.202 若山牧水歌碑 所在地函南、建立日:昭和63年11月」
p.113(資料6-5)「No.202 昭和63年11月建立 若山牧水歌碑 区分:歌 所在地:中伊豆」
p.126(資料10-1)「石碑数:函南町の合計3 No.1 畑毛・いずみ荘の庭(202)区分:歌」
p.136(資料11-5)「No.202 若山牧水歌碑 S63.11 旅館施設内」
p.197「若山牧水歌碑 若山牧水 函南・畑毛・いずみ荘前庭 人の来ぬ夜半をよろこびわがし浸る 温泉あふれて音たつるかも」
昭和37年(1962年)発行の『伊豆文学探歩』を参考に、後半の大半の碑(全233件掲載)は現地に赴いて初めて存在を知り、取材したと書かれている。
②『全国文学碑総覧 新訂増補』(宮澤 康造・本城 靖/共編, 日外アソシエーツ, 2006)
p.568「若山牧水 歌碑 田方郡函南町畑毛いずみ荘前庭 昭和63年11月 人の来ぬ夜半をよろこびわがし浸る 温泉あふれて音たつるかも」
(巻末索引p.273) 碑主別索引「静岡県田方郡函南町畑毛いずみ荘前庭(歌-人の来ぬ夜)」
同書p.1200に下記資料が参考文献として掲載されている。すべて当館には所蔵なし。
『牧水のうた』(横田 正知/編著, 社会思想社, 1972)※静岡県内では静岡大学のみ所蔵あり。
『旅と酒と歌 若山牧水』(大梧法 利雄/著, 家の光協会, 1964)※静岡県内図書館に所蔵あり。
『幾山河越えさり行かば』(大梧法 利雄/著, 弥生書房, 1978)※静岡県内図書館に所蔵あり。
『牧水歌碑めぐり』(大梧法 利雄/著, 短歌新聞社, 1984)※静岡県内図書館に所蔵あり。
『若山牧水歌碑インデックス』(榎本 尚美/著, 榎本尚美, 1996)※静岡県内図書館に所蔵あり。
『若山牧水 詩と彷徨』(毎日新聞社, 1992)※静岡県内図書館に所蔵あり。
③『伊豆文学紀行 文士たちの風待ち港』(鈴木 邦彦/著 伊豆文学フェスティバル実行委員会事務局, 2003)
p.79 伊豆の文学碑(一覧表)「市町村:函南町 若山牧水 碑:歌 碑文:人の来ぬ夜半を~ 場所:畑毛227の2、いずみ荘庭」
同書p.87に下記資料が参考文献として掲載されている
『伊豆文学探歩』(南 信一/著, 社会思想社, 1964)※当館所蔵なし。静岡県内図書館に所蔵あり。
『定本東海文学探歩 伊豆篇』(南 信一/著, 静岡谷島屋, 1980)※当館所蔵なし。静岡県内図書館に所蔵あり。
『静岡県の文学散歩』(岡田 英雄/著, 静岡新聞社, 1977)※当館所蔵あり。中を確認したところ、情報記載なし。
『高校生のための静岡県文学読本』(静岡県出版文化会, 1988)※当館所蔵なし。静岡県内図書館に所蔵あり。
『伊豆の文学』(勝呂 弘/著, 長倉書店, 1988)※当館所蔵なし。静岡県内図書館に所蔵あり。
『静岡県と作家たち』(静岡近代文学研究会/編, 静岡新聞社, 1996)※当館所蔵あり。中を確認したところ、情報記載なし。
『若山牧水 その沼津時代を中心に』(上田 治史/著 英文堂書店, 1985)※当館所蔵なし。静岡県内図書館に所蔵あり。
いづみ荘の記載がある資料は下記のとおり。ただし、いづみ荘の歌碑については記載なし。
『若山牧水 伊豆・箱根紀行』(岡野 弘彦/監修, 村山 道宣/編, 木蓮社, 2003)
p.86 畑毛温泉の長湯 和久田雅之「若山牧水は、大正11年秋とその翌年の春の二度畑毛温泉を訪れ、中華亭(現いづみ荘)に2泊、栄屋旅館(現大仙家)に1泊し、27の短歌と計7枚の絵葉書を残している。(中略)牧水が泊まったのは、当時本店が大場駅近くにあった中華亭支店であった」
p.87 中華亭写真資料
※静岡県立図書館デジタルライブラリー「ふじのくにアーカイブ」でも同画像を閲覧可能。(『静岡県のアルバム2、3』に同画像あり)
https://multi.tosyokan.pref.shizuoka.jp/digital-library/detail?tilcod=0000000027-SZ00246p.89「畑毛温泉の牧水祭は、第1回が平成6年9月17日の命日に開かれ、今年でちょうど10年目を迎える。祭は函南町文化協会や創作修善寺歌会などが中心になって運営その他に当たり、午前に碑前祭を行った後、午後からはいづみ荘に会場を移し、記念短歌大会を開催するのが恒例となっている。短歌大会の選者は最初牧水の二男若山富士人氏がつとめていたが、富士人氏没後はその夫人のとみ子氏が引き継ぎ、沼津牧水会の須永秀生氏と共に担当している」との記載あり。
『函南牧水祭十周年記念特集 短歌大会秀歌集』(函南町文化協会/編, 函南町文化協会, 2003)
函南町文化協会会長(当時)山崎史郎氏によるあとがきページに牧水祭の後援者・協賛者の記載あり。「初回から大会の会場をご提供くださってきたいづみ荘様とともに、心より感謝申し上げます」と記載あり。
『函南町誌 下巻』(函南町誌編集委員会/編集, 函南町, 1985)
p.57 畑毛温泉 旅館「主な温泉旅館は、次の通り。いづみ荘(鈴木実重子)。鈴木館(鈴木二郎)・駒の湯本家(高橋広夫)。高橋別館(高橋ちゑ子)・つるみ館(鶴見祐子)。富士見館(高橋松璋)。吉村旅館(伊藤三義)」との記載あり。
※同資料は函南町立図書館ホームページでデジタル化資料を公開しており、閲覧可能。
https://www.lics-saas.nexs-service.jp/tosyokan.town.kannami/news/digital.html『若山牧水 全国歌碑集』(宮崎県東郷町, 1992)
p.105「この歌(山桜の歌)はその一首で大正11年、牧水が静岡の函南町畑毛温泉の中華亭に宿泊したときに詠んだものである」との記載あり。歌碑の掲載は畑毛温泉排水機場(長湯して~)のみ。
「畑毛温泉」パンフレット(伊豆畑毛温泉観光協会・函南町観光協会, 発行年不明)
畑毛温泉散策マップ いづみ荘 静岡県田方郡函南町畑毛227-2 客室20、収容人員80名
旅館外観カラー写真(小)あり。「田園情緒あふるる、牧水の常宿」との記載あり。
畑毛・いづみ荘の新聞記事 9件
1994/09/17 静岡新聞 朝刊 21ページ「あす函南牧水祭-函南町」
1995/09/15 静岡新聞 朝刊 20ページ「若山牧水をしのぶ-函南町で17日祭り、短歌大会など多彩」
1995/09/18 静岡新聞 夕刊 06ページ「函南町で「95函南牧水祭」 畑毛温泉で講演や記念大会」
1996/08/13 静岡新聞 朝刊 18ページ「牧水しのび短歌大会、作品を募集-函南町
1996/09/10 静岡新聞 朝刊 19ページ「17日に第3回函南牧水祭 記念短歌大会も」
1998/08/24 静岡新聞 朝刊 23ページ「イベント=来月17日に函南牧水祭 歌の朗詠など」
2000/09/18 静岡新聞 朝刊 25ページ「函南で若山牧水祭-記念の短歌大会一席に佐藤さん」
2001/09/18 静岡新聞 朝刊 19ページ「短歌ファン「牧水をしのぶ」歌碑朗読や講演記念-函南」
2002/09/18 静岡新聞 朝刊 19ページ「牧水しのび碑前祭 短歌大会一席は橋本さん-函南」
いずれも牧水祭がいづみ荘で開催されたという情報で、歌碑の記載はなし。
函南町文化協会のホームページによると、平成18年(2006)の牧水祭はいづみ荘でなく柿沢川河畔の歌碑前(排水機場の歌碑)で行われている。
「第13回函南牧水祭」(
http://kannami.sakura.ne.jp/events/18/Bravo/13bokusui/13bokusui.htm)
その後、函南牧水祭は平成19年(2007)6月に中止(函南町文化協会ホームページ掲示板より)。
インターネット上の情報をもとにゼンリン住宅地図で確認をしたところ、2005年1月発行の地図では「いづみ荘 鈴木敬」との記載があるが、2006年3月発行の地図では「いづみ荘 いづみ苑デイサービス 鈴木敬」に変更されている。2007年~2012年までの地図は所蔵がないため確認できなかったが、2013年3月発行の地図では「(株)ライフケアー・ソシエいづみ苑」となり、2016年3月発行の地図では更地となっている。現在は住宅が建てられているようである。
参考URL:歌碑画像あり(
http://yakusi.kumadori.com/CCP006.html)
いづみ荘外観画像あり(
http://yakusi.kumadori.com/CCP018.html#kanami2)
下記サイトの情報をもとに2012年、2014年のストリートビューを確認したが、いづみ荘の外観は見えたものの、歌碑を確認することはできなかった。
ほっと湯WEB【静岡】URL:
http://hotyu.starfree.jp/up/west/shizuoka/hatake/hatake.htmlまた、函南町観光協会にいづみ荘の資料がないか問い合わせたところ、現存しているものはないとのこと。以前に観光協会が近隣の富士見館(畑毛226)に聞き込みを行ったことがあったようだが、歌碑については情報が得られなかったとのこと。
牧水祭を行っていた函南町文化協会にも問い合わせたところ、こちらにも歌碑について残っている資料はなかった。