レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/03/02
- 登録日時
- 2023/04/02 00:30
- 更新日時
- 2023/04/19 20:10
- 管理番号
- 14143816
- 質問
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解決
『詩韻含英異同辨』【国立国会図書館請求記号:KG831-H23】p.23に出てくる次の記号の意味についてわかる資料はないでしょうか。
兒の項、十一番目の客、二十一番目の香の下右側の短い縦棒
施の項、二番目の廣、三番目の偏の下左側の短い縦棒
- 回答
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【 】内は国立国会図書館請求記号、請求記号末尾に☆を付した資料は国立国会図書館デジタルコレクションのインターネット公開資料、◎を付した資料は国立国会図書館内/図書館・個人送信資料です。
ご照会の『詩韻含英異同辨』【KG831-H23】は和刻本(資料1)で、元となった漢籍(例えば資料2)は白文であり、日本での刊行に際して訓点を付したものと考えられます。
ご照会の記号は、訓点のうち連続符、合符、竪点等と呼ばれる語のまとまりを示すものに該当し、位置によって読み方を区別するということです(資料3~5)。
資料1
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫 編『図説書誌学 : 古典籍を学ぶ』勉誠出版, 2010.12【UM11-J36】
* 「第5章 版本の時代」(pp.88-121)の「5 和刻本」の項(p.116)に、書誌学では和刻本とは中国人の著述を日本において刊行した書物の意で、整版本では句点・返り点・送り仮名・竪点(音読符・訓読符)といった訓点があらかじめ印刷されている特徴があること等の説明があります。
資料2
詩韻含英 : [18卷]
劉文蔚輯. 詩韻異同辨 / 彭元瑞原[編] ; 任以治, 蔡應襄輯 ; 吳志恭校刊.
[江寧] : 寶丹山房吳氏, 道光甲午 [1834]
* 上記書誌事項の記載は、ハーバード大学図書館のオンラインカタログHOLLIS(http://id.lib.harvard.edu/alma/990044299930203941/catalog)によります。
* ハーバード大学所蔵の本書は、Google Books、Chinese Text Project(中国哲学書電子化計画)で本文画像の閲覧が可能です。
Google Booksでは、次のURLでご照会の箇所を確認できます。
https://books.google.co.jp/books?id=66gsAAAAYAAJ&hl=ja&pg=PP588#v=onepage&q&f=false
タイトルの記載が異なりますが、【KG831-H23】pp.1-4に収録されている裘師軾の序文も確認できます。
該当箇所のURL:https://books.google.co.jp/books?id=66gsAAAAYAAJ&hl=ja&pg=PP644#v=onepage&q&f=false
なお、Google Booksでは巻号の逆順(巻十八から巻一の順)に画像が収録されているようです。
Chinese Text Projectでは次のURLから閲覧可能です。
https://ctext.org/library.pl?if=gb&res=87081&remap=gb
資料の画像をクリックすると、コマ番号を入力できる欄が表示されます。
73を入力し、73/666とするとご照会の箇所の画像を、17/666と18/666で裘師軾の序文の画像を確認することができます。
資料3
日本語学会 編『日本語学大辞典 = The Encyclopedia of Japanese Linguistics』東京堂出版, 2018.10【KF2-L3】
* 「訓点」の項(pp.259-261)に、連続符(合符)について、字音連続、和訓連続の場合の位置、音合・訓合と呼ばれていること等の説明があります。
資料4
国史大辞典編集委員会 編『国史大辞典 第4巻 (きーく)』吉川弘文館, 1984.2【GB8-60】
* 「訓点」の項(pp.1047-1048)に、音合符・訓合符の説明があります。
資料5
貝原篤信 編録『點例』柳枝軒, 享保6 [1721]【特1-2672】☆
* 巻の上3丁、7丁に、読みと「豎點」を付す位置に関する記載があります。
巻の上3丁オのURL:https://dl.ndl.go.jp/pid/2536790/1/6
巻の上7丁オのURL:https://dl.ndl.go.jp/pid/2536790/1/10
* 『日本国語大辞典 第8巻 第2版』【KF3-G103】の「たて‐てん 【縦点・竪点・立点】」の項(p.1014)に、『點例』巻の上3丁の記載が用例として挙げられています。
〔主な調査済み資料・ウェブサイト〕
桂五十郎 著『漢籍解題 3版』明治書院, 明治41【R025.2-Ka88ロウ】☆
* 「詩韻含英」の項(p.715)があり、裘師軾が異同辨を作ったこと等が紹介されています。
* 該当箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/pid/1087692/1/385
沢田総清 著『漢文教授法概説』芳文堂, 昭12【263.2-535】☆
* 裘師軾が平仄を弁ずるのに便利なように詩韻含英異同辨を作ったとの記載があります。
* 該当箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/pid/1144707/1/63
西田元子, 牛久敬子「国立国会図書館所蔵和刻本漢籍目録稿-5-(資料紹介)」(『アジア資料通報』28(3) 1990.6 pp.2-20【Z8-985】◎)
* 当館所蔵の和刻本『詩韻含英異同辨』の書誌事項、請求記号を確認できます(pp.16-17)。
長澤規矩也 著, 長澤孝三 編『和刻本漢籍分類目録 増補補正版』汲古書院, 2006.3【UP69-H1】
全國漢籍データベース(http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/kanseki)
古田島洋介 著『これならわかる返り点 : 入門から応用まで (新典社新書 ; 25)』新典社, 2009.1【KF52-J9】
* 「連続符号」の項(pp.47-54)に、「名称の問題」(pp.50-51)として、正式名称が決まっておらず、「竪線」、「合符」、「連続符」、「連読符」等の様々な名称があることが紹介されています。
小林芳規「訓點における合符の變遷」(『訓点語と訓点資料』(62) 1979.3 pp.126-144【Z13-380】☆)
* 平安中期頃から合符の位置によって字音読みと和訓読みの違いを示す用法が現れた等の記載があります。
* 論文のURL:https://dl.ndl.go.jp/pid/10482025/1/1
沖森卓也 編著, 齋藤文俊, 山本真吾 著『漢文資料を読む (日本語ライブラリー)』朝倉書店, 2013.10【KK13-L3】
* p.8、124に「合符」についての説明があります。
ウェブサイトの最終アクセスは2023年3月1日です。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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青木嵩山堂の1893年刊の資料にも同様の記載がありますが、解説はありませんでした。
- NDC
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- 音声.音韻.文字 (811 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000331594