レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/08/30
- 登録日時
- 2021/09/02 00:30
- 更新日時
- 2021/09/24 10:57
- 管理番号
- 10273322
- 質問
-
解決
国立国会図書館デジタルコレクション中の「歴史的音源(れきおん)」に収録されている以下の七つの音源について、放送状況(当時のラジオなどの放送で流れていたものか)確認できる資料を探しています。
①講演:国民の協力を望みて:消費の節約
②徐州戰線より
③大詔を拜し奉りて
④大東亞戰爭完遂 國民總力結集大演説會に於ける講演
⑤國民諸君に告ぐ
⑥勝利の記録(十三)比島作戰―ウェーンライト降服放送― ―よみがえるマニラの朝―
⑦日本放送協会著作権所有:水上競技実況放送
- 回答
-
ご照会の音源の放送状況に関する記載についてお知らせします。
【 】内は国立国会図書館請求記号です。
『読売新聞』の記事はヨミダス歴史館(当館契約データベース)、『東京朝日新聞』・『朝日新聞』の記事は聞蔵IIビジュアル(当館契約データベース)で確認しています。
① 講演:国民の協力を望みて:消費の節約
講演者と音源タイトル、時期から、ご照会の音源の放送に関する可能性のある記事についてお知らせします。
◆『読売新聞』1937年12月10日 朝刊10ページ
* 「ラヂオ」の見出しの、東京AK、「晝」の箇所に、「◇1・10 國民精神總動員「納稅報國週間」講演會(松隈)日比谷公會堂より中繼 賀屋 藏相」との記載があります。
* ヨミダス歴史館の「明治・大正・昭和」の検索画面では、検索語として[ラジオ版]と入力して「見出し検索」を行うことで検索結果にラジオ面の一覧を表示できます。掲載日を指定して絞り込むことで当該記事を容易に閲覧可能ですので、参考としてあわせてお知らせします。
* 国民精神総動員納税報国週間のうち、12月10日に賀屋蔵相の講演が行われることについては「賀屋蔵相の講演」(『東京朝日新聞』1937年12月10日夕刊2ページ)に記載があります。
② 徐州戰線より
国立国会図書館デジタルコレクションで、「徐州戰線より」で検索すると13件ヒットする音源のうち、「開戰第二日(一)」の最初の方と、NHKアーカイブスで確認できる音声が同一のようです。
◆NHKアーカイブス 前線放送「徐州戦線より」
https://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009060043_00000
* 放送年が1938年とあるほか、「ラヂオ」との表示もあります。
◆日本放送協会 編『放送五十年史』日本放送出版協会, 1977.3【UC221-35】
* 本編の「第二章 戦時下の放送」の「第一節 戦時体制下へ」(pp.113-138)に「前線からの戦況放送」(pp.123-125)の項があり、日本軍が徐州を占領した1938年5月19日から一週間、午後10時から10分間、河西三省による放送が行われたとの記載があります。
◆『読売新聞』1938年5月19日 朝刊10ページ
* 「ラヂオ」の見出しの、東京AK、「夜」の箇所に「◇10・00 北支戰況中繼(河西)」との記載があります。
③ 大詔を拜し奉りて
◆音楽史研究家・郡修彦「政治・戦争とレコード」
https://rekion.dl.ndl.go.jp/ja/ongen_shoukai_06.html
* 「歴史的音源(れきおん)」ウェブサイトの「音源紹介」のひとつです。「戦時体制下の放送を録音した記録レコード」として紹介されていて、「昭和16年12月8日の太平洋戦争開戦にあたり日本放送協会(NHK)が放送した内閣総理大臣・東条英機の演説の録音」とあります。
◆日本放送協会 編『大詔を拝し奉りて : 千古不滅の放送(昭和十六年十二月八日大東亜戦争勃発)』日本放送協会, 昭和17【特246-226】
* 表紙裏に放送を採録したとの記載があります。
◆『国策放送 [複製版]』【Z21-2024】
* 1942年1月の2(1)に、東條英機「大詔を拜し奉りて」(pp.1-2)が掲載されており、末尾に「十二月八日放送」の記載があります。
* 別冊の竹山昭子「解説」(pp.3-35)によると、『放送ニュース解説』、『国策放送』ともラジオで放送した内容を活字化し、印刷物にしたものということです(p.6)。
④ 大東亞戰爭完遂 國民總力結集大演説會に於ける講演
◆『読売新聞』1942年7月27日 朝刊2ページ
* 「今日のラジオ」の見出しの「晝」の箇所に、「◇一・二〇 大東亞戦爭完遂國民總力結集大講演會 大阪中之島中央公會堂中継①東條首相」との記載があります。
◆「大東亜戦完遂へ・国民総力結集 東条首相、対内外政策を闡明」(『読売新聞』1942年7月28日 夕刊1ページ)
* 「東條首相、阿部總裁の講演は全國に中繼放送された」との記載があります。
⑤ 國民諸君に告ぐ
「國民諸君に告ぐ」で検索するとヒットする歴史的音源は、林銑十郎と東條英機の2種あります。
◆「国民諸君に告ぐ 林首相・レコード吹込み」(『東京朝日新聞』1937年4月18日 朝刊2ページ)
* 総選挙を前に、17日午後6時半から首相官邸2階貴賓室で「國民諸君に告ぐ」という題でレコードの吹込みを行ったとの記載がありますが、放送に関する記載は見当たりません。
◆『国策放送 [複製版]』【Z21-2024】
* 1942年5月の2(5)に、東條英機「國民諸君に吿ぐ」(pp.1-2)が掲載されており、末尾に「三月八日放送」の記載があります。
* 『国策放送』がラジオで放送した内容を活字化したものであることは、音源③に関する資料紹介で触れたとおりです。
◆『読売新聞』1942年3月8日 朝刊4ページ
* 「今日のラジオ」の見出しの「夜」の箇所に、「七・四〇 常會の時間「國民に吿ぐ」首相官邸中繼 東條首相」との記載があります。「國民諸君」ではなく「國民」のみとなっている点は、『朝日新聞』1942年3月8日朝刊4ページのラジオ欄でも同様です。
⑥ 勝利の記録(十三)比島作戰―ウェーンライト降服放送― ―よみがえるマニラの朝―
◆竹山昭子 著『戦争と放送 (読みなおす日本史)』吉川弘文館, 2018.1【UC233-L39】
* 「I章 戦争プロパガンダの実相」(pp.20-85)に「番組「勝利の記録」の役割」(pp.71-85)の項があります。「勝利の記録」は、1941年12月から1943年10月末まで毎週日曜午前に放送された録音構成番組(p.71)で、ラジオで放送されただけでなく、再編集され、日蓄工業株式会社(ニッチクレコード)制作、大本営陸軍報道部監修の『大東亜戦争録音史―勝利の記録』のレコードとして1943年3月に発売された(p.79)等の記載があります。
◆『読売新聞』1943年4月21日 夕刊2ページ
* 「[広告]勝利の記録/コロムビア改めニッチク」が掲載されています。「解説書付アルバム入」の記載があります。
* 当館所蔵のレコード『勝利の記録』【YMAS-112】を確認しましたが、解説書は添付されていませんでした。レコード盤面中央のラベル(レコードレーベル)を確認したところ、「大詔を拜し奉りて」等、放送日(昭和16年12月8日)の記載があるものもありましたが、ご照会の音源のレコードレーベルに放送に関する情報は記載されていませんでした。
* ヨミダス歴史館の「明治・大正・昭和」の検索画面で、「広告検索」にチェックを入れ、「勝利の記録」を検索語として検索すると、1943年2月16日夕刊2ページのレコードの予約募集の広告等もヒットします。
◆ 『ニッチクレコード 昭和18年4月~19年2月新譜』日蓄工業, 1943.3-1944.1【YM2-133】
* 昭和18年4月新譜の号の目録中に『勝利の記録』の情報があります(pp.3-4)が、放送に関する情報の記載は、レコードレーベルと同様です。
* 上記はレコード会社の販売目録の一種です。調べ方案内「レコード会社販売目録」( https://rnavi.ndl.go.jp/avmaterial/entry/post.php )があります。
⑦ 日本放送協会著作権所有:水上競技実況放送
◆『ラヂオ年鑑. 昭和12年』【613-42】
* 「「オリムピツク」と「ラヂオ」」(pp.37-43)の項があり、「四、伯林大會對日中繼放送記錄」として放送日時や放送形式、担当アナウンサー、放送種目等の記載があります。
* 国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開しています。
◆日本放送協会 編『放送五十年史』日本放送出版協会, 1977.3【UC221-35】
* 本編の「第一章 ラジオの誕生」の「第三節 広がる放送」(pp.73-109)に「ベルリン・オリンピック放送」(pp.106-109)の項があり、水泳の放送についても記載されています。
◆「AKアナウンサー總出、放送内幕ばなし座談會」(『婦人倶楽部』17(13) 1936.12 pp.148-166【Z6-30】)
* 「オリンピック感激話」(pp.163-166)の項があり、河西アナウンサーによって実況時の様子等が語られています。
◆竹山昭子 著『ラジオの時代 : ラジオは茶の間の主役だった』世界思想社, 2002.7【UC233-H1】
* 「3 「ラジオ文化」一つの到達点」(pp.163-267)に「二 オリンピック放送」(pp.189-214)の項があり、放送の状況のほか、p.206で日本ポリドールが発売した5枚のSPレコードについても触れられています。
[主な調査済み資料・ウェブサイト]
『ラヂオ年鑑. 昭和7年』【613-42】
* 「各社に聽く「ラヂオ版とは」」(pp.69-78)の項があり、東京日日新聞社、東京朝日新聞社、読売新聞社、都新聞社、時事新報社のラジオ版について紹介されています。回答中ではデータベースでの参照が容易な読売新聞のラジオ欄を主に参照していますが、他紙ではまた異なる情報を得られる可能性があります。
* 国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開しています。
日本放送協会放送史編修室 編『日本放送史 上』日本放送出版協会, 1965【699.2-N684n-(s)】
* 「第三期 国家統制下の発展と変容(昭和九年五月~十六年十一月)」の「第二章 放送」(pp.339-435)の「四 報道」(pp.388-399)に、徐州・漢口の各戦線にアナウンサーを含む録音班が派遣されたこと、録音放送のこと、「(6) ベルリン=オリンピック大会実況放送」(pp.398-399)等の記載があります。
加藤 元宣「放送史料 探訪『大東亜戦争放送しるべ』~戦時下におけるメディア統制~」(『放送研究と調査』62(7)=734:2012.7 p.106-107【Z21-70】)
* 『大東亜戦争放送しるべ』に「ラジオ講演」の採録等の情報が掲載されているとありますが、当該資料は当館所蔵なしのため未確認です。
* インターネットで全文の閲覧が可能です。
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/history/pdf/20120701_0.pdf
大森 淳郎「戦争とラジオ(第3回)踏みにじられた声 : 「戦時ラジオ放送」への道」(『放送研究と調査』68(8)=808:2018.8 pp.14-45【Z21-70】)
* インターネットで全文の閲覧が可能です。
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/history/pdf/20180801_7.pdf
竹山昭子 著『史料が語る太平洋戦争下の放送』世界思想社, 2005.7【UC233-H27】
貴志俊彦, 川島真, 孫安石 編『戦争・ラジオ・記憶 増補改訂』勉誠出版, 2015.8【UC231-L1】
金澤裕之, 相澤正夫 編『大正・昭和戦前期政治・実業・文化演説・講演集 : SP盤レコード文字化資料』日外アソシエーツ, 2015.4【GB461-L11】
金澤裕之, 田中牧郎, 相澤正夫 編『貴重音源コレクション (想隆社アカデミックリソースシリーズ. 岡田コレクション ; 1)』想隆社, 2015.6【GB461-L12】
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- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 放送事業 (699 10版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000304083