レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/12/27
- 登録日時
- 2020/12/20 00:30
- 更新日時
- 2022/11/10 09:57
- 管理番号
- 茨城-2019-225
- 質問
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未解決
茨城県玉造町(現行方市)でメノウなどの宝石(玉)を産出していた歴史の記述のある資料を探している。
- 回答
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次のとおり調査しましたが,旧玉造町のメノウ等玉産出については,資料がみつかりませんでした。
1 玉造・玉作に関する調査より
(1)『常陸国風土記の世界』(茂木 雅博/著 同成社 2011)
第3章 古代の玉作と『常陸国風土記』 p.43-61
『玉造史叢 第55集』の箱根紀千也氏の論文でも引用されているので,既にご確認済かもしれませんが,「1.『常陸国風土記』の玉関係記事」で,『常陸国風土記』に出てくる玉に関する記述(行方郡玉清井,信太郡浮島,久慈郡玉川)と,県内の「玉造」地名について解説しています。p.48に,金砂郷の玉造には、メノウが多く取れる場所があるが,「玉造町の玉造は、残念ながらわかりませんでした。」との記述があります。箱根論文でも引用されていますが,「『常陸国風土記』は欠落部分があるので,伝承されていない部分に玉作名の記載があったかもしれない」と寺村光晴氏の言葉を引用しています。巻末の参考文献をみると,寺村光晴の著書では『古代玉作形成史の研究』(吉川弘文館,1980)が挙がっていますが,あいにく当館に所蔵がなく確認できませんでした。
続く「2.常陸国の玉作遺跡」では,烏山遺跡・八幡脇遺跡・浅間塚西遺跡(土浦市),玉造遺跡(常陸太田市),上の台遺跡(稲敷市),長峰遺跡(龍ヶ崎市)の玉作遺跡についての解説があります。
(2)「古墳時代の玉作遺跡」(本橋 弘美/著 『茨城史林 第22号』(筑波書林)p.97-105 1998)
「四 常陸の玉作」で取り上げられている県内遺跡は,烏山遺跡,八幡脇遺跡,上の台遺跡,金砂郷玉造遺跡で,玉造町の遺跡は掲載がありません。
(3)『古代の装身具・玉 烏山玉作り遺跡とその周辺』(土浦市立博物館/編 土浦市立博物館 1991)
土浦市立博物館の特別展図録です。烏山遺跡のほか,県内では上の台遺跡と金砂郷玉造遺跡が取り上げられていますが,玉造町については記載がありません。
(4)「講演会 古代玉作りの世界」(平瀬 哲夫/著 『文化財つちうら 第14号』(土浦市文化財愛護の会)p.36 1991)
上記(3)の特別展で開催された寺村光晴氏の講演会の参加記です。「県内は「常陸風土記」に記載はないが、久慈郡玉川村・当市の烏山・行方郡玉造町・新治郡玉里村等が知られている。」との記述がありますが,文献等の記載はありません。
(5)「『常陸風土記』の玉川」(寺村 光晴/著 『風土記の考古学 1 常陸国風土記の巻』(同成社)p.49-69 1994)
久慈郡の玉川についての論文ですが,行方郡玉造町玉造について,「近くから瑪瑙製勾玉未成品が採集されている。当該地あるいはその周辺において玉作遺跡存在の可能性があるものの、現状では未だに検出されていない。」との記述があります(p.57)。
(6)『茨城県土浦市烏山遺跡』(大川 清・寺村 光晴/編著 土浦市教育委員会 1988)
「烏山玉作の意義」の項に,「玉造町玉造は,やはり「多麻都久利」と訓まれているが,現在のところ玉作遺跡は見出されていない。しかし,鹿島郡鹿島町付近採集の瑪瑙勾玉未成品があるので,玉作遺跡存在の可能性もある。」との記述があります(p.170)。
2 2011年以降発行の行方市の埋蔵文化財調査報告書の調査より
上記1(1)の著者茂木雅博氏は,古代史を専門とする土浦市立博物館長で,県内の発掘調査にも数多く参加されています。その茂木氏が「わからない」と述べていることから,同書刊行以降の行方市の埋蔵文化財調査報告書を確認しましたが,2011年以降で当館に所蔵のある埋蔵文化財報告書は,いずれも旧麻生町の資料で,玉作についての記述もありませんでした。
・『上ノ塙遺跡発掘調査報告書』(日考研茨城/編 行方市教育委員会 2012)
・『前俵東遺跡発掘調査報告書』(鹿行文化研究所/編 行方市教育委員会 2013)
・『麻生藩陣屋跡』(日考研茨城/編 行方市教育委員会 2013)
・『茨城県行方市アンゴウ台遺跡発掘調査報告書』(日考研茨城/編 行方市教育委員会 2018)
3 地学に関する資料の調査より
メノウの産出とのことから,地学に関する郷土資料を確認しましたが,玉造町のメノウについては記述がありませんでした。
・『茨城の自然をたずねて』(天野 一男/編著 築地書館 1994)
・『日曜の地学 8 茨城の地質をめぐって』(築地書館 1979)
・『茨城県 地学のガイド』(蜂須 紀夫/編 コロナ社 1978)
※その他確認済資料
・『玉造町史』(玉造町史編さん委員会/編 玉造町役場 1985)
・『誠のおもてなしガイドブック』(玉造町商工会 2003)
・『霞ケ浦の古墳時代』(塩谷 修/著 高志書院 2018)
・『幻の国府を掘る』(寺村 光晴・早川 泉/編 雄山閣出版 1999)
・『土浦市立博物館年報 第4号』(土浦市立博物館 1991)
- 回答プロセス
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回答のとおり
- 事前調査事項
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調査済資料:『玉造の歴史』
- NDC
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- 関東地方 (213 9版)
- 参考資料
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玉造郷土文化研究会/編集 , 玉造郷土文化研究会 , 玉造郷土文化研究会. 玉造史叢 第55集. 玉造郷土文化研究会, 2014-04.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I062582253-00 -
茂木雅博 著 , 茂木, 雅博, 1941-. 常陸国風土記の世界. 同成社, 2011. (市民の考古学 ; 11)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I023271747-00 , ISBN 9784886215901 -
茨城地方史研究会/編 , 茨城地方史研究会 , 茨城地方史研究会 , 生田目 靖志 , 内山 俊身 , 海老沢 正孝 , 佐久間 好雄 , 笹嶋 憲一 , 飯島 章 , 本橋 弘美. 茨城史林 第22号. 筑波書林, 1998-06., ISSN 09137238
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I062331499-00 -
土浦市立博物館/編 , 土浦市立博物館 , 土浦市立博物館. 古代の装身具・玉 : 烏山玉作り遺跡とその周辺 : 土浦市制施行50周年記念. 土浦市立博物館, 1991-01. (特別展図録 : 第6回)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I062490167-00 -
土浦市文化財愛護の会/編 , 土浦市文化財愛護の会 , 土浦市文化財愛護の会 , 大塚 博( 郷土史) , 石塚 真 , 高野 文夫( 郷土史) , 岡部 智子 , 高野 敏夫( 郷土史) , 飯田 治 , 佐野 力 , 榎 陽介 , 保立 俊一 , 平瀬 哲夫 , 宮崎 直以 , 酒井 武( 郷土史). 文化財つちうら 第14号. 土浦市文化財愛護の会, 1991-06.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I062618644-00 -
茂木, 雅博, 1941-. 風土記の考古学 1. 同成社, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002334399-00 , ISBN 4886211135 -
大川 清/編著 , 寺村 光晴(1924~)/編著 , 大川 清 , 寺村 光晴 , 大川 清 , 寺村 光晴. 茨城県土浦市烏山遺跡. 土浦市教育委員会, 1988-03.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I062822047-00
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玉造郷土文化研究会/編集 , 玉造郷土文化研究会 , 玉造郷土文化研究会. 玉造史叢 第55集. 玉造郷土文化研究会, 2014-04.
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 県内公立図書館
- 登録番号
- 1000291052