レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年12月2日
- 登録日時
- 2023/01/29 15:58
- 更新日時
- 2023/02/28 11:00
- 管理番号
- 武蔵浦和-1-00169
- 質問
-
解決
次の事柄に関する資料を見たい。
1 「唐代伝奇」について書かれたもの。
2 中国文学史全般。特に1の時代のことがわかるもの。研究書の類。
3 唐代伝奇集解説書(初めてでもわかりやすいもの)
4 唐代伝奇が日本の平安文学(源氏物語や伊勢物語など)に与えた影響について
- 回答
-
回答プロセス中の○が付いた資料を提供した。
- 回答プロセス
-
・図書館業務システムで“唐代伝奇”を検索
○913.36『源氏物語と唐代伝奇』日向一雅/編 青簡舎 2012
○923.4『古代中国の語り物と説話集』高橋稔/著 東方書店 2017
唐代伝奇についての説明あり。
p.159 第三章 「隋唐代における語り部と小説の関係」
p.165 三 唐代伝奇と語り物
唐代に書かれた小説を指して「唐代伝奇」と呼ぶ習慣は、
近代以降に起こったことであって、「伝奇」とは、
もともと唐代の語り物に対する呼称であった。
○920.8『吉川幸次郎全集 1巻』吉川幸次郎/著 筑摩書房 1968
中国の文学全般について書かれている。
p.194~197 三 唐の「伝奇」
唐の時代、小説史の上で重要な画期として、
ふりかえられるべき現象を生んでいる。
それは「伝奇」と呼ばれる短篇の散文の一群で、
積極的に空想の力を働かせたところの、
意識的な虚構の散文の出現である。
「唐宋伝奇集」解説が『吉川幸次郎全集 11巻』にあるとのこと。
○920.8『吉川幸次郎全集 11巻』吉川幸次郎/著 筑摩書房 1968
p.544~550 「唐宋伝奇集」解説
○923『中国小説史入門』竹田晃/著 岩波書店 2002
中国における古典小説の成立過程とその発展を簡便かつ平易に論じる。
唐代伝奇について10章から15章まで、6章に渡り解説されている。
p.115 11章 唐代伝奇(2)記録から物語へ
中国の小説の流れは、唐になって初めて個人の創作といえる
作品群をその中に見せるに至った。これらの作品群を〈伝奇〉と称する。
○920.2『中国小説の歴史的変遷』魯迅/著 凱風社 1987
魯迅による中国小説史入門。自著「中国小説史略」の平易的なダイジェスト。
p.49 第三講 唐の伝奇文
「太平広期」の中に、私たちは唐代の伝奇小説の大体を見ることができる。
後世への影響が大きい作家の二人として元微之(びし)、李公佐を挙げている。
○『唐代伝奇を語る語り手』葉山恭江/著 汲古書院 2016 埼玉県立久喜図書館より借用
本研究は、唐代伝奇について、「物語」の語り手と物語世界の関係を中心として
検討することにより、唐代伝奇の語りの特徴を明らかにしようとするものである。
p.193~212 付録 唐代伝奇関係研究文献目録(日本編 2000~2014年)
△『中国古小説選 六朝志怪・唐代伝奇』本間洋一/編 和泉書院 1991 埼玉県立久喜図書館より借用
大学等における教養課程の漢文講読・演習用テキストとしての利用を
念頭に置いて編まれたもの。
本文(漢文)に簡略な頭注や返り点・句読点を補ったもの。
p.135 「六朝志怪・唐代伝奇」をたのしむために ~解説と文献案内など~
p.155~161 〈伝奇篇〉
・リサーチ・ナビで検索
“平安文学&唐宋”→ヒットせず
“平安文学&唐”→ヒットせず
“伊勢物語&唐代”→ヒット
○「唐代伝奇の諸相(特集:伊勢物語とうつぼ物語)」尾上兼英著
『國文學 : 解釈と教材の研究』42(2)、p.102~108 1998.2
「うつぼ物語」の特集の中でp.102~108「唐代伝奇の諸相」が入っている。
ざっとみても、いろいろな唐代伝奇の紹介だけのような気がするが、
とりあえず、唐代伝奇についてということなら提供可能。
“伝奇&日本文学”→ヒット
○302.2『アジア遊学「かいまみの文学史 : 平安物語と唐代伝奇のあいだ」』197(2016.6)李 宇玲著
p.32~43 一番最初のところで、「平安物語には、恋の発端となる「かいまみ」が
数多く見受けられる。
唐代伝奇の『遊仙窟』からの影響だと指摘されてきたが、
同書にじっさいかいまみが描かれていないことを確認し、
平安物語と唐代伝奇の受容関係について再検討してみる。」と記載あり。
・中国文学に関する文献を調べるため、“中国文学”で統合検索
○920.2『概説中国の文学』荘司格一/編著 高文堂出版社 1983
p.136 伝奇
p.137 7行目~
(略)伝奇はやや長く、今日の短篇小説ほどのものもある。芸術的な完成度
も高く、中国の後世の小説・戯曲に対してだけでなく、わが国の小説にも
大きな越境を与えた。とあり。
p.172~173 この章(第4章 小説)の参考文献
『唐代小説の研究』近藤春雄著 笠間書院 1978
市内所蔵なしのため、取り寄せず。県内は、県立久喜と所沢あり。
p.188~203 中国文学史年表
年号(西暦)、王朝、事項、参考事項 に分かれていて、
参考事項は、世界でどんな作品が出たかが載っていて、
それ以外の欄は、中国の時代と作品が載っていて、
どの時代に中国ではどの作品で日本ではどの作品が出たというのが見てわかる。
○913.36『源氏物語講座 9 近代の享受と海外との交流』今井卓爾/[ほか]編集 勉誠社 1992
p.154~169 中国文化と源氏物語
p.154 うしろから2行目
紫式部は『源氏物語』を創作するにあたって、彼女のほとんど全ての
文学的蓄積をこの作品に注ぎ込んだと言える。
その中には彼女が幼い頃より受けた豊かな中国文化教養も含まれている。
もし紫式部がその生活基盤を離れていたら、
『源氏物語』という傑作は当然生まれてなかったであろうし、
また、もし紫式部がその深い中国文化の素養を離れていたら、
『源氏物語』はこれ程広く世の人が読む傑出した作品とはならなかったであろう。
この一点は極めて重要な事である。…とつづく。
p.170~181 中国文学と日本文学の表現
副題に「唐の伝奇と源氏物語を中心にして」とあり。
文中にも、「日本文学の源泉をなす『源氏物語』は中国文学の
「つくりやう」とどう異なっているのか。
ここでは、特に作り物語に類似するジャンルである唐の伝奇小説と
『源氏物語』とを対比してみたいと思う。」とあり。
p.195~206 源氏物語の比較文学的研究
p.207~225 源氏物語への中国詩文の影響
R920.31『中国文学研究文献要覧 古典文学1978~2007』川合康三/監修 日外アソシエーツ株式会社/編集 日外アソシエーツ 2008
p.489~ 唐宋伝奇
p.373~ 唐代伝奇小説→伝奇小説
p.93~ 比較文学一般
p.95~ 源氏物語
この一覧に載っているもので、市内で所蔵しているものを内容確認する。
○923.4『唐伝奇入門』呉志達/著 日中出版 1985
全体にわたり、唐代伝奇について、その源流、勃興理由、伝奇に描かれた唐の社会、
芸術的成果など書かれている。
最初の凡例のところに、「本書は、中国古典文学基礎知識叢書に収められている
呉志達著『唐人伝奇』(上海古籍出版社、1991.3)の全訳である。」と記載されている。
×928『中国文学史資料選 古典篇』前野直彬/編 東京大学出版会 1989
中国の先秦時代から清までの詩・詞、文、小説・戯曲の代表作が部分的に載っているだけ。
○920『中国文学と日本文学』鈴木修次/著 東京書籍 1987
書名のとおり、中国文学と日本文学を比較したものになっている。
p.52後ろから6行目~
中国文学だけでなく世界文学は政治の問題とも深いかかわりを
持つべきものなのに、日本の文学は、世界で珍しいほど
脱政治の傾向を顕著に持ち、(略)
あるアメリカ人から、日本文学の代表的作品である『源氏物語』は
大作なのに、書かれているのは男女の色恋の話ばかりで、
少しも政治のことが書かれていませんね、
と言われて少なからず面食らった ということが書かれている。
p.74 5「風骨」と「もののあわれ」 四
中国文学の代表的な嗜好傾向が、「風骨」ということばにおいて
とらえられるのに対して、日本文学の代表的な嗜好傾向は、
「もののあわれ」ということばでとらえられる。(略)
「もののあはれ」ということばは、『源氏物語』にすでに見えている。
(略)『枕草子』にも、「もののあわれ」にふれるくだりがある。
(略)『徒然草』の「もののあわれ」をいう次の下りは、もっとも有名である。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 中国文学 (920 10版)
- 小説.物語 (913 10版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 唐代伝奇
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000328100