レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/11/02
- 登録日時
- 2022/12/14 00:31
- 更新日時
- 2022/12/14 00:31
- 管理番号
- 6001058515
- 質問
-
解決
中国・三国時代の詩人である曹植の「君王礼英賢」から始まる漢詩を探している。
- 回答
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ご質問をいただきました「君王礼英賢」から始まる漢詩は、曹植の作品ではなく、江淹の「雑体詩三十首」の中に収録されている「陳思王 贈友 曹植」という詩です。
はじめに、以下の曹植の作品集等を確認しましたが、該当の漢詩は見つかりませんでした。
・『中国詩人選集 3 曹植』(吉川幸次郎/編集・校閲 小川環樹/編集・校閲 曹植/著 岩波書店 1981)
・『曹操・曹丕・曹植詩文選 (岩波文庫 32-046-1)』(曹操/ [著] 曹丕/ [著] 曹植/ [著] 岩波書店 2022.2)
・『密韻樓影宋本七種』(蒋汝藻/輯 1924)
国立国会図書館デジタルコレクション(国立国会図書館/図書館・個人送信限定)で閲覧可能です。(2022/11/2現在)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2608711
[3]-[5]に曹植の詩文集「曹子建文集」があります。
中国の検索サイト「百度 Baidu(バイドゥ)」〈http://www.baidu.com/〉(2022/11/2現在)で「君王礼英賢」をキーワードに検索したところ、江淹が作者であるという情報がありました。
そのため、江淹の作品が掲載されている資料を調査したところ、「雑体詩三十首」の中の一首に「君王礼英賢」から始まる詩がありました。
「雑体詩三十首」は、江淹が歴代の主要な詩人の詩体を模擬した五言詩の連作であり、「君王礼英賢」から始まる詩も江淹が曹植の詩体を真似て作成した詩になります。
「雑体詩三十首」の主旨は、以下の資料に記載があります。
・『鑑賞中国の古典 12 文選』(小川環樹/監修 本田済/監修 興膳宏/著 角川書店 1988.12)
p.269-270 「雑体詩三十首」の項に、「漢から宋に至る詩の中から三十家を選び、それぞれのスタイルに模擬した五言詩の連作。選ばれた三十家は、おおむね歴代の主要な詩人であり、また各詩人についても、その代表的な作品が模擬されている。模擬詩であることが詩題に明示されている作は、西晋のころから伝わっているが、それらが一般に先行作品をなぞりつつ模擬者自身の声も織り込まれるのに対し、江淹の「雑体詩」では作者は姿を隠し、ひたすら元の作になりきろうとする、あるいは各作者の典型となる一首を新たに作り出そうとするところに特徴がある。」という記述があります。
・『新編中国名詩選 上 (岩波文庫 32-033-1)』(川合康三/編訳 岩波書店 2015.1)
p.518 傍注0に、「「雑体詩」は様々なスタイルの詩の意。江淹は漢の「古詩」から南朝宋の恵休に至るまで三十人を選び、それぞれを典型的にあらわす詩を模擬した。」という記述があります。
「君王礼英賢」から始まる漢詩は、以下の資料に掲載されています。
・『新釈漢文大系 15 文選 詩篇 下』(内田泉之助/著 明治書院 1964.12)
p. 719-720 陳思王(贈友)曹植
訓読文、書き下し文、現代語訳が掲載されています。
・『文選:詩篇 6 (岩波文庫 32-045-6)』([蕭統/撰] 川合康三/訳注 富永一登/訳注 岩波書店 2019.6)
p.295-299 陳思王 贈友 曹植
白文、書き下し文、現代語訳が掲載されています。
[事例作成日:2022年11月2日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌.韻文.詩文 (921 10版)
- 参考資料
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- 鑑賞中国の古典 12 小川/環樹∥監修 角川書店 1988.12 (269-270)
- 新編中国名詩選 上 川合/康三‖編訳 岩波書店 2015.1 (518)
- 新釈漢文大系 15 明治書院 1964.12 (719-720)
- 文選 6 [蕭/統‖撰] 岩波書店 2019.6 (295-299)
- キーワード
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- 漢詩(カンシ)
- 江淹(コウエン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000325696