レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007年03月18日
- 登録日時
- 2007/04/04 11:07
- 更新日時
- 2007/11/11 13:57
- 管理番号
- 福井県図-20070318
- 質問
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解決
福井藩の史書『片聾記』の読み方、および「片聾」の意味を教えて欲しい。
- 回答
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ヨミは、「かたつんぼき」「へんろうき」のどちらもが見られます。
当館目録および、『国書総目録』では、「へんろうき」。
『福井県史』や『幕末の越前藩』では、「かたつんぼき」
- 回答プロセス
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代表的郷土史家による一般向けの福井藩(越前藩)に関する書籍では、「片聾記」のルビに「かたつんぼき」
…三上一夫『幕末の福井藩(福井県郷土新書)』福井県郷土誌懇談会、1974年、p24
また、これも代表的郷土史家が分担執筆した県史でも、「かたつんぼき」のルビ
…『福井県史 通史編3』(福井県、1994年)のうち舟澤茂樹執筆「学問と文芸」p726
その一方で、全国各地に散在する和書の目録・所蔵状況を集成した『増訂版 国書総目録 第7巻』(岩波書店、1990年)では、「へんろうき」。
当館の目録でも「へんろうき」。
『福井県大百科事典』(福井新聞社、1991年)には『片聾記』の立項がない。
なぜ二通りのヨミがあるのか、詳しい事情は不明。
以下は回答者が郷土史研究者などから聞いたことに基づく推定(文献・資料に基づく回答ではないことを予め記して回答)
もともと「かたつんぼ(の)き」と読んでいたものが、差別的な意味をもつ「つんぼ」の語を避けるために、郷土史家や図書館司書、博物館学芸員らが、次第に訓読みから音読みにかえていった、という話を聞いたことがある(「つんぼ」→「ろうしゃ」などへの言い換え)。
また、『片聾記』序文に「昔より聞はさみたる事を、反故のしはのばして書集」とあるように、小耳で聞き挟んだこと、程度の意味に理解してよいか。あるいは「片跛(かたちんば)」「片手落」「片輪」など、いずれも差別的意味を持つ語彙に通じる「片」の用法に類似しているようにも思われる。
いずれにせよ、著者・伊藤作右衛門の自著に対する謙譲的な物言い(ちょっと片方の耳で小耳に挟んだことを書き留めた程度の本で大したものではありません)が、タイトルに反映されたものか。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210)
- 参考資料
- キーワード
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- 片聾記
- へんろうき
- かたつんぼき
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000034337