レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016/02/02
- 登録日時
- 2016/04/10 00:30
- 更新日時
- 2016/04/10 00:30
- 管理番号
- 6001014422
- 質問
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解決
日本の新聞に初めて「福袋」という言葉が登場したのは、何年でしょうか。
また、新聞見出しに「福袋」という言葉をよく見かけるようになり、「新年の風物詩」のようになったのはいつ頃からでしょうか。
- 回答
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当館で契約している新聞データベースのうち、明治時代からの記事を収録している新聞データベース、『聞蔵Ⅱビジュアル』(朝日新聞社)、『ヨミダス歴史館』(読売新聞社)、『毎索』(毎日新聞社)で日本の新聞紙上に「福袋」という言葉がいつ登場するかを調べました。
その結果、「東京朝日新聞 1892(明治25)年1月22日」だということがわかりましたので、その記事をご紹介します。
●『聞蔵Ⅱビジュアル』(朝日新聞社)
収録範囲: 創刊号(1879年)から
キーワードに「福袋」と入力すると、1892(明治25)年1月22日東京朝日新聞朝刊 「当たり物の流行」という見出しで、「福袋」についての記事がありました。原文の一部を引用します。
※紙面イメージのため、判読できない部分は○○にしました。
「昨今諸所の縁日にて幅五寸竪八寸位の紙袋○○○を置き其の内へ蟇口、石鹸、根付、櫛、簪、歯磨、楊枝、其他種々の品を入れ外面より何物とも見分けの付かざるよう拵へたる物を一袋一銭づつにて売る」、運が良ければ五銭から十二~三銭のものに当たる品物がはいっており、これが大流行であるというものでした。
また、1902(明治35)年11月1日 東京朝日新聞 朝刊 8頁には小川屋(人形町通り)という店がはぎれ、見切り反物を入れた「福袋」の販売広告を出しています。
ご参考までに、読売新聞、毎日新聞での「福袋」の初出記事をご紹介します。
●『ヨミダス歴史館』(読売新聞社)
収録範囲: 創刊号(1874年)から
1903(明治36)年12月1日 朝刊 「三の酉 東京・吉原の大鷲神社の賽銭315円、守り札137円、福袋120円」とあります。
「大鷲神社は場所柄とて頗る雑踏を極めたりき当日の上り高は賽銭三百十五円、・・・福袋百二十円」とありますが、上記『聞蔵』登載の「東京朝日新聞」のように「福袋」の内容についての記述はなく、『広辞苑』で確認した意味と同様の意味での「福袋」と確定することができません。
なお、これ以外で最も古い年代の『ヨミダス』の記事は、1906(明治39)年12月21日朝刊に東京本町の博文館の新案福袋「トムボラー」の広告があります。この福袋の定価は1袋十銭で、3万袋限定。残らず十五銭の価値があり、なおかつ景品が入っているというものです。
●『毎索』(毎日新聞)
収録範囲: 創刊号(1872年)から
節分の各地での豆まきに「福袋」も一緒にまいたという内容の記事が1954(昭和29)年2月4日東京夕刊にありましたが、「福袋を販売」したのという記事は、1970(昭和45)年1月7日東京朝刊、都内の各デパートの福袋の値段とその内容についてでした。
●図書
当館所蔵の資料で関連するものを見つけましたので、ご参考までにご紹介します。
・『明治・大正家庭史年表 1868→1925』(下川/耿史∥編 河出書房新社 2000.3)【210.6/284N】個人貸出不可
p.366 1911(明治44)年1月2日 「前年開店の名古屋・いとう呉服店(現・松坂屋)が50銭で5円分が返る新春宝箱(福袋)を発売。行列ができる人気」とあります。
・『松坂屋50年史』(松坂屋50年史編集委員会∥編集 松坂屋 1960)【673.8/354N】 個人貸出不可
頁付けなし 「新春宝箱大当たり 明治44年 50銭で5円のお年玉」写真あり。同年12月27日付けの「多可良箱」売り出しの新聞広告の写真が掲載されています。
・『大丸二百五拾年史』(大丸二百五十年史編集委員会∥編集 大丸 1967.10)【673.8/132N】個人貸出不可
p.67 「明治に入って十銭、二十銭くらい、後年は五十銭くらいで福袋を売り出した。これで金襴緞子のようなものを当てる果報者もあった。」とあります。
次に、「福袋」が新聞見出しによく登場するようになった時期について調べました。
以下に各新聞での「福袋」についての掲載状況を記します。
朝日新聞では、1970年代中頃から家庭面に取り上げられるようになり、1980年代初めから見出しに「福袋」の文字が毎年のように見られます。
読売新聞では、見出しではありませんが、1960年代後半から毎年「福袋」の広告掲載があります。
毎日新聞にも、1980年代初めから「福袋」の文字がほぼ毎年見られます。
●『聞蔵Ⅱビジュアル』(朝日新聞社)の検索結果に拠れば、1922(大正11)年から1926(大正15)年の1月には毎年白木屋の新年福袋の売り出しの広告が掲載されています。
1974.1.4 東京/朝刊 「福袋あれこれ(生活メモ)」
1984.1.11 東京/朝刊 「ときめきの後反省、娘の福袋(ひととき)」
1984.2.4. 東京/朝刊 「福袋 トクかソンか 首都圏で中身総点検 確かに割安だが不用品多く 買った人反省しきり(家庭面)」
1986.1.16 東京/朝刊 「思いきって福袋の“夢”を買う 一万円考 あなたはどう使う」
1986.1.23 東京/朝刊 「手作り福袋、目玉は温泉招待 一万円考 あなたはどう使う」
1987.1.11 東京/朝刊 「福袋、エスカレート 値段も人気もぐーんと、不透明時代の運だめし(家庭面)」
●『ヨミダス歴史館』(読売新聞社)の検索結果から「福袋」の見出しをピックアップして見ますと、
1965.12.31 「[広告]福袋売り出し/池袋西口東部デパート」
1966.12.31 「[広告]開運福袋 お年玉袋/伊勢丹」
1969.1.1 「[広告]5日から新年初売り出し 恒例開運福袋/伊勢丹」
1969.1.4 「[広告]ちびっこお年玉セール 福袋/上野松坂屋」
1970.1.5 「[広告]上野店ではお楽しみ福袋/松坂屋」
1971.1.1 「[広告]新春福袋/PARCO」
1971.1.1 「[広告]福袋/東急本店」
●『毎索』(毎日新聞社)では、
1977年11月1日 東京朝刊 15頁 「“福袋”の損得―関東地婦連調査」
1982.1.5 東京朝刊 23頁 「一千万円福袋も新潟に登場」
1985.1.4 東京朝刊 3頁 「600万円の福袋登場」
1986.1.3 東京朝刊 23頁 「初売り商戦に500万円の福袋が登場」
1988.1.4 東京朝刊 26頁 「豪華で有名な仙台市の初売りで1億2千万円の福袋」
1989.1.4 東京夕刊 11頁 「東京・三越デパートでピカソ入り5億円福袋も」
1989.12.20 東京朝刊 27頁 「日本橋高島屋が1990万円の新春福袋1セット発売」
[事例作成日: 大阪府立中央図書館 社会自然系資料室]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 商業経営.商店 (673 8版)
- 参考資料
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- 明治・大正家庭史年表 下川/耿史∥編 河出書房新社 2000.3 (366)
- 松坂屋50年史 松坂屋50年史編集委員会∥編集 松坂屋 1960
- 大丸二百五十年史 大丸二百五十年史編集委員会∥編集 大丸 1967.10 (67)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000190938