レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2022/11/12 11:29
- 更新日時
- 2023/03/19 17:03
- 管理番号
- 愛知県図-03776
- 質問
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木曽川の愛知県側の名鉄玉ノ井駅(現愛知県一宮市)あたりで、人工的に作られたものとみられる大きな堤防を見かけた。また、堤防の外側(川側)にも住宅街が広がっていた。この堤防について、詳しい文献はないか。
- 回答
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1 木曽川の愛知県側の堤防について
【資料1~9】によると、現在の愛知県犬山市から弥富市にいたる木曽川左岸には、豊臣秀吉が原型を作り、更に徳川家康の命で慶長年間に築かれ、その後も順次増改築されていった「御囲堤」(おかこいつつみ)という長大な堤防があります。
2 玉ノ井(旧・木曽川町、現・一宮市)辺りの木曽川の堤防について
【資料1、4、7~8、10】によると、玉ノ井辺りでは、本堤(御囲堤)の外側にも一部の集落があり、前面に小堤防を築いていたことから「玉ノ井の二重堤防」(【資料1】p.778 図106 堤防決壊位置図)と言われており、昭和13年7月の豪雨で決壊して大きな被害があったため、昭和14年~18年にかけて復旧・改修工事が行われ、また戦後も嵩上げ等されているようです。
- 回答プロセス
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1.インターネットで場所等を確認。
2.地域資料コーナーで自治体史等を確認。
3.地域資料コーナーで木曽川の治水に関する資料を確認。
【資料1】『木曽川町史』
国立国会図書館デジタルコレクション(図書館/個人送信限定)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9538648 【該当頁のコマ数は下記参照】
・「口絵」内の「玉ノ井村絵図(天保12年)」【11コマ】及び「玉ノ井村絵図(天保14年)」【12コマ】とそれぞれ見開きになっている「玉ノ井村絵図解読図」では、「御囲堤(木曽川御堤道)」の外側にも家があり、更に川沿いに「御見取所囲い堤」があるのが見えます。
・「第一編 自然環境」、「第4章」木曽川流路の変遷」、「第二節 中世・近世」内のp.53-54「第五項 お囲い堤の築堤」【66-67コマ】
・「第二編 歴史」、「第三章 近世」、「第四項 お囲い堤と用水」内のp.443-448「お囲い堤の成立と用水」(堤防についてのみは~p.445)【261-262コマ】
・「第二編 歴史」、「第四章 近代・現代」、「第六節 大正期から昭和期(戦前)までの木曽川町」、「第五項 災害(大正~昭和の戦前)」内の「洪水」中、p.777-779「昭和一三年」に玉ノ井・里小牧の二重堤防の決壊について【428-429コマ】
【資料2】『木曽三川流域誌』
「第2部 流域における治水」、「第3章 近世の治水」内のp.263-273「3.1 近世における治水」(特に、p.265-267「3.1.1-(2)豊臣秀吉の尾張振興策と木曽川築堤」、p.268-272「3.1.2-(2)御囲堤の築堤」)
【資料3】『木曽三川 川の流れと歴史のあゆみ 木曽川・長良川・揖斐川』
p.76「Topics 15.御囲堤」
【資料4】『ふるさと昔ばなし』
p.51-54「26 木曽川二重堤の決壊(1)」、「27 木曽川二重堤の決壊(2)」(【資料2】に記されていない事柄も紹介)
p.125-130「67 木曽川本堤嵩上げ工事(1)」、「68 木曽川本堤嵩上げ工事(2)」、「69 木曽川本堤嵩上げ工事(3)」((1)は主に御囲い堤の話、(2)~(3)は、明治以降、昭和20年代の二重堤内を遊水地帯とする計画とその反対運動等。)
【資料5】『木曽三川の治水史を語る 主として宝暦治水から 昭和40年9月まで』
p.73・75にある「※2 御囲堤」の注が詳しい。
p.80-87「二重堤の話」(本文は対談。解説はp.83-84の「図6-1」及びp.85「※2 玉ノ井の二重堤」の注の頁にあり)
p.150-153「11.昭和13年7月の大洪水」(玉ノ井の二重堤の決壊など、主に当時の新聞の写真)
【資料6】『木曽川は語る 川と人の関係史』
「第7章 川と人びととのたたかい」内のp.130-134「2 御囲堤の建設―人柱に託された悲願」
p.130「尾張平野を取り囲むこの堤防建設は、木曽川の河道を安定させ、尾張側の耕地を洪水から守るための大工事であったが、そのほかに、東軍側の防衛最前線の強化、さらには名古屋城築城用木材の木曽谷からの安定した運材という目的もあった。」
【資料7】『木曽三川の歴史治水を訪ねて』
p.15-16「玉ノ井二重堤」(昭和10年代の大洪水後の二重堤改修とその記念碑の内容)
【資料8】『郷土史にみる木曽川の流域史』
「第4章 災害・水害」内、
p.53-58「4.2 江戸時代の水害」(p54で御囲堤に言及あり。)
p.60-62「4.5 玉ノ井二重堤の決壊」(主に『川島町史・通史編』及び『木曽川町史』より引用)
【資料9】『木曽川の水と尾張地域』
「第7章 治水」内のp.143-148「第5節 近世の築堤」(特に、p.145-146「4 御囲堤(オカコイツツミ)、p.146-147「5 木曽川右岸、美濃側の築堤」)
【資料10】一宮市ウォーキングマップ「(P12-13)4コース 木曽川緑地玉ノ井散策」
(2)玉ノ井二重堤【写真】「昭和13年の洪水を契機に作られた堤防と、江戸時代に作られた堤防(お囲堤)が二重になっています。」
など。
- 事前調査事項
- NDC
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- 河海工学.河川工学 (517)
- 中部地方 (215)
- 日本 (291)
- 参考資料
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【資料1】木曽川町 (愛知県). 木曽川町史. 木曽川町, 1981.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001533529-00 (【当館資料コード:1101485340】) -
【資料2】木曽三川流域誌編集委員会, 中部建設協会 編 , 中部建設協会. 木曽三川流域誌. 建設省中部地方建設局, 1992.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002214471-00 (【当館資料コード:1106135077】) -
【資料3】国土交通省中部地方整備局 , 国土地理院. 木曽三川 : 川の流れと歴史のあゆみ : 木曽川・長良川・揖斐川 : 中部地方の古地理に関する調査報告書. 国土交通省中部地方整備局河川部河川計画課, 2007.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I005934067-00 (【当館資料コード:1109235316】) -
【資料4】木俣清 著 , 木俣, 清. ふるさと昔ばなし. [木俣清], 1992.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I096737679-00 (【当館資料コード:1106185551】) -
【資料5】木曽三川の治水史を語る : 主として宝暦治水から昭和40年9月洪水まで 附図. 建設省中部地方建設局木曽川上流工事事務所, 1969.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I076741285-00 (【当館資料コード:1101556648】) -
【資料6】木曽川文化研究会 著 , 木曽川文化研究会. 木曽川は語る : 川と人の関係史. 風媒社, 2004.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007350373-00 , ISBN 4833105241 (【当館資料コード:1108498081】) -
【資料7】木曽川上流工事事務所 , 木曽川, 上流, 工事, 事務所. 木曽 三川 の 歴史 治水 を 訪ねて. 建設省木曽川上流工事事務所, 1985.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I071404245-00 (【当館資料コード:1107387060】) -
【資料8】中山雅麗 著 , 中山, 雅麗. 郷土史にみる木曽川の流域史. 中山雅麗, 2002.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003585778-00 (【当館資料コード:1108227140】) -
【資料9】千田英元編 , 千田, 英元. 木曽川の水と尾張地域. 千田英元, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I003873747-00 (【当館資料コード:1101530267】) - 【資料10】一宮市ウォーキングマップ「(P12-13)4コース 木曽川緑地玉ノ井散策」 ( https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/hokenjo/kenkoushien/1044113/1009979/1013840.html (最終確認日 2022/12/27))
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【資料1】木曽川町 (愛知県). 木曽川町史. 木曽川町, 1981.
- キーワード
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- 木曽川
- 堤防
- 御囲堤
- 玉ノ井
- 木曽川町
- 一宮市
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000323997