レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2012/01/14 10:51
- 更新日時
- 2015/02/25 10:59
- 管理番号
- 愛知県図-03124
- 質問
-
明治18年に新設され、悪税として明治29年に廃止された「菓子税」について、その間の業界の動向や世論を知りたい。
特に名古屋周辺の動向が分かると良い。
- 回答
-
○全国の動向を知る資料として、
日本洋菓子史 池田 文痴菴著 1960の 第二十章 過酷な菓子税則 【資料1】に詳しい記述があります。
また、雑誌論文で、
「菓子の文化誌(25)菓子税・菓子相撲」(『茶道雑誌』67巻6号2003/6 p.114)【資料2】 に概要が載っています。
「ある小さな和菓子組合の百年 明治の菓子税をめぐって①②」(『製菓製パン』57巻1,2号1991.1-2)【資料3】には、陳情や請願など東京を中心とする撤廃までの当時の動きが詳細に記されています。
国立国会図書館デジタルコレクションの資料として、
・「菓子税則廃止懇望意見書」全国菓子商協議会 M23.11 京都 44p
・「菓子税則利害実況書 : 附・税則改正私案」全国菓子商聯合協会 M24.10 東京 54p
・「現行菓子税則全廃意見書」相原忠之 M24.11 静岡 22p
・「菓子税則廃止之義ニ付請願書写」全国菓子商聯合協会 M24.11 東京 10p
・「全国菓子商意見実状書」飯村夘兵衛 M24.11 東京 34p
・「菓子税則廃止論」大住亀太郎 M25 [東京] 23p
等も見ることが出来ます。
○名古屋周辺の動向を知る資料は、
『尾張の和菓子を伝えて 両口屋是清の三百五十年』 鈴木賢治著 1986 【資料4】で両口屋是清の九代当主大島喜十郎が、豊橋の菓子の老舗・横田甘露軒春勝当主横田善十郎とともに菓子税撤廃に奔走した様子が窺えます。
上記【資料1・3】にも岡本善蔵(名古屋)や横田善十郎(豊橋)加藤喜右衛門(海部津島)といった記述があり、彼らの活動が記されています。
「和菓子工芸の存続機構」(『比較社会文化』第5巻(1998)p75-101)【資料5】にも愛知県での菓子税撤廃運動についての記述があります。
- 回答プロセス
-
1 当館の所蔵検索「菓子税」でヒットなし。
2 NDLサーチで「菓子税」を検索
ヒットした雑誌論文から【資料2・3】を調査
デジタルコレクションで6件該当をみつけるが、東京・大阪・京都・静岡のもので名古屋はなし。
3 インターネットで「菓子税」を検索
『菓子税の導入における菓子業界の対応に関する一考察』小島清秀著がヒット。
京都造形芸術大学通信教育部サイバーキャンパス 卒業制作・研究 作品・論文集 2012年度
http://kirara.cyber.kyoto-art.ac.jp/digital_kirara/graduation_works/detail.php?act=dtl&year=2012&cid=554&ctl_id=121&cate_id=2
当館所蔵資料として、名古屋周辺の動向について【資料4】、菓子税則に関する先行研究として【資料5】が紹介されていた。
どちらにも愛知県内での活動の記述があった。
4 当館資料調査
(1)百科事典から「菓子税」を調べるも出てこず。
(2)参考図書588門(食品工業)の棚をあたる。
『年表で読む日本食品産業の歩み』(1110252300)に菓子税則公布、菓子税則廃止の項目あり。
典拠文献に【資料1】とあり。第二十章に詳細な記述を発見。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 食品工業 (588)
- 参考資料
-
- 【資料1】『日本洋菓子史』池田 文痴菴著 1960 (1101051410)
- 【資料2】「菓子の文化誌(25)菓子税・菓子相撲」 赤井達郎著 (『茶道雑誌』67巻6号 2003/6 ) (Z791/サ)
- 【資料3】「ある小さな和菓子組合の百年 明治の菓子税をめぐって①②」千田豹太郎著(『製菓製パン』57巻1,2号1991.1-2) (Z588/19)
- 【資料4】『尾張の和菓子を伝えて 両口屋是清の三百五十年』 鈴木賢治著 1986 (1101540601)
- 【資料5】「和菓子工芸の存続機構」(『比較社会文化』第5巻(1998)p75-101) (当館未所蔵) (九大コレクション http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/handle/2324/8618/scs05p075.pdf (2014.11.29確認) にて閲覧可)
- キーワード
-
- 菓子税
- 明治期の税制
- 明治期の産業
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
明治18年の「菓子税」は「醤油税」とともに、陸海軍備拡充財源のための国税として新設され、売上金高とは別に製造・卸売・小売業者すべてに規模等に応じて課税された。この税則は業者に負担であっただけでなく、著しく煩雑で解釈が困難であったため、業者や税務担当者の混乱をまねいていた。明治20年には3,250件が処罰の対象となった。
国立国会図書館デジタルコレクションの資料では、「菓子税規則はやわかり」始め多数の解説書類も見られる。
ちなみに【資料1】に出てくる加藤喜右衛門は後に津島市立図書館館長(当時は海東郡図書館)となる人物。
『津島町史』(1101474168)p730
『 図書館年報 平成25年度』津島市立図書館編(1110874276)p1
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000099755