レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年09月06日
- 登録日時
- 2011/11/24 11:51
- 更新日時
- 2012/03/27 09:13
- 管理番号
- 埼熊-2011-121
- 質問
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解決
利根川に筏に関する碑(文)があるらしいのだが、どんな碑があるのかわかる資料を探している。
- 回答
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出典資料「歴史の道調査報告書集成 13 関東地方の歴史の道 3 群馬」p56に記されている、「筏の謝恩碑」に関する記述のある以下の資料を紹介した。
この他に、利根川の筏に関する碑の記述は見つからなかった。
『子持村誌 補遺編 伝承と路傍の文化』(子持村誌編さん室編・発行 1987)
p118-119 「(11)名神大社信仰」の項目中の金比羅信仰の解説に、「讃岐国(香川県)琴平の金比羅宮と融合して、江戸時代の初めから盛んになり、水先き案内として筏師や農民の尊崇を受けている。上白井桜ノ木に「浜附連中」という筏師建立がある。」との記述あり、金比羅宮信仰の石造物一覧に当該の碑の解説あり。
所在地:上白井 唐沢 桜ノ木国道上
西暦:1983
高さ幅:65 50×32
形象・銘文・その他:(金比羅像) 濱附連中 発起人 高柳□松
明治26年巳11月吉日(この近くの筏流しの講の建立)
(安山岩舟型光背)
※「歴史の道調査報告書集成 13 関東地方の歴史の道 3 群馬」p46の右下にある写真「桜ノ木の石造物群」が、p56の「筏の謝恩碑」などがある場所にあたるとのこと。(渋川市文化財保護課からの情報)
- 回答プロセス
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◆利根川に関する資料を調査する。
『利根川事典』(森田保編 新人物往来社 1994)
索引に「碑」「筏」の項あり。該当ページに関係する記述なし。
p78〈さながしの集団はどんな組織だった〉に、筏流しについて記述あり。利根郡白沢村の地名あり。
p106〈利根川本流最上流の筏河岸はどこ〉に、銚子河岸(群馬県利根郡水上町)についての記述あり。ただし「銚子河岸をしのぶものは何もないが」と記載あり。
p112〈片品川で盛んだった筏河岸は?〉に、尾合河岸(白沢村南部)、沼須河岸について記述あり。
また、索引にはないが、p107〈宮田河岸と利根川筏流しを張り合った河岸はどこ〉に筏による川下げの記載あり。碑に関する記述はなし。
『利根川荒川事典:自然・歴史・民俗・文化』(利根川文化研究会編 国書刊行会 2004)
p28〈筏河岸〉〈筏流し争論〉の項あり。碑についての記述なし。
〈筏河岸〉の項には「片品川では尾合(群馬県白沢村)・沼須(群馬県沼田市)、利根川では最上流の銚子(群馬県水上町)・宮田(群馬県赤城村)・樽(同)・八崎河岸(群馬県北橘村)などがあり、吾妻川では矢倉(群馬県吾妻町)付近・白井(群馬県子持村)・渋川(群馬県渋川市)など」といった地名が紹介されている。(この項の出典は「群馬県史、利根川の水運」)
『群馬県史 通史編 5 近世』(群馬県 1991)
p403-412〈林業と諸藩〉筏を利用した記述はあるが(p408)碑についてはなし。
p873-876〈筏河岸〉筏の川下げについて詳しいが、碑の記述なし。
『利根川 自然・文化・社会』(九学会連合利根川流域調査委員会編 弘文堂 1971)
p269-271 筏流しについて書かれているが、碑の記述はなし。
『利根川物語 風土と歴史を歩く』(渡辺良夫著 御園書房 1991)
巻末にイラストマップあり。碑の位置がわかるが、筏の謝恩碑と特定できるものはなし。本文に写真が多数あるが、筏に関するものはなし。
『新・利根川図志 上』(山本鉱太郎著 崙書房出版 1997)
p169〈江戸時代の利根川上流の主な河岸〉図あり。碑に関する記述はなし。
p174「吾妻川を流れてくる木材も五料河岸で筏に組まれた」と記載あり。碑については記述なし。
『利根川百年史:治水と利水』(利根川百年史編纂委員会編 国土開発技術研究センター編 建設省関東地方建設局 1987)
p2266-2278〈利根川流域の碑〉に、碑の地図および解説あり。ただし「治水に関係の深いものについて選択して記した」とあり、筏についての碑の記述はなし。
◆群馬県の地理関連資料を調査する。
『群馬新百科事典』(上毛新聞社 2008)
p42-43〈筏河岸〉の項に「利根川で最上流の筏河岸は(中略)銚子河岸(みなかみ町)で(中略)山林が多い沼田藩では、利根川本流に後閑(みなかみ町)、真庭(同)、恩田(沼田市)、戸鹿野(同)などの河岸があり、片品川に尾合(沼田市)、沼須(同)の河岸があった。(後略)」と河岸の場所の記述あり。〈碑〉〈碑文〉の項はなし。
『上州利根川の水運 第43回企画展図録』(群馬県立歴史博物館編 1992)
p96「上野国の主な筏河岸(群馬県史・通史編より)」図あり。
◆インターネット情報
《利根川上流河川事務所》に〈歴史散策「利根川の碑」〉あり。(http://www.ktr.mlit.go.jp/tonejo/shoukai/hi/index.htm 2011/8/17最終確認)
《Google》で〈筏の謝恩碑〉を完全一致検索する。
《石碑の語る治水・利水・災害の歴史》のページあり。
都道府県別に石碑の一覧があるが、群馬県の一覧はなし。
末尾の参考文献一覧の中にあった以下の資料を取り寄せ。
「川の碑」(川の碑編集委員会編 山海堂 1997)
p161-204 利根川沿岸の106の碑が写真付きで載っているが、筏の謝恩碑はなし。
「利根川上流の碑」(建設省関東地方建設局利根川上流工事事務所 1978)
索引および群馬県内の碑の解説を確認するが、筏の謝恩碑を示す記述はなし。
◆雑誌記事検索サイトの検索結果
《GeNii》を〈筏河岸 & 群馬〉 〈筏河岸〉 〈筏 & 群馬〉 〈石碑 & 群馬〉 〈石碑 & 筏〉〈碑文 & 筏〉〈碑 & 筏〉のキーワードで検索するが該当するものは見つからず。
《NDL-OPAC(雑索)》(国立国会図書館)を上記と同様に検索するが該当するものは見つからず。
《MAGAZINEPLUS》を上記と同様に検索するが該当のものは見つからず。
◆その他調査済み資料は以下のとおり。
『渋川の史跡』(宮川俊雄著 渋川市郷土史研究会 1966)
『しぶかわ道の神さま:写真で見る双体道祖伸』(渋川市教育委員会 2010)
『渋川市の文化財』(渋川市教育委員会社会教育課編 渋川市教育委員会 1986)
『渋川市文化財の解説』(渋川市郷土史研究会 1966)
『群馬の古碑』(上毛新聞社 1983)
『河川水運の文化史』(川名登著 雄山閣出版 1993)
『北群馬渋川史帖(みやま文庫154)』(近藤義雄著 大島史郎著 みやま文庫 1999)
『群馬県史 資料編25 民俗1』(群馬県史編さん委員会 群馬県 1984)
『授業で使える群馬の資料』(群馬県立文書館編 群馬県立文書館 2004)
『利根の記憶:「河畔の碑」によせて』(石川猶興著 崙書房 1989)
『大利根百話』(関東建設弘済会 1987)
『河岸(ものと人間の文化史)』(川名登著 法政大学出版局 2007)
『河岸の人々の暮らし 金石文が語る利根川物語 1』(榎本正三著 崙書房出版 1990)
『河物語・利根川』(関東建設弘済会編 関東建設弘済会 1992)
『利根川・荒川流域の生活と文化』(利根川文化研究会編 国書刊行会 1995)
『利根川流域の自然と文化:民俗・考古・美術』(関東地区博物館協会編 1983)
『利根川322キロの旅:流域の自然とその営みを求めて』(上毛新聞社〔ほか〕編集 「利根川322キロの旅」刊行委員会 1997)
『利根川百景ガイドブック』(河川情報センター)
『流域紀行 利根川』(田部井誠一著 田部井誠一 1973)
『利根川治水史』(栗原良輔著 官界公論社 1943)
『利根川 その治水と利水』(佐藤俊郎著 論創社 1982)
『江戸時代の利根川 大河の誕生に秘められた歴史』(建設省関東地方建設局利根川上流工事事務所 [2000])
『利根川の歴史 源流から河口まで』(金井忠夫著 日本図書刊行会 1997)
『利根川の水運 歴史の道調査報告書 10』(埼玉県教育委員会 1989)
『新編高崎市史 資料編 13 近世石造物』(高崎市市史編さん委員会編 高崎市 2003)
群馬県立図書館に調査を依頼した結果は以下のとおり。
「利根川の水運 歴史の道調査報告書 (群馬県歴史の道調査報告書 13)」(群馬県教育委員会文化財保護課編 群馬県教育委員会 1982.3)(「歴史の道調査報告書集成 12」に収載)
p11-13「7大杉神社信仰」に、利根川及びその支流での筏による川下げや、船頭・水主たちの信仰について記述あるが、碑についての記述なし。
p28-113「Ⅲ利根川の水運と文化財」に、川や河岸と、それらに関わる遺跡・名称等について記述あり。
庚申塔・地蔵尊・供養塔・水天宮などは確認できるが、筏謝恩碑や筏に関する碑の記述なし。
「利根川と上州 上 (みやま文庫 2)」(北沢貞男〔ほか〕著 みやま文庫 1961)
p154-157 山田武麿著「上利根川の水運史」の「6 筏流し」に、群馬県内における筏流しの概要の記述あるが、筏謝恩碑や筏関係の碑の記述なし。
筏河岸のあった下記の地町村史に、筏謝恩碑や筏関係の碑は確認できなかったとのこと。
「古馬牧村史 (月夜野町誌 2集)」(古馬牧村史編纂委員会編・発行 1972)
p653-675 「(10)筏」に、利根川上流域の筏について詳しい記述があるが、碑についての記述なし。
p1156-1206「2 石造物」に、筏に関係する碑の記述なし。
「桃野村誌 (月夜野町誌 1集)」(桃野村誌編纂委員会編 月夜野町誌編纂委員会 1961)
p582-584 「明治以降-筏流し」に、さながしと筏流しについて記述はあるが、碑については記述なし。
「沼田市史 通史編2 近世」(沼田市史編さん委員会編 沼田市 2001.3)
p552-555「筏河岸・川下げ」に、筏河岸と川下げについて記述あるが、碑について記述なし。
「渋川市誌 2 通史編 上 原始~近世」(渋川市誌編さん委員会編 渋川市 1993.3)
筏河岸・川下げについて記述あるが、碑については記述なし。
「群馬県勢多郡横野村誌」(群馬県勢多郡横野村誌編纂委員会編・発行 1956)
p452-470 「利根川の流木と水運」に、管流し、筏・筏乗業について記述あるが、碑について記述なし。
「前橋市史 3」(前橋市史編さん委員会編 前橋市 1975)
p781-787「4 利根川の筏」に、筏河岸・川下げについて記述あるが、碑については記述なし。
「新編高崎市史 通史編 3 近世」(高崎市市史編さん委員会編 高崎市 2004)
p543-546「筏場と聖石河岸の筏流し」に、烏川の筏河岸・川下げについて記述あるが、碑については記述なし。
「玉村町誌 通史編 上巻」(玉村町誌編集委員会・現代書房新社企画編集 玉村町 1992)
p657-661「五料筏河岸」に、筏河岸についての記述はあるが、碑については記述なし。
下記の石造物に関する資料は、それぞれの収録点数が多く、筏の関係かどうかをひとつひとつ確認するのは困難。
「上州の近世石造物 (群馬県石造文化財総合調査報告書)」(全2冊)(群馬県教育委員会編・発行 1986)
1巻「道祖神と道しるべ」 2巻「庚申塔と月待・日待塔」 「謝恩碑」の項目はなし。
「沼田の石仏」(沼田市編・発行 1992)
「石造物と文化財 (渋川市誌 別巻2)(渋川市市誌編さん委員会編 渋川市 1986)
「文化財関係史料集 5 赤城村の石造物」(赤城村教育委員会編・発行 1985)
「玉村町誌 別巻9 玉村町の石造物」(玉村町誌刊行委員会編・発行 2005)
- 事前調査事項
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『歴史の道調査報告書集成 13(関東地方の歴史の道 3 群馬)』(服部英雄 磯村幸男 伊藤正義 海路書院 2008)
p56「筏の謝恩碑」の記述あり。
- NDC
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- 関東地方 (213 9版)
- 参考資料
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- 『子持村誌 補遺編 伝承と路傍の文化』(子持村誌編さん室編・発行 1987)
- キーワード
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- 金石・金石文-群馬県
- 利根川
- 照会先
- 寄与者
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- 群馬県立図書館
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000097097