全唐詩検索系統で検索すると、劉禹錫「巫山神女廟」は『全唐詩』巻361に収められています。
「全唐詩検索系統」
http://cls.hs.yzu.edu.tw/tang/Database/index.html『全唐詩』の読み下し文はないので、『唐詩選 上/下』(齋藤〓(「日」に「向」)/[訳]著 集英社 1996.9)、『唐詩三百首』(〓(「くさかんむり」に「衡」)塘退士/編 平凡社 1977-1979)を見ましたが、劉禹錫「巫山神女廟」は載っていませんでした。『唐詩選三体詩総合索引』(禅文化研究所 1991.1)で『三体詩』にも収められていないことを確認しています。
『翻訳図書目録』(日外アソシエーツ)の「明治・大正・昭和戦前期」から「-2007」に掲載されている劉禹錫著作の資料で『唐詩選』以外の以下の所蔵資料を確認しましたが、「巫山神女廟」は見つかりませんでした。
『律詩墨場必携 1 唐』(福本雅一/選訳 二玄社 1998.11)
『中国名詩選 下』(松枝茂夫/編 岩波書店 1991.1)
『劉白唱和集(全)』(柴格朗/訳注 勉誠出版 2004.7)
その他、以下の資料にも劉禹錫「巫山神女廟」はありませんでした。
『名詩評釈(漢詩大講座 第6巻)』(アトリエ社 1936.6)
『唐代詩集 下(中国古典文学大系18)』(前野直彬/編訳 平凡社 1970.6)…『上』は李白と杜甫です。
『中国名詞選(新釈漢文大系84)』(馬嶋春樹/著 明治書院 1975.3)
『中国漢詩の旅 4 長江のうた』(井上靖/監修 世界文化社 1989.5)…下記のとおり巫山は揚子江流域にあります。
『中国漢詩心の旅 第1-5巻』(井上靖/監修 世界文化社 1990)
『NHK漢詩紀行 第1 4 5巻』(石川忠久/監修 日本放送出版協会 1991~1996)
『名勝唐詩選 下(NHKブックス771)』(高木重俊/著 日本放送出版協会 1996.7)…『上』は中国北方です。
『漢詩の故里(新潮選書)』(渡辺英喜/著 新潮社 1996.9)
『漢詩百景 下 長江流域篇(同時代ライブラリー)』(山口直樹/著 岩波書店 1997.6)
『はじめて読む唐詩 5 中唐』『はじめて読む唐詩 6 中唐』(明治書院 1998)
『中国の詩情:漢詩をよむ楽しみ』(佐藤保/著 日本放送出版協会 2000.3)
『図説漢詩の世界』(山口直樹/著 河出書房新社 2002.8)
『朗読で味わう漢詩』(石川忠久/著 青春出版社 2003.6)
『漢山唐水:中国名詩選』(柚木利博/著 績文堂出版 2005.4)
『漢詩紀行辞典』(竹内実/編 岩波書店 2006.5)
『漢詩の旅 4 長江』(吉崎一衛/著 明治書院 2006.7)
『ビジュアル漢詩心の旅 第1-5巻』(石川忠久/監修 世界文化社 2007)
『漢詩の事典』(松浦友久/編 大修館書店 1999.1)の492頁から「名詩のふるさと」として「巫山神女廟」が載っています。「巫山」は<ふざん>と読む四川省と湖北省が接する直前の揚子江の峡谷「三峡」に位置するとのことです。494頁には一部分のみ書き下し文が紹介されています。
【書き下し文】
(前略)
片石亭亭として女郎と號ぶ
曉霧乍ち開いて慢を巻けるかと疑ひ
山花謝せんと欲して妝を殘ふに似たり
(後略)
【よみ】
(前略)
へんせきていていとしてじょろうとよぶ
ぎょうむたちまちひらいてとばりをまけるかとうたがい
さんかしゃせんとほっしてしょうをそこなうににたり
(後略)
【訳】
(前略)
朝霧がにわかに晴れて、まるで目ざめた神女がとばりを巻き上げたかのよう
山の花がしぼみかけて、化粧のくずれかかった神女の風情
(後略)
※片石亭亭(高くそそりたつさま)
個人のサイトですが、書き下し文が載っていましたので、参考に掲げておきます。
「ひとりよがりの漢詩紀行」*
http://www.rinku.zaq.ne.jp/bkcwx505/Kanshipage/kanshi08.html巫山の神女峰 劉禹錫
巫山十二 鬱として蒼蒼
片石亭亭 女郎と号す
暁霧 乍ち開いて幔を巻けるかと疑い
山花 謝まんと欲して妝を残うに似たり
星河の好夜 清佩を聞き
雲雨 帰る時 異香を帯ぶ
何事ぞ 神仙 九天の上より
人間 来たりて 楚の襄王に就けり