レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/05/16
- 登録日時
- 2016/03/31 00:30
- 更新日時
- 2016/03/31 00:30
- 管理番号
- 参調 15-0032
- 質問
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解決
身欠きにしんについて
先日店で購入した身欠きにしんが「一夜干し」だった。もともと身欠きにしんは保存食であり、軽く干しただけの「一夜干し」を身欠きにしんと呼ぶのはおかしいのではないか。
- 回答
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「干物の機能と科学」によると、「身欠きにしんは、ニシンの内臓を除き、二つ割りにした後に乾燥した素干品」であり、「以前は腹部を切り取り背肉だけをとって乾燥した一本採り身欠きであった。腹部を除くのは、腹部に脂肪が多く、保存中に油焼けを起こすからである。現在は二つ割りした日本採り身欠きである。乾燥の程度により、本乾燥、7~8分乾燥、生乾燥と呼ばれていたが、高水分化が進み、現在はおおむね水分40%以下が本乾燥(もしくは本乾)、水分50%以上が生乾燥(もしくはソフト)と呼ばれている」とのこと。(138ページ)
「乾物と保存食材事典」にも、「近年はにしんの水揚げ量減少や冷蔵保存の発達により、本干しよりも三枚におろした商品や、食べやすい生干しのものが増えている」(137ページ)とある。また「水産食品の表示と目利き」にも、「近年乾燥度合いが低く、食感のソフトな製品が多く製造されている」(70ページ)とあり、近年は戻しが必要な本乾より手軽に扱えるソフトタイプが主流となっていると思われる。
水分含有量によって名前が変わるわけではないので、本乾燥であっても生乾燥であっても「身欠きにしん」に変わりはない。その旨質問者に説明した。
後日、有限会社マルコウ福原伸幸商店(北海道余市の水産加工屋)のフェイスブックに、
「身欠きにしんは、「にしん を 三枚おろし にして、乾燥させた 干物 あるいは 乾物」 と説明されるので、
・一晩干して水分を飛ばす一夜干しでも、
・一週間程度乾燥する八分干(はちぶかん)でも、
・一ヵ月程度じっくりと乾燥する本乾(ほんかん)でも、
すべてを「身欠きにしん」と呼びます。
もう、そもそもこれが話をややこしくさせてくれる大要因なのですが、そこは僕がそれぞれに別な名前をつけてあげて呼び続けることでもしなければ絶対に変えようがない部分です。
歴史上、最初に存在した「身欠きにしん」は「本乾」です。
(中略)「八分干」や「ソフトみがきにしん」では、良く似ていたとしても「昔ながらの味を出せない」のです。
昔ながらの味が、現代の味に勝っているとか負けているということではなく、失われつつある味だから、どこかで誰かが守って行くことを期待するのと同時に、自分たちもその一員でありたいと願う福原家なのでした」
(https://www.facebook.com/permalink.php?id=561914463849047&story_fbid=883634225010401 最終確認2016年3月10日)
という記述を発見。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 水産製造.水産食品 (667 7版)
- 参考資料
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- 1 干物の機能と科学 滝口/明秀?編 川崎/賢一?編 朝倉書店 2014.12 667.2/HI
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2 乾物と保存食材事典 星名/桂治?監修 誠文堂新光社 2011.10 619/KA -
3 水産食品の表示と目利き 須山/三千三?編著 鈴木/たね子?編著 成山堂書店 2009.3 667/SU -
1 水産物の利用 山中/英明?共著 田中/宗彦?共著 成山堂書店 2001.2 667/SU
- キーワード
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- 身欠きにしん
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事項調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000190472