レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2009年07月25日
- 登録日時
- 2009/08/05 09:28
- 更新日時
- 2009/08/05 09:32
- 管理番号
- 福若-2009-0611-1
- 質問
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未解決
小浜市浅間地区にある名水「瀧の水」は、中国に持っていっても腐らなかったとの話があるようだが、その原典について知りたい。
- 回答
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江戸期に書かれた「若狭郡県志」および明治期の「小浜のみなと」にそれぞれ、室町時代の禅僧・策彦が「酒の記」または
「瀧瀑酒之記」という書物を著し、そのなかに書かれている、という内容の記載がある。しかし、策彦の著作、また他の人物
著作においても上の二書の存在は確認できなかった。
- 回答プロセス
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① 自館で「タキノミズ」で検索。
→ 『新わかさ探訪』関西電力原子力事業本部 2005ほか2件ヒット。
② H275,H297の書架をあたる。以下の書籍をあたる。
・『小浜五十二町ひろい歩き』柴田伊左衛門著 後瀬書房 1996 (H275/シハタ)
:「浅間の巻」p68~69に下述「小浜のみなと」の記載が引用されている。
・「小浜のみなと」江口成徳著1901刊 p8~9
:『明治年間 福井・敦賀・小浜案内記』松見文庫 1973 (H290/メ) 所収p502~503。
策彦が「瀧瀑酒之記」という書を著した、と記載されている。
・『越前若狭の伝説』杉原丈夫編 松見文庫 1970
:p685「滝の清水」の項に「小浜のみなと」と「若狭郡県志」の記述が所収されている。
後者には、策彦が「酒の記」という書を著した、と記載されている。
*これ以後の郷土資料やWeb上の情報に、瀧の水とこのエピソードについての記載が多数出てくるが、
内容的にはいずれも「小浜のみなと」『越前若狭の伝説』の記載を基にしている。
ex.『小浜町誌』p57~58, 『新わかさ探訪』p140~141
③ Googleで、「滝(瀧)の水」+「小浜市」で検索。
→ 「ふくいのおいしい水-滝の水」のページ ほかヒット。
http://www.pref.fukui.jp/doc/kankyou/water/takinomizu.html(090708)
内容はいずれも②の資料等を基にしていると推測される。
④『国書総目録』で書名「瀧瀑酒之記」「酒の記」を調べる → なし
同「著者名索引」で「策彦」の項を調べる → 上の書名なし
⑤ 総合目録ネットワーク,Nacsis-webcat, Google等で「瀧瀑酒之記」「酒の記」を検索する。
→ いずれもヒットなし
⑥『策彦入明記の研究』上・下 牧田諦亮著 法蔵館 1959 を京都府立図書館より取寄せ、調べる。
「策彦和尚初渡集」「策彦和尚再渡集」ほか、策彦の入明に関する史料を多数所収している。漢文体の活字版。現代語訳なし。
→ ざっと読んだ限りでは、「瀧の水」に関連する部分はなさそうに思われる。日記中の酒宴の記載や目録中の酒の記載は多数ある。
また、下巻に索引があるが、関連する語句はないように思われる。
⑦ 小浜市立図書館に問合せる。
→ 「瀧瀑酒之記」「酒の記」については、いずれも不詳。
⑧ 国立国会図書館にレファレンスを依頼する。
→ 「群書類従」中の策彦関係の文献や五山文化,日明貿易関係等の資料をあたってもらったが、該当の著作・書物の確認はできなかった、とのこと。
*なお、「若狭郡県志」中の記載については、同書・巻八「土産部」の「酒」の項目中にあることを教示された。
漢文体だが『越前若狭の伝説』所収の文とほぼ同じ内容を確認した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 8版)
- 各宗 (188 8版)
- 海洋学 (452 8版)
- 参考資料
- キーワード
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- 名水
- 滝の水(瀧の水)
- 策彦
- 照会先
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- 小浜市立図書館
- 国立国会図書館
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000056882