レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20211024
- 登録日時
- 2022/01/10 00:30
- 更新日時
- 2022/03/25 14:45
- 管理番号
- 0401003647
- 質問
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解決
NHKの大河ドラマ「青天を衝け」では、明治2年に明治政府内につくられた大蔵省「改正掛」に熊本出身者(熊本藩の人物)が加わったとあったが、その人物の名前を知りたい。
- 回答
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大河ドラマ「青天を衝け」内では、江口純三郎(えぐち じゅんざぶろう)が熊本藩出身とされている。
江口純三郎(高廉)は横井小楠の弟子で、徳富蘇峰の父・一敬の弟で江口家へ養子へ出ている。
『地租改正法の起源』(参考文献②)の「明治3年2月現在改正掛メンバー」表では、「江口高廉(純三郎)、民部大録兼大蔵大録、佐賀」との記載あり。
『上京中日記』では、江口純三郎(高廉)を熊本藩としていた。これらに関連する参考文献①~⑥を提供した。
- 回答プロセス
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【人物特定】
自館検索「改正掛」では該当なし。
国立国会図書館サーチ「改正掛」の検索で、立法情報「大蔵省中改正掛ヲ置ク」がヒットし、明治2年(1869年)11月に改正掛が設置されたことが確認できた。
大蔵省中改正掛ヲ置ク
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000031-I000034428-00(2022/1/27最終確認)
質問者からの事前情報に「NHK大河ドラマ「青天を衝け」での一場面に熊本藩出身者がいた」とあったことから、NHK公式番組ホームページを確認したところ、第29回「栄一、改正する」2021年10月3日放送が該当回であると判明した。
同ホームページにて、出演キャスト等を確認したが、主要キャストのみの紹介だったため該当人物の情報なし。
NHK大河ドラマ「青天を衝け」あらすじ第29回「栄一、改正する」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/29/(2022/1/27最終確認)
「青天を衝け」のウィキペディアを確認したところ、「改正掛」の章の中に「江口純三郎(えぐち じゅんざぶろう) 演:青柳尊哉 熊本藩出身。」との記載があった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%A4%A9%E3%82%92%E8%A1%9D%E3%81%91(2022/1/27最終確認)
「江口純三郎」で検索したが、自館、国立国会図書館サーチともに該当なし。
インターネットで「江口純三郎」と検索すると、熊本大学学術リポジトリ内の論文『横井小楠の「感懐」詩について』がヒットし、その中で江口純三郎は横井小楠の弟子であったとの記載あり。
熊本大学学術リポジトリ 『横井小楠の「感懐」詩について』
http://hdl.handle.net/2298/3004(2022/1/27最終確認)
自館検索「横井小楠 弟子」でヒットした『横井小楠の弟子たち』(参考文献①) を確認すると、巻末の人名索引に「江口純三郎(高廉)」とあり、該当ページ(16,67,81,351、408,)には、「徳富一敬の二弟」との記載があり、「高廉」という別名と徳富家との関連を確認できた。
googlebooksで「改正掛」と検索すると『地租改正法の起源』(参考文献②)がヒットし、自館に所蔵があったため内容を確認したところ、「三 民部省改正掛」の章に「明治3年2月現在改正掛メンバー」の表があり、「江口高廉(純三郎)、民部大録兼大蔵大録、佐賀」との記載あり。
自館所蔵『明治初期官員録・職員録集成 3』(参考文献③)にも明治3年2月の章に、「大録兼大蔵大録橘 髙廉江口」との記載あり。
インターネット検索「江口高廉」とすると、徳富蘇峰記念館のホームページに江口高廉の項があり、読みは「たかかど」、「蘇峰の父・一敬の弟」で「江口家へ養子」との記載あり。
徳富蘇峰記念館 江口 高廉 | 人物検索 |
http://soho-tokutomi.or.jp/db/jinbutsu/3321(2022/1/27最終確認)
自館所蔵『明治過去帳』(参考文献④)を確認すると「江口高廉」の項に、「佐賀縣士族」「明治二年石井徽言、長岡敦美等と民部大録兼大藏大録に任じ」との記載あり。
【熊本藩(人)である確認】
インターネット検索「江口高廉 熊本」と検索すると、福井県文書館研究紀要第8号の抜刷『文久三年の龍馬と福井藩』がヒットし、その論文内の資料『上京中日記』に江口高廉(純三郎)を熊本藩として記載している箇所が確認できた。
・六月十一日 「肥後藩山田五次郎・江口純三郎…」
・六月十八(九)日廿三日 同 「肥後藩江口純三郎来ル…」
『文久三年の龍馬と福井藩』 吉田 健
https://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/fukui/08/2010bulletin/images/kiyou8_yoshida.pdf(2022/1/27最終確認)
Googlebooksで「江口高廉」と検索すると、『蘆花德富健次郎 - 第 1 巻』の114pに「江口高廉が出していた「内外交際新誌」という…」の記載があり、国立国会図書館デジタルコレクションで『内外交際新誌』を検索すると『熊本県史. [第1] (近代編 1)』(参考文献⑤)がヒットした。所蔵資料にて該当ページ(620p)を確認したところ、江口の略歴(熊本人として記載)と、発行していた『内外交際新誌』についての記載が確認できた。同資料の参考文献『随想漫筆』(参考文献⑥)でも、江口を熊本人として記載していた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (281 10版)
- 参考資料
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- ①横井小楠の弟子たち,花立 三郎/著,藤原書店,2013.6 (「徳富一敬の二弟」との記載があり(16,67,81,351、408p)。「高廉」という別名と、徳富家との関連を確認。|0141345413|/281.9/ハ/)
- ②地租改正法の起源,丹羽 邦男/著,ミネルヴァ書房,1995.3 (明治3年2月現在改正掛メンバー表(113p)|0116134370|/210.6/ニ/)
- ③明治初期官員録・職員録集成 3,朝倉 治彦/編,柏書房,1982 (明治3年2月の章に、「大録兼大蔵大録橘 髙廉江口」との記載あり(88p)。|0112785233|/281/ア/)
- ④明治過去帳,大植 四郎/編,東京美術,1971年 (「江口高廉」の項に「佐賀縣士族」「明治二年石井徽言、長岡敦美等と民部大録兼大藏大録に任じ」との記載あり(314p)。|0111122479|R/281/オ/)
- ⑤熊本県史 近代編第1,熊本県,1961 (「内外交際新誌」(620p)、参考文献「随想漫筆」(625p)|0140751645|/219.4/ク/)
- ⑥日本談義 195301<04,日本談義社 (26巻28p「随想漫筆」。江口を熊本人として記載。|0120400155|///)
- キーワード
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- 改正掛
- 渋沢栄一
- 江口純三郎
- 江口高廉
- えぐちたかかど
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000310343