レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年03月17日
- 登録日時
- 2011/04/27 13:13
- 更新日時
- 2011/04/27 13:14
- 管理番号
- 9000007278
- 質問
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解決
水島三一郎(さんちいろう)が発見したゴーシュ形回転異性体について、「ゴーシュ」と命名した経緯を知りたい。
- 回答
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「現代化学」通巻403号(東京化学同人 2004年10月)によると、「ゴーシュ」という言葉の最初の提案者は大阪大学教授の仁田勇(にった いさむ)であった。また、「現代化学」(1975年4月号)p40-42掲載論文「ゴーシュ形の発見と命名のいきさつ」(水島三一郎著)で命名のいきさつについて説明している。
- 回答プロセス
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1.自館システムで件名「水島三一郎」での検索は未ヒット。著者名「水島三一郎」で検索し、ヒットした資料を確認するが、命名の経緯については記述なし。
・『私の化学:自然観の歩み』(水島三一郎著 講談社 1980年)→p218-220にゴーシュ形についての説明。
・『高分子物質・化学物理学』(水島三一郎著 共立出版 1953年)
・『水島三一郎 物質の世界』(水島三一郎著 講談社 1983年)
2.「GeNii学術コンテンツポータル」(http://ge.nii.ac.jp/genii/jsp/ )で「ゴーシュ 水島三一郎」を検索し、次の資料を確認。
・『化学者たちのセレンディピティー:ノーベル賞への道のり』(吉原賢二著 東北大学出版会 2006年)→p54コラム「新規の命名には友人の知恵をかりて」に「水島は…ゴーシュという名を付けるときに、友人の仁田勇が訪ねてきていささか奇妙だが愛嬌のある名を奨めたのだという」とある。p55-66「ゴーシュ回転異性体の発見:水島三一郎の先見性」には、命名についての記述なし
・「現代化学」通巻403号(東京化学同人 2004年10月)p14-16「挫折から再生へ:大正・昭和の化学者たち(5)回転異性体の発見:水島三一郎 世界をめぐるゴーシュの反響」は、上記『化学者たちのセレンディピティー』の出典だが、p18にコラム2「ゴーシュの命名」がある。これによると「…水島自身は最初はこの言葉を使うことにためらいがあった。命名のいきさつについて水島自身が本誌(1975年4月号,p41)で説明しているが、水島にしてはなんとなく歯切れが悪い」「最初の提案者は東大同期の友人で阪大教授になった仁田勇であった」「ゴーシュ型という命名とその定義を行った最初の論文が見当たらない」などの記述がある。
3.2の「現代化学」で紹介されていた「現代化学」(1975年4月号)p40-42掲載論文「ゴーシュ形の発見と命名のいきさつ」については、当館では未所蔵のため、所蔵館への複写依頼とした。
- 事前調査事項
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『宮澤賢治イーハトヴ学事典』(天沢退二郎編集委員 弘文堂 2010年)の「片岡正夫」の項に「賢治の作品材料となる用語の研究者を挙げると水島三一郎(ゴーシュ回転異性体の発見)…がいる」とある。同書の「ゴーシュ」「水島三一郎」の項には、「ゴーシュ」命名の経緯については記述なし。
- NDC
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- 物理化学.理論化学 (431 9版)
- 参考資料
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- 『化学者たちのセレンディピティー:ノーベル賞への道のり』(吉原賢二著 東北大学出版会 2006年) (p54)
- 「現代化学」通巻403号(東京化学同人 2004年10月) (p14-16)
- 「現代化学」(東京化学同人 1975年4月号) (p40-42)
- キーワード
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- ゴーシュ
- 回転異性体
- 化学
- 水島三一郎
- 「セロ弾きのゴーシュ」
- 宮沢賢治
- 仁田勇
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 化学
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000085721