レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年10月08日
- 登録日時
- 2021/10/08 15:47
- 更新日時
- 2022/04/28 09:42
- 管理番号
- 京高図司-2021-B1
- 質問
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解決
両角宗晴(もろずみ むねはる)が書いた、『遊星歯車と差動歯車の設計計算法』を読む方法はないか?
- 回答
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利用者が本当に必要としていることは『遊星歯車と差動歯車の設計計算法』の入手ではなく、Wikipediaの「遊星歯車機構」の項目に載っている、ある記述が本当に正しいのかどうかだった。「それが分かれば資料は違っていてもよい」とのことだったので、該当の事柄が載っている資料を探し、提供した。
- 回答プロセス
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調べてみると、『遊星歯車と差動歯車の設計計算法』は国立国会図書館の本館や一部の大学、高専の図書館にしか所蔵のない資料だった。
しかし利用者によくよく話を聞くと、Wikipediaの「遊星歯車機構」の項目に「当初、ジェームズ・ワットがビームエンジンの往復運動を回転運動に変換する際、クランクによって回転運動に変換しようとしたが、その機構は既に特許が取得されており、特許を回避するためにクランク軸の代わりに遊星歯車機構を使用した」という記述があり、このエピソードが本当かどうかを知りたいとのこと。Wikipediaに参考文献として挙がっていたのが、『遊星歯車と差動歯車の設計計算法』だったため、その資料を見たいと思ったそう。そのため、記述の真偽が確かめられれば、資料は違っていても構わないとのことだった。
Wikipediaの該当項目を読み、「技術の歴史に関する本や、歯車に関する本に載っていそう」とあたりをつけ、棚をブラウジング。『技術の歴史』の中に、「(前略)ワットは、一七八一年の特許をとった。その明細書に彼はビームの腕の往復運動を回転運動に変換する手段を記載した。ワットは競争者の一人がさきに特許をとってしまったために、クランクを使うことができなかった。そこで彼は、歯車をそなえた桿をビームの腕にとりつけ、この歯車を、動輪に接続した第二の歯車の周囲に回転させるという、巧妙な着想をした。この「太陽・惑星」運動は蒸気機関を、回転する動輪と、ベルトまたはチェインによって機械を動かす回転軸とをそなえた機関に変えた。」との記述があった。また、コトバンクの「ワット(James Watt)」の項目には「81年に往復運動を回転運動に変える遊星歯車装置の特許を取り」とあり、この2つの資料からWikipediaの記述は正しいことが分かった。
これらの資料を提供し、回答とした。
- 事前調査事項
- NDC
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- 技術史.工学史 (502 10版)
- 参考資料
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両角宗晴 著 , 両角, 宗晴, 1919-2008. 遊星歯車と差動歯車の設計計算法. 産経出版社, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001758630-00 -
遊星歯車機構. Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8A%E6%98%9F%E6%AD%AF%E8%BB%8A%E6%A9%9F%E6%A7%8B (2021年10月8日確認) -
R.J.フォーブス 著 , 田中実 訳 , Forbes, Robert James, 1900-1972 , 田中, 実, 1907-1978. 技術の歴史. 岩波書店, 1956.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000958910-00 -
ワットWatt, James. ブリタニカ・ジャパン, 2014. (ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典) コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%88-10180(ワット、2022年3月16日確認)
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両角宗晴 著 , 両角, 宗晴, 1919-2008. 遊星歯車と差動歯車の設計計算法. 産経出版社, 1984.
- キーワード
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- 遊星歯車機構
- ジェームズ・ワット
- クランク
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 教員 社会人
- 登録番号
- 1000305778