レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/03/12
- 登録日時
- 2023/04/01 00:31
- 更新日時
- 2024/03/30 00:43
- 管理番号
- M23012715138716
- 質問
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松尾芭蕉と与謝蕪村の五月雨の句について、正岡子規が両者を比較して批評しているものはあるか。
- 回答
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①『仰臥漫録』では、芭蕉と蕪村の五月雨の句を引用し、芭蕉の句について「この俳句を知らぬ内より大きな盛んな句のやうに思ふたので今日まで古今有数の句ばかりと信じて居た 今日ふとこの句を思ひ出してつくづくと考へて見ると『あつめて』といふ語はたくみがあつて甚だ面白くない」としている一方で、蕪村の句に対しては「それから見ると 五月雨や大河を前に家二軒 蕪村 といふ句は遥かに進歩して居る」と述べている。
②『俳句の出発』には「俳人蕪村」の項があり、「緒言」の中に、「蕪村が芭蕉に匹敵する所の果して何処にあるかを弁ぜんと欲す。」と記載があり、「積極的美」の中で、明治30年頃の子規が持っていた両者の俳句に対する見解について述べられている。また、「今試みに蕪村の句を以て芭蕉の句と対照して以て蕪村が如何に積極的なるかを見ん。」として、夏の句を比較しており、五月雨の句に関しては、芭蕉の句を「雄壮」と評しながらも、「蕪村の句亦之に劣らず。」と述べている。
③斉藤茂吉の『正岡子規』には「其六 子規の芭蕉蕪村評」の項があり、『仰臥漫録』を引用して、子規による五月雨の句に関する芭蕉と蕪村の比較について言及しており、「この仰臥漫録の文章は明治三十四年九月二十三日のくだりに書いてあるから、子規の俳論としては(中略)晩年の結論と看做していゝのである。」として、芭蕉の五月雨の句における、明治26年の『芭蕉雑談』からの評価の変化について指摘している。また、「子規は俳人として芭蕉をばやはり第一位に置いてゐたことは彼の文章が其を證してゐる。ただ一たびは俗宗匠の蒙を啓かむがために、二たびは蕪村を尊敬し世に紹介せむがために芭蕉の作の一部をば從來の評價と異なる標準を以て論斷したのである。」と述べ、『松蘿玉液』や『俳人蕪村』を引用しながら、子規の両者に対する評価についてまとめている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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①正岡子規『仰臥漫録』 岩波書店,1991,195p. 参照はp.68.
②正岡子規『俳句の出発』 みすず書房,2002,290p. 参照はp.51-55.
③斉藤茂吉『正岡子規』 創元社,1950,259p. 参照はp.45-52.
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①正岡子規『仰臥漫録』 岩波書店,1991,195p. 参照はp.68.
- キーワード
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- 正岡子規
- 俳句
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2023012715143338716
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢, 高校生, 中学生
- 登録番号
- 1000331482