レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024年02月25日
- 登録日時
- 2024/03/30 13:34
- 更新日時
- 2024/04/16 15:33
- 管理番号
- 2024-3.6
- 質問
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古備前で、表面に「大」の文字があるものはあるか。図録などはないか。
また、その古備前はいつの時代のものか。
- 回答
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確認した中では該当する古備前の写真には行き当たらず。
但し、「大」の窯印が使用された旨の記載はあり(①)。手書きの「大」の写しあり。
下記①のp.364、449の図についていえば、桃山時代から江戸時代初期にあたる。
- 回答プロセス
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①『古備前大事典』
吉村 佳峰/[編]著 吉備人出版 1999.10 分類:751.1 ISBN:4-906577-34-2
「時代別年号表」(p.6-7)によると
江戸時代の初期 1624-1683年 大窯初期:寛永~天和
江戸時代の中期 1684-1803年 大窯中期:貞享~享和
江戸時代の末期 1804-1867年 大窯末期:文化~文政、天保窯:天保~慶応
p.71- 古備前の時代特徴
「鎌倉初期より江戸末期までを古備前といい、桃山時代が古備前の黄金時代です。」(p.72)「その他の鑑定の留意点」(p.97-)より
p.98●窯印を見る 「窯印は大窯時代、その所有を明らかにするために器物につけられた目印ですが、この印からも時代を知ることができます。窯印が見られるのは、共同大窯が築かれた室町時代末期・桃山時代からです。( 略 )窯印には一二三四五六七七九等の数字や、大( 略 )などたくさんの文字や図形があり(後略)」(p.98)
窯印および手印一覧(p.108-122)
「▶室町時代末期~江戸時代初期の窯印」(p.108-116)に“大”の印がある。
(p.108に1種類,p.109に2種類)
「▶江戸時代中期・末期の窯印」(p.116-121)に“〇の中に大”の字の印がある。(p.120に2種類)この資料の後半は「桂又三郎先生の古備前研究書」として手書き(活字部分もあり)の研究書が収録されている。文字は丁寧で、手書きの絵(図)も分かりやすい。
「桂又三郎先生の古備前研究書」は新たにページ番号が振られている。
・「桂又三郎先生の古備前研究書」より「桂又三郎著 伊部焼陶印集 上巻 文献書房発行」(序に昭和12年1月13日晩とある)
p.364 「第六〇圖 元和・寛文・年間の瓶」という説明に手書きの“大”の文字(図)が描かれている。この作品の文字を絵でそのまま写し取ったものと思われる(以下同様)。
元和・寛文年間は、「日本年号表」(p.6-7)によると、元和は1615年、寛文は1661年からで、寛文の次は延宝1673年からなので、おおよそ1615年から1673年あたり。桃山時代末から江戸時代初期にあたる。・「桂又三郎先生の古備前研究書」より「桂又三郎著 伊部焼陶印集 中巻 文献書房発行」(序に昭和12年3月30日夜とある)
p.392 「第一七三圖 大饗吉蔵(文政・嘉永・年間) 吉蔵は南窯に属し、多く雑器を造る」
“〇の中に大”の字の図あり。
p.404 「第二三七圖 寛文・元禄・年間の徳利」、「第二三八圖 **(読みとれず)・寛永・年間の徳利」 “〇の中に大”の字の図がそれぞれ描かれている。それぞれの徳利の図があり、どの位置に印が彫られているのか示されている。・「桂又三郎先生の古備前研究書」より「桂又三郎著 続伊部焼陶印集 上巻 岡山・文献書房発行」
p.449「第一三圖 大窯初期・瓶」 “大”の文字が描かれている。
序(p.445)によると、大窯初期は文禄元年(1592年)から萬治3年(1661年)の69年間を指す。「時代別年号」(p.6-7)によると大窯初期は1624年~1683年となっているが、この場合は序の方の年代として考える。1592年~1661年は桃山時代から江戸時代初期にあたる。②『新編名宝日本の美術 16 小学館ギャラリー 古瀬戸と古備前』
小学館 1991.8 分類:708.7 ISBN:4-09-375116-1
写真と図版(実測図)で解説されている。ざっと確認したところ図版(実測図)から、“大”の文字が確認できたのは「渥美 灰釉刻文壺」12世紀(p.70写真、p.48図版解説)であるが、「渥美」であり、「備前」ではない。ちなみに写真で見ても“大”の文字は認識できなかった。実測図がないと文字の有無は判別しがたい気がする。③『陶磁大系 10 備前』
平凡社 1974 分類:751
カラーと白黒の写真有。実測図はないため、該当のするものがあるかは判断できず。④『窯別 現代茶陶大観 第3巻 備前・信楽・伊賀・常滑』
主婦の友社 1979.10 分類:751.1/791.5
p.153- 「作家 照会 箱書 銘印」
藤原楽山(ふじわららくざん)(明治43年生)について、「今日備前でも長老の一人」と紹介されているが、「銘」が“大”の文字。
時代的に古備前ではない。⑤『備前焼 作家・窯元名鑑』
山陽新聞社/編 山陽新聞社 2003.5 分類:751.1 ISBN:4-88197-707-5
古備前ではなく、現代の作家のみ。陶印の記載有。以上
- 事前調査事項
- NDC
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- 工芸 (75)
- 参考資料
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吉村佳峰 著. 古備前大事典. 吉備人出版, 1999.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002847508 , ISBN 4-906577-34-2
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吉村佳峰 著. 古備前大事典. 吉備人出版, 1999.
- キーワード
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- 古備前
- 窯印
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000348357