レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20200615
- 登録日時
- 2021/03/06 00:30
- 更新日時
- 2021/03/09 10:01
- 管理番号
- 児童-2020-04
- 質問
-
解決
クモの糸の成分を活用し、人間の生活に役立つ製品を作るネイチャー・テクノロジー(バイオミメティクス)について調べている。クモの糸の何に着目し(1 性質・特徴)、どのようにして(2 製造方法)、何を作ったか(3 製品)について書かれている資料を紹介してほしい。
できれば、小学3年生が理解できるような児童書がよいが、大人向けの一般書でもよい。ただし、専門的すぎず、大人が子供にかみ砕いて伝えられるような資料がよい。
(小学校の学校司書から)
調査済みの資料
資料1 これより詳しい資料がほしい。
- 回答
-
資料1より詳しい情報が載っている資料は以下のとおり。
なお、回答内の(1 性質・特徴)、(2 製造方法)、(3 製品)はそれぞれ質問の1、2、3に対応している。
資料1より詳しい情報が載っている児童書
※資料2と3は資料1と同じ監修者である。出版年が資料1より新しく、資料1にはない新たな情報がある。
※資料5は資料1より出版年が古いが、資料1~4で紹介されていない製品について紹介されている。
資料2 会話形式でカラーの図が掲載されている。p.20-23に「「クモ」がプラスチックを無くす!?」の項がある。
p.21に、クモの糸のたんぱく質「フィブロイン」の性質、しなやか、軽い、衝撃に強いという性質について記述がある。(1 性質・特徴)
p.22で、日本のスパイバー社が2013年に開発した人工クモの糸「QMONOS」の樹脂などへの加工や、複合素材について紹介している。(3 製品)
p.23で、クモの糸を使った人工のたんぱく質から開発している糸をカラーの図とともに紹介している。(3 製品)
資料3 p.26-31に「クモの糸から軽くてじょうぶな服」の項がある。
p.27に、衝撃に強く伸び縮みしやすい、しなやかで丈夫、環境にやさしいという性質について記述がある。(1 性質・特徴)
p.30に、「人工のクモの糸の作り方」のカラーの説明図がある。(2 製造方法)
p.31で、人工クモの糸「QMONOS」で作った糸とドレスをカラーの写真とともに紹介している。(3 製品)
資料4 p.80-81に「クモの糸→人工たんぱく質」の項がある。
p.80で、ねばり強さ、耐熱性、伸縮性を具体的な数値とともに説明している。(1 性質・特徴)
p.81で、人工合成クモ糸素材「QMONOS」を使ったアウトドアジャケットや自動車シートの試作品をカラーの写真付きで紹介している。(3 製品)
p.81で、今後応用が目指されている製品として、人工合成たんぱく質を炭素繊維と混ぜた飛行機の部品について記述がある。(3 製品)
資料5 クモ全般について、主に文章と挿画で書かれた児童書。p.89-97に「糸のパワーは底知れず」の項がある。
まず、p.91に18世紀頃のフランスで作られた手袋や靴下について記述がある。(3 製品)
次に、p.93に長年使われていた製品について記述がある。
細さや弾力性、温度変化に影響を受けにくいという性質(1 性質・特徴)
天体望遠鏡や鉄砲などのレンズの目盛り(3 製品)
最後に、p.93に今後応用が目指されている製品について記述がある。
伸縮性(1 性質・特徴)
現代の遺伝子工学の活用(2 製造方法)
ヘルメットや防弾チョッキ(3 製品)
資料1~5より詳しく、大人が子供にかみ砕いて伝えられるような大人向けの一般書
※資料7は資料6で取り上げられている経営者と資料8の著者が執筆協力した記事である。出版年は資料1より古いが、クモの糸を人工合成する方法について他の資料より詳しい説明図があるため紹介した。
資料6 p.192-206で、人工クモの糸の研究開発をしているベンチャー企業「スパイバー」の経営者が、研究開発について語っている。
p.196-197に、しなやかで強いことや堅さと強度、伸縮性、強靭性について記述がある。(1 性質・特徴)
p.197-202に、DNAの採取や微生物への組み込みなど、人工クモの糸の生産方法について説明がある。(2 製造方法)
p.201に、人工のクモの糸、人工クモの糸でつくられたドレスについて記述がある。口絵23、24にそれぞれカラー写真が掲載されている。(3 製品)
なお、人工のクモの糸が安く大量に生産できるようになったら利用できる製品として、自動車用部品や人工血管が紹介されている。(3 製品)
資料7 p.98-105に「クモの糸は夢の繊維?」という記事が掲載されている。カラー写真やカラーの図があり、文章も比較的わかりやすい。
p.102-103に、強さ、軽さ、衝撃を吸収する性能などについて記述がある。(1 性質・特徴)
p.104に、クモの糸を人工合成する手順の説明図がある。(2 製造方法)
p.105に、人工のクモの糸が自由に生産できるようになったら利用できる製品として、手術用の縫合糸や、炭素繊維との複合素材を使った防弾チョッキが紹介されている。(3 製品)
資料8 「第五章 虫たちの糸と最先端技術」の中のp.152-155に「1 クモの糸の実用とは」の項がある。
まず、p.152にフランス人が作った製品について記述がある。
ストッキングと手袋、絨毯、服(3 製品)
次にp.153に著者が作ったものについて記述がある。
バイオリンの弦(3 製品)
最後に、p.154-155に、今後応用できる可能性があるものについて記述がある。
宇宙船のロープ(3 製品)
調査方法は以下のとおり。
まず、質問者が調査済みの資料1を確認した。クモの糸について、p.74-75に掲載されている。
p.17によると、「自然に学び、それを人類存続のためのテクノロジーにしていく」ことを「ネイチャー・テクノロジー」ということがわかる。オンラインデータベースジャパンナレッジLibで<ネイチャー・テクノロジー>を全文検索すると、『現代用語の基礎知識(2019)』の「バイオミメティクス」の項がヒットした。生物の特性を人工的に模倣する技術を「バイオミメティクス」または「生物模倣工学」または「バイオミミクリ」ということがわかる。(最終検索日:2021年2月11日)
都立図書館蔵書検索でキーワードに<バイオミメティクス><生物模倣工学><バイオミミクリ>と<クモ>を掛け合わせ、用途区分を<児童資料><青少年資料>に限定して検索したところ、資料2、3、4、8を見出した。また、キーワードに<クモ 糸>を入力し、分類に<5>(技術. 工学)を選択して検索したところ、資料6を見出した。次に、こどものへやの485(節足動物)の書架をブラウジングし、資料5を見出した。
また、都立図書館雑誌記事検索で、キーワード<クモ 糸>で検索し、一般向けの科学雑誌を中心に内容を確認し、資料7を見出した。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 節足動物 (485 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】すごい自然図鑑 奇跡のテクノロジーがいっぱい! / 石田秀輝/監修 / PHP研究所 / 2011.12 / <400/5006/2011>
- 【資料2】人間の役に立っているありがた~い生き物たち / 石田秀輝/監修 / リベラル社 / 2019.3 / <460/5088/2019>
- 【資料3】科学のお話『超』能力をもつ生き物たち 第2巻 写真と絵で読める! / 石田秀輝/監修 / 学研教育出版 / 2014.2 / <460/5064/2>
- 【資料4】生物に学ぶ技術の図鑑 生物模倣技術<バイオミメティクス>の知恵 / 成美堂出版編集部/編著 / 成美堂出版 / 2018.12 / <504/5020/2018>
- 【資料5】8本あしのゆかいな仲間クモ / 谷本雄治/文 / くもん出版 / 2005.3 / <485/5012/2005>
- 【資料6】生物とコラボする バイオプラスチックの未来 (岩波ジュニア新書 759) / 工藤律子/著 / 岩波書店 / 2013.11 / <578.4/5243/2013>
- 【資料7】雑誌:ニュートン 29巻 12号 (2009年12月)
- 【資料8】糸を出すすごい虫たち (ちくまプリマー新書 328) / 大崎茂芳/著 / 筑摩書房 / 2019.6 / <481/5297/2019>
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000294750