レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2024/2/9
- 登録日時
- 2024/03/29 00:35
- 更新日時
- 2024/03/29 00:35
- 提供館
- 金沢市図書館 (2310230)
- 管理番号
- 玉川-001133
- 質問
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解決
【リンカーンの演説について】 リンカーン大統領が1865年に上院で語った次の発言について、全文が知りたい。「政府は自らの購買力と消費者の購買力を満たすのに必要なすべての通貨と信用をつくり、発行し、流通させなければならない。(中略)貨幣は人類の主人であるのをやめ、下僕となるだろう。」
- 回答
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『リンカーン演説集』(119860162)に「貨幣は人類の主人であるのをやめ」の記載なし。p.118-119にリンカーンの財政策・貨幣観がわかる一文として「現在諸君に慫慂したいことは、この争いを短期間に終らせるために、法律上の手段を諸君が供与されること、すなわちこの事業のために諸君が、少なくとも四十万の兵力と四億ドルとを政府の支配下に置かれることである。(中略)六億ドルの負債は、国民一人当りにすれば、われわれがあの独立戦争を切り抜けて来た時の革命の負債額よりも少額である。それに現在わが国の貨幣価値は当時の価値に比べて、人口増加の割合よりもずっと大きな割合で増加している。(中略)今の時において正しい結果を収めることは、それは将来には世界にとって十倍の人と十倍の金よりももっと価値のあるものとなろう。各地方よりわれわれの手元にとどいている証拠によって明らかなことは、この事業のための資源は豊富にあること、そしてただ立法の手でこれに法的裁可を与えることだけが必要であること、更に行政首長の手によりこれに実際の形態と抗力とを与えることが必要であるということである」と書かれている。
以下のリンカーンの伝記に「貨幣は人類の主人であるのをやめ」の記載なし。
『リンカーン伝』 ロード・チャーンウッド/著 (129094385)
『リンカーン伝 下』 B・P・トーマス/著 (129094590)
『リンカーン』 本間 長世/著 (11924455)p.185に「リンカーンの経済哲学のようなものを、かれの演説や手紙の文章から組み立てることは可能であろうが、かれが自身の死後に大企業の時代が到来することを予想していたとは思われないし、大統領時代に経済問題について特別の関心を抱いていたということもできないのである」と書かれている。
『リンカン 下』 ドリス・カーンズ・グッドウィン/著 (113214150)
「貨幣は人類の主人であるのをやめ、下僕となるだろう。」の原文を翻訳により類推し、原文が以下であることを複数のインターネットサイトから確認した。
「Money will cease to be master and become the servant of humanity.」
Googleブックスで検索すると、もっとも古い出典がG.G.McGeer『The Conquest of Poverty』(1935年刊)であることがわかった。
『The Conquest of Poverty』p.187-188に「Money will cease to be master and become the servant of humanity.」の一節がリンカーンの言葉として引用されている。ただし、出典は明記されていない。p.185によると、引用されているスピーチやメッセージは彼が暗殺される時期に議会に対して行ったものとのことである。
【URL】https://archive.org/details/the-conquest-of-poverty/page/188/mode/2up (2024年2月16日最終閲覧)
アメリカ議会図書館のサイトでリンカーンの上記発言が掲載された文書を探したが、見つからなかった。
【URL】https://www.loc.gov/collections/abraham-lincoln-papers/ (2024年2月16日最終閲覧)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 歴史 (2 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000348216