1)野菜に含まれる成分のうち、糖について調べる
①『日本食品標準成分表2015年版(七訂)炭水化物成分表編』p.33~42に野菜類の可食部100g当たりの含有量(g)が記載されている。利用可能炭水化物(単糖当量)として、でん粉、ぶどう糖、果糖、ガラクトース、しょ糖、麦芽糖、乳糖、トレハロースが記載され、糖アルコールとして、ソルビトールおよびマンニトールが記載されている。また、利用可能炭水化物の合計量も記載されている。
②『新食品成分表 2019』炭水化物成分表について(p.294~300)にも、①と同じ情報が掲載されている。p.294「炭水化物成分表編に収載されている利用可能炭水化物及び糖アルコールの名称」に成分と英名が掲載されている。
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[野菜]+[糖]+[貯蔵]で検索すると84件、そのうち根菜に関するものは6件。
ニンジンとダイコンは『農業技術大系』の基礎編>栽培の実際「生理・生態を活かす栽培の基本」および『農業技術大系』の共通技術・先端技術>品質・鮮度>栽培・収穫条件と収穫後の品質変化「栽培・収穫条件と収穫後の品質変化」に記事があり、ジャガイモ、サツマイモ、コカブ、サトイモは『農業技術大系』の基礎編>「栽培・収穫条件と収穫後の品質変化」に記事がある。
例えばニンジンについて内容をみる。
③『農業技術大系』の基礎編>栽培の実際「生理・生態を活かす栽培の基本」(p.基124の12~基124の13)には、「ニンジンに含まれる糖は、根の肥大とともに増加し、収穫期には非還元糖のシュークロースが還元糖のグルコースやフラクトースを上回る。シュークロースは篩部に多く、還元糖は木部に多い。」とある。第4表「糖含量の品種間差」には、生重100g当たりのグルコース・フラクトース・シュークロース・全糖が示されており、「品種間で100g当たり1mg前後の差がみられる。」とある。第17図「糖組成・含有量に対する作型の影響」で春まき・夏まき・秋まきで糖組成の変化がどのように変わるかが示されている。
④『農業技術大系』の共通技術・先端技術>品質・鮮度>栽培・収穫条件と収穫後の品質変化「栽培・収穫条件と収穫後の品質変化」(p.品質・鮮度173)には「成熟した短根ニンジンの肥大根100g中には、カロチン10mg、糖質5g、カルシウム0.4g、繊維1g、鉄0.8mg前後が含まれている。」とあり、第2表「夏まき越冬どりニンジンの品質」には、品種ごとに可溶性全糖(g/100g)が示されている。可溶性全糖は、ショ糖、ブドウ糖、果糖、全糖に分けて示されている。(p.品質・鮮度 175p)には③と同じ内容が再掲されている。(第3表、第4図も同じ)
なお、ルーラル電子図書館で挙がってきた『農業技術大系』は加除式の資料であるが、それを再編し単行本化した『野菜園芸大百科 第2版』も調べる。
⑤『野菜園芸大百科 第2版11 ニンジン・ゴボウ・ショウガ』を調べる。
(p.75~77)Ⅲ-5根部肥大と成分の変化(3)糖分の変化の項では、第58図「ニンジンの生育と炭水化物の変化」が掲載されており、全糖、蔗種、ブドウ糖、粗繊維、殿粉に分けてグラフ化している。
⑥『野菜園芸大百科 第2版 21 品質・鮮度保持』p.199には③と同じ「糖含量の品種間差」(第3表)と「糖組成・含有量に対する作型の影響」(第4図)が掲載されている。p.197には④と同じ「夏まき越冬どりニンジンの品質」(第2表)が掲載されている。
2)糖の分類や化学構造を調べる
⑦『栄養学ハンドブック』p.8に表1.2 糖質の分類 がある。
また、p.9~13に(2)糖の化学構造 が掲載されており、図1.5 天然に存在する二糖(p.12) にスクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)が挙げられている。ただし、全糖、フラクタン、ソルビトール、マンニトールはなし。
⑧『栄養・食糧学用語辞典』では、上記に出てくる糖に関する用語はすべて調査可能。構造式も掲載されている。
⑨データベース『Japan Knowledge lib』で、⑦に掲載のなかった、全糖、フラクタン、ソルビトール、マンニトールを調べる。
自然科学分野の『デジタル化学辞典』『旺文社化学事典』に限定して、それぞれ調査。全糖のみ該当なし。検索コンテンツを全てに広げても、該当するものなし。
3)糖がどのような形で蓄えられているのかを調べる
⑩『植物栄養・肥料の事典』5.4炭水化物代謝(p.196~201)には、植物の体内での炭水化物の代謝について「光合成の最終生産物はデンプン(strach)とショ糖(スクロース,sucrose)であり,従属栄養組織における最も代表的な貯蔵物質や利用物質もデンプンとショ糖である」という記述がある。また、p.197には「ショ糖はグルコースとフルクトースの還元末端同士がグルコシル結合した二糖である」「貯蔵炭水化物としてのショ糖は主に液胞に蓄えられる」「量的に多い貯蔵炭水化物としてはフラクタンがあげられる」「液胞で合成され液胞に蓄えられる」という記述がある。