フランス色つきの砂糖、カソナード、ヴェルジュワーズに関して以下の記述があった。
①『仏英独=和<新>洋菓子辞典』p66,p411
「cassonade[カソナード](独 Kassonade ,英 brown sugar) ブラウンシュガー,赤砂糖,粗糖,未精製の甘蔗糖の結晶.赤褐色でわずかにラム酒の香りがする.ある種の料理,ある種のタルト菓子に独特の香りを与える」
「vergeoise[ヴェルジュワーズ]甜菜糖または甘蔗糖の精製工程中に得られる有色(茶色)精製糖.三温糖.素材の成分を含んでいるため湿り気と香りがある.(略)北フランス,ベルギーではタルト,クレープ,ゴーフルに広く利用されている」
②『ル・コルドン・ブルーの20の素材と41のフランス菓子』p9
「Cassonade カソナード サトウキビを原料とした含蜜糖(精製度の低い砂糖)。ミツロウとゴムの成分が含まれているため、ラムのような香りと複雑な旨みがある。砂糖ダイコンを原料とした香り高い含蜜糖「ベルジョワーズ vergeoise」も同じ赤砂糖 sure roux の仲間。パティスリーに素朴な力強さと深みを加える砂糖。」
③『アシェット・デセール 3 スペシャリテ』p202
「カソナード cassonade 砂糖きびの絞り汁を煮詰めて、蔗糖を結晶化させた粗糖。あまり精製していないので、ミネラル分が残り、独特の風味がある。りんごを煮たり、クリーム・ブリュレをカラメリゼするときに使う。日本の黒糖も、フランスのシュークル・ルー(赤褐色の粗糖)と同じ目的で使える。」
④『不思議のフランス菓子』p165-167 に
「ラム酒の香りの砂糖 北フランスで多く使われる砂糖には、カソナードとヴェルジョワーズという種類がある。カソナードはサトウキビから、ヴェルジョワーズは砂糖大根から作られている。(略)また、北フランスを代表するお菓子にタルト・オー・シュクルと呼ばれるものがある。その名のとおりタルトの中が砂糖で、これがまた茶色なのである。いかにも甘そうな名前だが、このタルト、甘いだけでなく風味とコクがあってたいへんおいしい。その秘密は、グラニュー糖でも上白糖でもなく、ヴェルジョワーズを使ったところにある。(略)ヴェルジョワーズもカソナードも完全に精製されていないので、グラニュー糖で作ったお菓子より深みのある味がある。コーヒーやカカオの味が下に残るときと同じように、砂糖の甘さ以外にある種の苦みや酸味をチラッと感じる。火を入れればほんのりとラム酒の香りがする。考えてみればカソナードができるサトウキビからはラム酒も生産される」と書かれていた。
色付きの砂糖を使ったフランス菓子のレシピは以下の資料に載っていた。
⑤『Pâtissier 3 Gâteaux secs』p20-21
「Tarte sucree タルト・オ・シュクレ」の材料で「Cassonade カソナード 20g」やデコレーション用などで使用されていた。「砂糖の風味と食感を堪能すべく、パート・プリゼにカソナードを使ったクレーム・ダマンドを塗り(略)」「(略)風味の濃いカソナードを使うのがポイント」の解説があった。
⑥『簡素なお菓子』p70-71
「タルト・オ・シュクル Tarte au sucre」が載っており、材料に「カソナード 150g *フランス製の茶色い粗糖」が使用されていた。「北フランスのお菓子。本来は焼成前にビートル大根でつくる黒っぽい砂糖「ヴェルジョワーズ」を使う(略)」の解説があった。