レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年12月11日
- 登録日時
- 2024/03/13 16:38
- 更新日時
- 2024/03/15 11:53
- 管理番号
- 福参-1201
- 質問
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解決
琉球使節の江戸上りでは、どのような船が使われたのか。また、どのような日程・行程(ルート)で行われたのか知りたい。
- 回答
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【船について】
◆参考資料1『沖縄県の歴史』p.201
「乾隆四十九(一七八四)年の海運状況の一端を示す記事から、港のにぎわいが想起される。(中略)当時、琉球海運の主役として活躍した船が、マーラン(馬艦)船とよばれる地船である。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料2『琉球王国の外交と王権』p.220
「前年の嘆願理由とともに新たに加えた理由は、正月六日付の「口上覚」において、二年前に江戸への謝恩使として派遣された新垣親方が、難船のため中国へ漂着したが馬艦船を利用していたため事なきを得た。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料3『日本国語大辞典 第10巻』p.1007
「ばかん‐せん【馬艦船】」の項目に下記のとおり記述あり。
「近世の琉球海運で活躍した二本マストの航洋性の高い商船。船型・構造とも中国のジャンク技術を導入したもので、その堅牢性や帆走性能は和船をしのいでいた。(中略)俗に「まあらん船」という。」
◆参考資料4『琉球使者の江戸上り』p.69-100「六 江戸往復の旅程」に下記のとおり記述あり。
p.83-84
「大坂港では大坂船手があらかじめ準備した上荷船に乗り移り、薩摩藩主の乗船に続き路次楽を奏しつつ上陸した。(以下略)」
p.84
「大坂から京都伏見までは諸大名の出す川御座船で遡行した。(以下略)」
◆参考資料5『前近代における南西諸島と九州』p.283
「淀川に入ると、接待役の諸大名が準備した「御座船」に乗りかえて「船行列」を組み、京都の伏見までさかのぼった。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料6『日本国語大辞典 第2巻』p.525-526
「うわに‐ぶね【上荷船】」の項目に下記のとおり記述あり。図版の掲載あり。
「大型廻船の荷物の積みおろしをするために使われた喫水の浅い荷船。(以下略)」
◆参考資料7『日本国語大辞典 第3巻』p.1169
「かわ‐ござぶね【川御座船】」の項目に下記のとおり記述あり。
「河川用の屋形船。江戸時代では多く幕府や諸侯が使用したものをいう。川船のため喫水は浅いが、大船は長さ一〇〇尺(約三〇メートル)ちかく、屋形は二階造りで内外の装飾は華麗をきわめた。(以下略)」
◆参考資料8『沖縄県史ビジュアル版 8』p.14
「川内久美崎から船を出した一行は、関船とよばれる薩摩の船で、九州の西岸に沿って天草・平戸・呼子などに寄港して九州の西海岸を北上します。(以下略)」の記述あり。
また、p.6-7「薩摩から船出する琉球使節(鹿児島市立美術館蔵)」やp.18-19「船で淀川を上る琉球使節(国立公文書館蔵)」など関連史料の掲載あり。江戸上りで使用された船の絵画を確認できる。
◆参考資料9『日本国語大辞典 第7巻』p.1326
「せき‐ぶね【関船】」の項目に下記のとおり記述あり。図版の掲載あり。
「室町時代、瀬戸内海の主要航路上の港湾を中心に設けられた海関所属の船から転じて、戦国時代から江戸時代にかけて使われた軍船の船型の呼称。安宅船(あたけぶね)より小型で軽快な行動力をもつ快速船で、周囲に防御装甲をもつ矢倉を設け、適宜、弓・鉄砲の狭間(はざま)をあける。安宅船とともに水軍の中心勢力を形成し、慶長一四年(一六〇九)安宅船が禁止されてからは諸藩の水軍の基幹勢力となった。(中略)諸大名の御座船に使用された。(以下略)」
【日程・行程(ルート)について】
◆参考資料10『日本大百科全書 3』p.576-577「江戸上り」の項目あり。
p577『琉球人行列図』(1832年 沖縄県立博物館)の説明に下記のとおり記述あり。
「一行は鹿児島から船で玄海・瀬戸内海を経て大坂に着き、淀川をさかのぼって伏見に上陸、東海道を江戸に向かった。(以下略)」
◆参考資料11『沖縄大百科事典 上』p.348「江戸上り」の項目に下記のとおり記述あり。
「襲職・襲封の2、3年後に派遣されたが、鹿児島から伏見までは船路、伏見からは美濃路(宝永7年までは鈴鹿路)・東海道を経由した。江戸の滞在は約1カ月で、出発から帰国まで300日をふつうとし、1671年(寛文11)と1790年(寛政2)は500日以上もかかった。(以下略)」
◆参考資料1『沖縄県の歴史』p.148
「琉球と江戸との往復は、およそ一年前後を要する長旅であった。琉球を出帆して薩摩から船で瀬戸内海ルートで大坂に至り、伏見まで淀川を船でさかのぼり、伏見から美濃路(第七回までは鈴鹿路)をへて、東海道を旅した。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料4『琉球使者の江戸上り』p.75
「江戸上りのコースは、那覇―(海路)―山川―(陸路)―鹿児島―(陸路)―久見崎(川内=千台)―(海路)―大坂―(水路)―伏見―(陸路)―江戸で、往復日数はほぼ一年であった。」の記述あり。
◆参考資料5『前近代における南西諸島と九州』p.282-283
「江戸上りの旅程について見ると、鹿児島から大坂までの一般的コースとしては、鹿児島から陸路で伊集院―市来などをへて、川内河口の久美崎から海路に出る。天草―牛深―平戸など九州西岸の港をへて瀬戸内海に入り、下関―御手洗―鞆―牛窓―縄島(直島)―播州室津―明石―兵庫などの主な港に寄港したのち、大坂の木津川河口に到る。淀川に入ると、接待役の諸大名が準備した「御座船」に乗りかえて「船行列」を組み、京都の伏見までさかのぼった。(以下略)」の記述あり。
◆参考資料8『沖縄県史ビジュアル版 8』p.6-7
1710年・1832年・1850年の江戸上りの行程を示した日本地図の掲載あり。
また、関連史料の掲載あり。
◆参考資料12『琉球国使節渡来の研究』p.375-470「資料篇第二 琉球国使節渡来資料」に下記のとおり掲載あり。
p.377-379「表14 琉球国賀慶使・恩謝使」
渡来年次や出発・到着の日程の記述あり。
p.394-413「琉球国使節渡来の日程・行程」
1643年(寛永20年)から1850年(嘉永3年)までの日程・行程の記述あり。
◆参考URL1「琉球使節の江戸立ち展」(沖縄県立博物館・美術館)(https://www.tsunagaru-map.com/edodachi/index.html 最終確認2024.2.24)
1832年の江戸上りの往復の行程がわかる日本地図の掲載あり。
また、関連史料の掲載あり。
- 回答プロセス
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①事典類で調べる。
「江戸上り」の項目を確認。
②一般図書で調べる。
自館OPACでキーワード「江戸上り」「琉球使節」「沖縄」「歴史」「江戸時代」等で検索。
関連の書架をブラウジング。
③「レファレンス協同データベース」で類似の質問がないか調べる。
「江戸上りに関する資料を教えてほしい。(沖縄県立図書館)」(URL:https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000101058)が見つかる。
参考資料のうち自館所蔵資料を確認。
- 事前調査事項
- NDC
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- 九州地方 (219)
- 参考資料
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1.安里進, 高良倉吉, 田名真之, 豊見山和行, 西里喜行, 真栄平房昭 著. 沖縄県の歴史 第2版. 山川出版社, 2010. (県史 ; 47)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011189166 , ISBN 978-4-634-32471-8 (219/9/224) -
2.豊見山和行 著. 琉球王国の外交と王権. 吉川弘文館, 2004.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007382527 , ISBN 4-642-03387-4 (219/9/227) -
3.日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編. 日本国語大辞典 第10巻 第2版. 小学館, 2001.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003057074 , ISBN 4-09-520950-X (813/1R/96-10B) -
4.宮城栄昌著. 琉球使者の江戸上り. 第一書房, 1982-10. (南島文化叢書 4)
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000074-I000047583 (380/8/29-4) -
5.丸山雍成 編. 前近代における南西諸島と九州 : その関係史的研究. 多賀出版, 1996.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002487945 , ISBN 4-8115-4031-X (219/9/118) -
6.日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編. 日本国語大辞典 第2巻 第2版. 小学館, 2001.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002966612 , ISBN 4-09-520950-X (813/1R/96-2B) -
7.日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編. 日本国語大辞典 第3巻 第2版. 小学館, 2001.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002987787 , ISBN 4-09-520950-X (自館請求記号:813/1R/96-3B) -
8.沖縄県文化振興会公文書管理部史料編集室 編集. 沖縄県史ビジュアル版 8. 沖縄県教育委員会, 2001.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I30111100413880 (219/9/150-8) -
9.日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編. 日本国語大辞典 第7巻 第2版. 小学館, 2001.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003020831 , ISBN 4-09-520950-X (813/1R/96-7B) -
10.日本大百科全書 3 (うえーおおち). 小学館, 1985.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001733318 , ISBN 4-09-526003-3 (031/R/70-3) -
11.沖縄大百科事典刊行事務局. 沖縄大百科事典 上卷. 沖縄タイムス社, 1983.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000074-I000057043 (291/99R/20) -
12.横山学 著. 琉球国使節渡来の研究. 吉川弘文館, 1987.
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001842260 , ISBN 4-642-03277-0 (210/5/147) - 琉球使節の江戸立ち展(沖縄県立博物館・美術館) https://www.tsunagaru-map.com/edodachi/index.html (2024.2.24最終アクセス)
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1.安里進, 高良倉吉, 田名真之, 豊見山和行, 西里喜行, 真栄平房昭 著. 沖縄県の歴史 第2版. 山川出版社, 2010. (県史 ; 47)
- キーワード
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- 琉球国
- 琉球使節
- 江戸上り
- マーラン船
- 馬艦船
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000347347