レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/11/06
- 登録日時
- 2023/12/02 00:30
- 更新日時
- 2024/02/22 10:35
- 管理番号
- 16068334
- 質問
-
未解決
昭和16年~21年の間の日本国内の公共図書館の設置数について調べております。
この間の統計を確認できる資料を、ご教示ください。
- 回答
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ご照会の内容につきまして、昭和16年~21年の網羅的な公共図書館数が掲載されている資料は見当たりませんでした。ただし、一部、昭和17年4月現在の数値に言及した資料があります(②③)。
貴館未確認の資料として、以下の資料をご参考までにご紹介します。【 】内は国立国会図書館請求記号です。書誌事項末尾に◎を付した資料は国立国会図書館デジタルコレクションの国立国会図書館内/図書館・個人送信対象資料、☆を付した資料は同インターネット公開資料です。
① 文部省年報(昭和16年度~昭和20年度)
当館が所蔵している昭和16年度~昭和20年度の文部省年報は以下の通りです。いずれの年度にも、都道府県立図書館・市町村立図書館の統計については記載がありませんでした。
なお、『文部省年報 第68年(昭和15年度)』【370.59-M753m】には、「第二編 統計の部」p.847に「図書館(官公私立)」の表が掲載されています。・『文部省年報 第69年(昭和16年度)』(文部省 1950 【370.59-M753m】)
「はしがき」に、戦争の影響で未刊行となっていたこと、編集資料の不備によって一部調査を欠くものがある旨の記載があります(以下、昭和20年度のものまで「はしがき」に同様の趣旨の記載があります)。
「学校附属図書館」の項目(pp.664-667)に昭和16年度の大学図書館の統計が掲載されています。また「[6]直轄各部」の「帝国図書館」の項目(p.677)に、昭和16年度の帝国図書館の統計が掲載されています。・『文部省年報 第70(昭和17年度)』(文部省 1950 【370.59-M753m】)
「学校附属図書館」の項目(pp.425-427)に昭和17年度の大学図書館の統計が掲載されています。また「[6]直轄各部」の「帝国図書館」の項目(pp.435-436)に、昭和17年度の帝国図書館の統計が掲載されています。・『文部省年報 第71(昭和18年度)』(文部省 1950 【370.59-M753m】)
「学校附属図書館」の項目(pp.365-366)に昭和18年度の大学図書館の統計が掲載されています。また「[6]直轄各部」の「帝国図書館」(p.371)の項目に、昭和18年度の帝国図書館の統計が掲載されています。・『文部省年報 第72(昭和19年度)』(文部省 1950 【370.59-M753m】)
「20 図書館」の項目(pp.430-432)に昭和19年度の帝国図書館と大学図書館の統計が掲載されています。・『文部省年報 第73(昭和20年度)』(文部省 1950 【370.59-M753m】)
「[17]直轄各部」の「国立図書館」の項目(p.393)に昭和20年度の国立図書館の統計が掲載されています。「[20]大学附属図書館」の項目(pp.400-402)に昭和20年度の大学図書館の統計が掲載されています。なお、『文部省年報』について、以下の資料に記載の情報を参考としてお知らせします。
東洋経済新報社 編『昭和国勢総覧 下巻』東洋経済新報社, 1980【DT31-24】◎
p.453:「16 教育・文化」の項目の解説が掲載されています(「16-55図書館数と蔵書数(p.452)」では、大正9年から昭和15年度までの毎5年度の統計が掲載されています)。昭和22年度までの学校関係の調査統計は『文部省年報』に記載があったとの記載があります。また、昭和15~22年度の年報は未刊であり、戦争後の24~26年の間に刊行されたことと合わせ、対象期間が「戦時体制化およびその崩壊の時期にあたり、資料の不備、調査の欠落部分がある」とあります。②『図書館管理法関係資料』(1994 【013-To571】◎)
p.1に「1 図書館概況」として昭和17年4月1日時点の公共図書館数が掲載されています。出典として「文部省教化局調:「教化局所管施設一覧」」が挙げられています。
なお、「3 図書館普及状況」として昭和18年12月時点の市町村別の図書館設置・未設置市町村数が掲載されています。出典として「帝国議会説明資料(昭和18年12月)」が挙げられています。③石井敦「公共図書館の百年--活動を中心に」(『現代の図書館 = Libraries today 6(4)』(日本図書館協会 1968 pp.170-186【Z21-8】◎)
p.181に以下のような記述があります。
「昭和17年4月現在, 文部省教化局調「教化局所管資料一覧」によると, 図書館数4,330, 内府県立47, 市立282, 町村立2,806, 組合立31, 私立1,164となっており」④『日本出版年鑑 昭和18年版』(協同出版社 1943 【025.1-N688-K】☆)
第六部「全国主要図書館一覧」(pp.949-963)に昭和十七年の主要な官立・都道府県・都市立・町村立・組合立・市立図書館名が掲載されています。「文部省教化局調査昭和十七年四月一日現在」の記載があります。
当該箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/pid/1823359/1/485
同第六部に「高専・大学図書館一覧」(pp.964-969)があり、昭和十八年の高等学校・専門学校・大学の図書館の統計が掲載されています。「昭和十八年六月一日現在」、「昭和十五年末現在の記録によつたものも若干ある」との記載があります。
当該箇所のURL:https://dl.ndl.go.jp/pid/1823359/1/493⑤『図書館年鑑 2000』(日本図書館協会 2000 【Z45-12】)
第二次世界大戦前から第二次世界大戦中にかけて、図書館を所掌していた機関に変動があります。p.256「資料 図書館法と国の図書館政策」に以下のような記述があります。
「1929年(昭和4) 7月 文部省社会教育局設置, 図書館と図書選定・推薦に関する事項を所掌」
「1942年(昭和17) 4月 文部省機構改革, 文化施設課が図書館を所管」
「1942年(昭和17) 11月 文部省社会教育局廃止, 教化局が図書館を所管」
「1945年(昭和20) 10月 文部省社会教育局設置」⑥『近代日本教育制度史料 第1巻』(大日本雄弁会講談社 1956 【373-Ki234-K】◎)
昭和十八年に教化局は廃止され、教化局の事務は教学局で行われました。
p.313に以下のような記述があります。
「十八年一月には再び官制改正が行われて、図書局と教化局とが廃止され、教化局の事務は教学局に、図書局の事務は専門、国民両教育局に分配され、これに応じて臨時職員の配置も変更された。」
またpp.345-347に、昭和18年11月1日に公布された「勅令第八百十二號」が掲載されており、第七條「教學局に於テハ左の事務を掌ル」の第六項で「圖書館及博物館(科學博物館ヲ除ク)竝ニ各種観覧施設ニ關スル事項」と記載されています。<その他の調査済み資料>
以下の資料には昭和16年~21年の図書館統計についての記載はありませんでした。・小畑渉「図書館統計論」(『図書館界1 (3)』日本図書館研究会 1949.10 pp.33-36【YA5-107】)
・益野正美「我が国に於ける図書館統計の反省」(『図書館界4 (3)』日本図書館研究会 1952.11 pp.78-83,94【YA5-107】)
・日本図書館研究会大阪地区研究グループ「公共図書館に於ける図書館統計について-1-」(『図書館界6 (3)』日本図書館研究会 1954.6 pp.102-105【YA5-107】)ウェブサイト最終アクセス:2023年11月2日
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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・日本近代公共図書館史の研究 石井 敦/著 日本図書館協会 1972 国立国会図書館書誌ID:000001237385
p.296-297 「公共図書館統計」
・学制百年史 資料編 文部省/編 帝国地方行政学会 1972 国立国会図書館書誌ID:000001187329
p.449 「第26表 図書館(公共図書館)(つづき)」
「学制百年史」では昭和16年~21年の統計が欠落しており、「日本近代公共図書館史の研究」では昭和18年~20年の統計が欠落しております。
・日本長期統計総覧 第5巻 (住居,社会保障,保健医療,教育・文化,科学技術, 公務員・選挙,司法・警察,災害・事故,国防) 日本統計協会/編 日本統計協会 1988.5 国立国会図書館書誌ID:000001940519
p.292の「22-18 図書館(明治6~昭和59年)-続き」で、図書館設置数をまとめていますが、「学制百年史」に準じた表。
●文部省年報を確認
・日本帝国文部省年報 第65年報 自昭和12年4月 至昭和13年3月 下巻 復刻版 宣文堂 1974.11(元の版の出版は昭和18年7月) 国立国会図書館書誌ID:000001198861
p.245に「第79表 図書館(官公私立) 昭和12年度」とある。
・大日本帝国文部省年報 第67年報 自昭和14年4月 至昭和15年3月 下巻
文部大臣官房文書課 1946.1発行(カバーアップされる前の奥付には「昭和十九年三月二十八日印刷 文部省總務局調査課」とあり) 国立国会図書館書誌ID:000000700884
p.251に「第80表 図書館(官公私立) 昭和14年度」とある。
・文部省年報 第74年報 昭和21年度 〔文部省/編集・発行 1951.5〕 国立国会図書館書誌ID:000000875942
目次を見ますと、第1編 省務、第2編 学事のみの構成となっており、第67年報までに見られる「図書館」の項目が見られません。
冒頭のはしがきには、戦時中刊行に支障を来たしたこと、戦後未刊の分を整理したこと、当時の情勢により調査が簡略化されていたこと、資料の不備により一部の調査を欠いていること、などが述べられています。
●日本図書館協会の統計を確認
・「日本の図書館52年53年集計分析解説」 『図書館雑誌』48年6号 通巻363号
昭和29年6月号 日本図書館協会 1964.6 p.6-27
p.7-8の表によると、図書館数について、1940(昭和15)年~1945(昭和20)
年の間の統計が欠落している。
また、p.6の「1.公共図書館の概観」の項目で、「本票の資料は,主として、文部省普通学務局『図書館一覧』により…」とある。
文部省発行の「図書館一覧」で、国立国会図書館の所蔵と国立公文書館アーカイブを検索したのですが、該当は見つけることができませんでした。
・日本の公共図書館 1952 日本図書館協会/編集・発行 1953.1 国立国会図書館書誌ID:000000930043
1952年7月時点の各図書館の統計をまとめており、図書館数のとりまとめは掲載されていない。過去の統計も取り上げていない。
・日本の図書館 1953 日本図書館協会/編集・発行 1954.2 国立国会図書館書誌ID:000000930043
1953年8月時点の各図書館の統計をまとめている。「公共図書館集計」で取りまとめ結果を掲載している。過去の統計は取り上げていない。
●昭和16~21年の図書館雑誌等に図書館数等の調査を取り上げたものがないか確認
・「図書館雑誌」第36年第7号 通巻272号 昭和17年7月 日本図書館協会 1942.7 国立国会図書館書誌ID:000000017187
p.24-27に大阪府立図書館実施の「市町村立図書館に関する調査」
p.28-30に文部省文化施設課実施の「公立図書館職員調査表(昭和17年5月1日現在)」
が掲載されているが、直近(昭和15年)の統計である「文部省年報 第67年報」と比較すると、図書館数の乖離が大きい。
- NDC
-
- 図書館経営・管理 (013)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 人文(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000342780