学術論文や学術雑誌の掲載記事が、
インターネットを通じて誰でも自由に閲覧できることを「オープンアクセス」といいます。
「オープンアクセス」には<グリーン・オープンアクセス(セルフアーカイブ)>と、
<ゴールド・オープンアクセス(オープンアクセス出版)>の2種類があります。
以下のサイトなどが参考にできますので、ご確認ください。
京都大学図書館機構 > オープンアクセスについて > オープンアクセスとは
https://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/content0/13087【最終アクセス2021/02/24】
『Nature』など、定期購読を前提として出版される雑誌の記事を、
完成原稿でオープンアクセス化するには、
出版社にオープンアクセスで出版するための論文掲載料(APC;article processing charge)を支払う必要があります。
ちなみに2021年1月現在、『Nature』のAPC to publish Open Accessは、€9,500ということです。
nature > for authors > publishing options
https://www.nature.com/nature/for-authors/publishing-options【最終アクセス2021/02/24】
また、出版社によっては、校正の段階でどのバージョンの記事なら、
ResearchGateに上げてよいかを指定していることがあります。
その一例として、少し古い記事ですが、
Wiley-JAPANブログ『ワイリー・サイエンスカフェ』に公開されている記事をご紹介します。
以下Wileyの場合という事を踏まえてご覧ください。
「ジャーナルに掲載された自分の論文をネット公開してもいい? 友人にメールで送るのは? 論文著者が権利上やっていいこと・ダメなこと」(投稿日: 2014年12月25日)
http://www.wiley.co.jp/blog-html/blog/pse/p_30591/【最終アクセス2021/07/29】
1. Submitted Version (preprint)
○ 出版社への投稿後(一部のジャーナルでは正式出版後)、以下で公開可
著者の個人サイト(研究室ホームページ・ResearchGateの個人ページなど)
大学・企業など所属機関のサーバー(機関リポジトリ)
非営利の分野別サーバー(プレプリントアーカイブ。arXivなど)
公開したファイルを後から正式版に差し替えることはできません。また論文がアクセプトされたらその旨記載するとともに、出版後は以下の文面の注意書きと正式版へのリンクを入れて下さい。 “This is the pre-peer reviewed version of the following article: (論文の書誌情報), which has been published in final form at http://…(正式版へのリンク).
○ 論文のコピーや電子ファイルを、他の研究者・知人に個人的に送ることができます。
× 一方、システマチックな方法での配布・共有(メーリングリストに載せるなど)は不可となっています。
2. Accepted Version (postprint)
○ 正式出版後、理工医学では12か月、人文社会科学では24か月の猶予期間(embargo)を経たのちに以下で公開可
著者の個人サイト(研究室ホームページ・ResearchGateの個人ページなど)
大学・企業など所属機関のサーバー(機関リポジトリ)
Wileyが指定する(*)非営利の分野別サーバー * AgEcon, arXiv, PhilPapers, PubMedCentral, RePEc, Social Science Research Network (2014年12月現在)
公開したファイルを後から正式版に差し替えることはできません。また出版後は、以下の文面の注意書きと正式版へのリンクを入れて下さい。 “This is the accepted version of the following article: (論文の書誌情報), which has been published in final form at http://…(正式版へのリンク). “
○ 論文のコピーや電子ファイルを、他の研究者・知人に個人的に送ることができます。
× 一方、システマチックな方法での配布・共有(メーリングリストに載せるなど)は不可となっています。
3. Version of Record (VoR)
× 掲載ジャーナル以外の場所でのネット公開は、一律に不可となっています。(論文出版料金 Article Processing Charge = APC を支払ってオープンアクセスにした論文は除く)
○ 大学でジャーナルを購読していないなどでアクセス権のない読者に論文を読んでもらいたい場合は、例外的に次の方法が認められています。
コレスポンディングオーサーが最大10人を選んで、特別に無料アクセスを提供することができます(著者専用サイト Wiley Author Services から設定)
論文のコピーや電子ファイルを、他の研究者・知人からの個別のリクエストに応じて無償で送ることができます
○ 著者が所属する機関で行う授業の教材(コースパック)など、教育・研修目的での利用は認められています。その場合、機関の外部から該当の論文にアクセスできないよう、ID・パスワードなど適切な方法でアクセス制限を行うことが条件になります。
× 一方、外部向け・営利目的のセミナーなど、通常の教育活動以外での利用は認められていません。
<引用ここまで>
このように正式版(Version of Record)も、
「他の研究者・知人からの個別のリクエストに応じて無償で送ること」を認める出版社もあります。
正式版が必要であれば、たとえばResearchGateの「Request full-text」から、
著者に論文をリクエストすることが出来ます。
すべての著者に必ずご対応頂けるとは限りませんが、一つの選択肢として覚えておくと便利です。