レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/7/6
- 登録日時
- 2023/04/01 00:31
- 更新日時
- 2024/03/30 00:43
- 管理番号
- M23031015238806
- 質問
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大正時代の玄関の呼び鈴について、電気式だったのかどうか知りたい。
- 回答
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質問内容について明確に記載されている資料は見つからなかった。
参考になりそうな資料として以下のものを紹介した。
①『明治事物起原 下巻』では、「電気呼鈴」の項目に萬延元(1860)年の頃から実用されたとあるが、例示されているものは旅館や料理屋などの室内で用いられた呼び鈴となっている。
②『図説日本住宅の歴史』では、明治39(1906)年まで夏目漱石が住んでいた家の間取り図が掲載されており、門の格子戸に鈴がついていたとされている。
③~⑧は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能な資料。うち⑦⑧は小説内の描写。
③『漢和大字書 十八版』1911(明治44)年では、「鈴」の項目に、「門鈴」の説明として「門戸につけたる鈴」と記載されている。
④『誰にも出来る金儲 新奇妙案』1916(大正5)年では、「電鈴の賃貸」の項目に、「此の電鈴は、日本のやうに一寸した家でも門などのある處では非常に必要なものだが、未だ一般に用いられて居らないやうだ。(中略)如何にも大袈裟に感じられ、又家に依つては柄でないなどと思つて居るかららしい。」と記載されており、月極で門に設置する電池式の呼び鈴を貸し出し、電池は月一回程度替えるという商売が提案されている。
⑤『電気物語』1918(大正7)年では、「文雄君の取りつけた電鈴」の章に、父の買ってきた電池式の呼び鈴を取りつける様子が描かれており、p.108には取り付け後の様子を描いた挿し絵が掲載されている。また、門のそばには既に鐘が取りつけてあったことが描写されている。
⑥『家庭と電気 人間生活の電気化』1922(大正11)年では、「呼鈴」の章に、「家が少し大きくなり殊に西洋室でもあると是非共呼鈴が必要になる。」として、電気式の呼び鈴で、電池を用いるものと電線を用いるものが紹介されており、後者の方が「確実であつて寧ろ経済的であると思ふ」としている。
⑦『血染の釘』1893(明治26)年では、呼び鈴(鐘)を鳴らす様子が描写されている。
⑧『特志解剖』1925(大正14)年では、「車夫は玄関の呼び鈴を押した。」「車夫は又やけにボタンを押した。」など、玄関でボタン式の呼び鈴を押す様子が描写されている。
⑨~⑫は読売新聞データベースヨミダス歴史館収録記事。
⑨1933(昭和8)年11月13日朝刊p.9「軽便で安価にできる 家庭用の呼鈴」の記事に、鈴を用いたものが紹介されている。
⑩1935(昭和10)年3月26日朝刊p.9「電燈を利用して玄関へ呼び鈴を」の記事に、電燈の電線を利用して呼び鈴を鳴らす方法が紹介されている。
⑪1940(昭和15)年4月17日朝刊p.4「簡便な呼び鈴」の記事に、鈴を用いたものが紹介されている。
⑫1952(昭和27)年4月10日朝刊p.4「門に呼鈴をつけたい」の記事に、電燈線から引く方法と乾電池を使う方法について、材料や費用が紹介されている。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 衣食住の習俗 (383 9版)
- 参考資料
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①石井研堂『明治事物起原 下巻』 春陽堂書店,1996,685-1538p. 参照はp.1443.
②平井聖『図説日本住宅の歴史』 学芸出版社,2021,139p. 参照はp.96-97.
③重野安繹『漢和大字書 十八版』三省堂,1911,1746p. 参照はp.1513-1514.国立国会図書館デジタルコレクション(最終閲覧日2023.3.10)
https://dl.ndl.go.jp/pid/2938226
④金々先生『誰にも出来る金儲 新奇妙案』雲泉書屋,1916,208p. 参照はp.135-136.国立国会図書館デジタルコレクション(最終閲覧日2023.3.10)
https://dl.ndl.go.jp/pid/911592
⑤自学奨励会『電気物語』自学奨励会,1918,312p. 参照はp.99-118.国立国会図書館デジタルコレクション(最終閲覧日2023.3.10)
https://dl.ndl.go.jp/pid/953653
⑥鳥潟右一『家庭と電気 人間生活の電気化』工業教育会,1922,210p. 参照はp.40-42.国立国会図書館デジタルコレクション(最終閲覧日2023.3.10)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/970383
⑦鉄血子『血染の釘』春陽堂,1893,110p. 参照はp.4-5.国立国会図書館デジタルコレクション(最終閲覧日2023.3.10)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/887222
⑧正木不如丘『特志解剖』春陽堂,1925,358p. 参照はp.265-267.国立国会図書館デジタルコレクション(最終閲覧日2023.3.10)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1018145
⑨「軽便で安価に出来る家庭用の呼び鈴」『読売新聞データベース ヨミダス歴史館』(最終閲覧日2023.3.10)1933年11月13日朝刊,p.9.
⑩「電燈を利用して玄関へ呼び鈴を」『読売新聞データベース ヨミダス歴史館』(最終閲覧日2023.3.10),1935年3月26日朝刊,p.9.
⑪「簡便な呼び鈴」『読売新聞データベース ヨミダス歴史館』(最終閲覧日2023.3.10),1940年4月17日朝刊,p.4.
⑫「門に呼鈴をつけたい」『読売新聞データベース ヨミダス歴史館』(最終閲覧日2023.3.10), 1952年4月10日朝刊,p.4.
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①石井研堂『明治事物起原 下巻』 春陽堂書店,1996,685-1538p. 参照はp.1443.
- キーワード
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- 呼鈴
- 電鈴
- 門鈴
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- M2023031015295038806
- 調査種別
- 内容種別
- 質問者区分
- 全年齢
- 登録番号
- 1000331529