レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/11/02
- 登録日時
- 2021/03/31 00:30
- 更新日時
- 2021/03/31 15:51
- 管理番号
- 所沢富岡-2020-012
- 質問
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解決
吉田松陰は虜囚生活中に読書記録を残していたと聞いたが、どんな本を読んでいたのか知りたい。
- 回答
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吉田松陰は、萩の野山獄(のやまごく)に投獄された一八五四年末から、(安政二年十二月十五日に獄を免ぜられて出獄し)在所蟄居していた一八五七年末に至るまでの足掛け四年にわたって、「野山獄読書記」に読了書籍を記録していました。
その他、自己の短評感想などを付記した『読余雑抄』からも、松陰がこの時期に読んだ本をうかがい知ることができます。
以下の資料に記載があります。
〇『松陰の本棚』 桐原健真/著 吉川弘文館 2016年
〇『吉田松陰全集 第9巻』 吉田松陰/[著] 大和書房 2012年
〇『吉田松陰全集 第8巻』 [吉田松陰/著] 岩波書店 1986年
〇『典籍清話』 徳富猪一郎 著 民友社 1932年
- 回答プロセス
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1.所蔵資料の内容を確認する
○『松陰の本棚』 桐原健真/著 吉川弘文館 2016年
p.72-122 「読書の人」の項目あり。
『資治通監』『日本外史』『日本外史補』のほか、『野山獄読書記』に記述のあった書名の記載あり。
2.後日調査による追加事項
△『講孟余話ほか』 吉田松陰/[著] 中央公論新社 2002年
p.301-328 「野山獄文稿(抄)」の項目あり。
p.313-315 「桂小五郎に与うる書」の中に以下の記載あり。
「最近、ひまをみつけ、『資治通鑑』を読み、「梁紀」のところまで読みすすみました」
『野山獄文稿』とは、入獄中の述作を集めたもので、松陰自身が編集したもの。(『幽囚録』ほか五十数篇を収める)
×『近代日本形成過程の研究』 福地重孝先生還暦記念論文集刊行委員会/編 雄山閣 1978年
p.29-49 「『西遊日記』にみる吉田松陰の研究」の項目の中に「四 読書方面の考察」の項目あり。
『中興鑑言』ほか読書歴を列挙
『西遊日記』は、九州旅行の記録(質問の回答には該当しない)
3.県内所蔵資料の内容を確認する
〇『吉田松陰全集 第9巻』 吉田松陰/[著] 大和書房 2012年
p.403-459 「野山獄讀書記」の収録あり。
p.599-608 「解題」の中に「野山獄読書記」についての記載あり。
p.604-605 「松陰の手抄したものに「読余雑抄」十冊 本巻四六〇項参照 があり、おなじく野山入獄以来、安政六年東行前にいたる間の読書の際の原点よりの抄録ならびに自己の短評感想を付記したものであるが、その抄録原典の書名は「野山獄読書記」のそれと大部分一致」との記載あり。
「解題」に前出の資料で挙げられている著作について、以下の記載あり。(質問の回答には該当しない)
①野山獄入獄以前のもの
②松陰自身が読んだ書籍の記録ではないもの
③野山獄を出た後のもの
〇『吉田松陰全集 第8巻』 [吉田松陰/著] 岩波書店 1986年
p.383-584 「讀餘雜抄」を収録、以下の記載あり。
p.395-409 「讀餘雜抄一(摘要) 野山獄 令義解十巻 甲寅十一月念四日始、念七日卒 (以下略)」
p.410-435 「讀餘雜抄二(摘要) 野山獄 (以下略)」
△『吉田松陰の愛読書を読む』 北影雄幸/著 勉誠出版 2014年
吉田松陰が読んだとされる書籍について詳しく記載されているが、それが虜囚生活中に読んだものであるかについての記載は見当たらない。
4.国立国会図書館デジタルコレクション
〇『典籍清話』 徳富猪一郎 著 民友社 1932年
p.110-114 「(前略)安政元年十月廿四日、而して年末まで實に百六冊許りを読破してゐる」との記載があり、この期間に読んだ本の一覧あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本語 (081 9版)
- 個人伝記 (289 9版)
- 参考資料
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- 松陰の本棚 桐原健真/著 吉川弘文館 2016.11 289.1 978-4-642-05837-7
- 吉田松陰全集 第9巻 吉田松陰/[著] 大和書房 2012.2 081.5 978-4-479-86020-4
- 吉田松陰全集 第8巻 [吉田松陰/著] 岩波書店 1986 081.5
- 典籍清話 徳富猪一郎 民友社 1932
- 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/ 2021/3/28
- キーワード
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- 吉田松陰
- 野山獄読書記
- 読書録
- 虜囚
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000295989