レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年08月17日
- 登録日時
- 2023/11/11 13:05
- 更新日時
- 2023/11/16 09:16
- 管理番号
- 000011076
- 質問
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解決
明治大正期の萩の人は「伊藤、井上、犬の糞 それよりおおきは、内藤、児玉」などと言ってバカにしていた、と聞いたが、そのようなことが言われていたのか知りたい。
- 回答
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“国立国会図書館デジタルコレクション”にて、「伊藤井上、犬の糞」のキーワードで検索すると、14件ヒットするため、そのような文言がある程度言われていたことはうかがえる。
なお、ほとんどが、「伊藤」「井上」という姓は、長州において多い、ありふれた姓の例として用いられてる。以下に主な例を挙げる。
「伊勢屋稲荷に医者犬の糞とは、旧時江戸市中に数多く散在したればなり。長州萩にては、伊藤井上犬の糞と、今も言ふとぞ」
斎藤緑雨 著『みだれ箱』,博文館,明36.5. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/888314/1/71 (参照 2023-11-11) 71コマ目 インターネット公開資料
「長州の俚謡に『伊藤、井上犬の糞まだも多いのか児玉、内藤』と、この両君(引用者注:児玉準一郎(淳一郎)、児玉少介)とも昔時は長藩の重臣にて、藤公(引用者注:伊藤博文)も敬意を払い、交際し居られしと覚ゆ。」
里村千介 著『藤公美談 : 附・諸名士逸話』,精華堂書店,大正14. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/951639/1/247 (参照 2023-11-11) 247コマ目 図書館・個人送信資料
「氏名に多い少いがあるのは已むを得ないこと、山口県で「伊藤井上犬の糞」と云ひ、その中から伊藤公井上侯が現れたのは現れる蓋然性が最も多かつたのに因る。」
三宅雄二郎 著『面白くならう』,帝都日日新聞社,昭13. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1267866/1/215 (参照 2023-11-11) 215コマ目 インターネット公開資料
「「伊藤井上犬の糞、まだも多いは児玉内藤」と云ふ俗謡がある程長州には内藤姓が多い。」
今泉源吉 著『先駆九十年美山貫一と其時代』,みくに社,昭和17. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1057843/1/24 (参照 2023-11-11) 24コマ目 図書館・個人送信限定資料
「鼻たれ小僧の伊藤博文は親爺の十蔵につれられて萩に出て、伊藤、井上、犬の糞といわれるほど萩に多い伊藤姓の士族の株を買つて親子で入籍、そして土百姓の足を洗つたのであるが、(以下略)」
谷耕平 著『歴史をつくる学生たち』,東京大学協同組合出版部,昭和23. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1062478/1/75 (参照 2023-11-11) 75コマ 図書館・個人送信限定資料
また、「井上、犬の糞」のキーワードで検索すると21件ヒットする。その中には「伊藤」の代わりに「粟谷」となっているものや、萩ではなく岩国の例として類似の言いまわしがある例などがみえる。
「児玉の姓は、防長に於て最も多数且つ著名なるものゝ一に数へらる。即ち同地方の俚諺に「粟谷井上犬の糞まだも多いは児玉内藤と謡はるゝを見ても如何に児玉家の一門が此地方に繁茂せるかを見るべく、(以下略)」
森山守次, 倉辻明義 著『児玉大将伝』,星野暢,明41.10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/781354/1/39 (参照 2023-11-11) 39-40コマ目 インターネット公開
「森脇・井上犬の糞(くそ) 今田のかどに掃き捨てよ」
庄司忠 著『岩国市並に錦川沿線風土誌稿』上,岩国病院,1972. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/9773390/1/60 (参照 2023-11-11) 60コマ目 図書館・個人送信限定資料
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (21 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 山口県--歴史--近世
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000340930