レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/1/7
- 登録日時
- 2022/01/23 00:30
- 更新日時
- 2022/01/23 00:30
- 提供館
- 宮城県図書館 (2110032)
- 管理番号
- MYG-REF-200198
- 質問
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解決
神棚や蔵,台所等に貼ってお祀りする,紙に描かれた御神像(大年神,大国主神,釜神等)の頒布の歴史に関わる史料および論文を探している。
- 回答
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(1)下記の資料1-4に該当する記述がありました。
資料1 pp.391-392「かまどがみ」の項
「竈神には,産神問答型の竈神起源譚が存在しており,古くは『大和物語』の芦刈説話に同様の竈神の由来が語られ,中国その他にも類話が広く分布するところから中国からの伝播が考えられている。(中略)一方で,東北地方の竈神には竜宮童子型の竈神起源譚も語られており,門松を提供した礼に竜宮から貰った醜い童子の顔を死後に模して作ったのが竈神であるという。」
資料1 p.640 「護符」の項
「神仏の守護によって災厄・病難を防いだり除いたりすることができると信じられている,紙や木などで作られたお札やお守。(中略)日本では,平安時代以後,社寺で護符を出すことが流布した。(中略)かつては,修験者や御師が檀那を回り配礼する形が盛んにとられ,護符を広める上で大きな役割を果たした。熊野の牛玉宝印は熊野比丘尼によって全国に普及した。個人的な求めに対しては,時期を選ばず出されるのが普通だが,最も多く発行されるのは,年が改まる暮れから年頭にかけての時期である。(以下略)」
資料2 p.16 「護符」の項
「(前略)護符の起源は,寺院や陰陽師が信者に配っていた符咒であろうといわれ,神社で作って授与するようになったのは,かなりあとの鎌倉時代ごろからである。現在では,木製のもの,紙のもの,金属製,練りものなど素材も豊富だが,昔はもっぱら木が用いられており,守木と木扁があてられているのはそのためだという。紙が出回るようになったのは江戸時代中期になってからで,印刷が簡単なことから,最近では紙製のものが圧倒的に多い。」
資料3 p.25
「現在の神棚奉斎式の直接的な起源と考えられるものは,中世末期頃から盛んに行われるようになった。伊勢大神宮の「御祓大麻」の配布に伴う,その奉斎場所としての「大神宮棚」の成立ではなかろうか。」 とあります。
資料4 p.560 「かまどがみ」の項
「(前略)古代には天皇の食膳のことにあたる内膳司に庭火御竈神が祀られ(中略)近世に入ると修験・山伏の徒が火の神の祭としての荒神祓・竈祓に関与した。民俗慣行として一般に見られるのは,炉や竈の近くに神棚を設け,そこに神札や幣束を納めて竈神を祀る形である。(後略)」
(2)国立国会図書館の雑誌記事索引で,「神札」をキーワードに調査したところ,下記の3件が該当しました(最終アクセス日2021/3/25)。該当号の所蔵がないため,参考情報としてお知らせします。
・『昭和期における鳥海修験者の神札の調製と配札』筒井裕著, 山形民俗 (19) 2005.11, pp.1-12
・『松本平のエビス信仰(上)西宮恵比寿神社の神札頒布にかかわらせて』田中宣一著, 日本常民文化紀要 25 2005.3 pp.1-28
・『三峰神社における神札の御利益創出--危機的状況における民衆の創造力』大森正義, 國學院雜誌, 106(3) (通号 1175) 2005.3, pp.64-78
【調査資料】
資料1 福田 アジオ[ほか]編『日本民俗大辞典 上』吉川弘文館, 1999.1【380.33/1999.X/1R】
資料2 川口 謙二編著『日本神祇由来事典』柏書房, 1993.1【172/ニ1】
資料3 西牟田崇生編著『家庭の祭祀(まつり)事典』国書刊行会, 2005.9【176/ニタ2005.9】
資料4 国史大辞典編集委員会編『国史大辞典 3』吉川弘文館, 1983.2【210.03/コ4/3R】
資料5 大塚民俗学会編集『日本民俗事典』弘文堂, 1994.6【380.33/1994.6/R】
資料6 薗田稔編 橋本政宣編『神道史大辞典』吉川弘文館, 2004.7【170.33/シン2004.7/R】
資料7 ベルナール・フランク[著] 仏蘭久淳子訳『「お札」にみる日本仏教』藤原書店, 2006.9【182.1/フヘ2006.9】
資料8 佐々木 勝著『厄除け』名著出版, 1988.9【164/サ4-2】
資料9 青柳健二著『オオカミは大神』天夢人, 2019.5【175.5/アケ2019.5】
資料10 稲田智宏執筆 堀越光信執筆『すぐわかる日本の神々』東京美術, 2005.12【172/イト2005.Z】
資料11 細川魚紋子著『東北かま神図説』細川魚紋子, 1974【164/ホ2】
- 回答プロセス
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1 参考書棚の神道,仏教,民俗の棚から下記の辞書類で「護符」を調べ,回答箇所を紹介した。
・『日本民俗大辞典 上』福田アジオ編(吉川弘文館, 1990)【380.33/1999.X/1R】
「護符」の項,p.640
・『日本神祇由来事典』川口謙二編(柏書房, 1993)【172/ニ1】
「護符」の項,p.16
・『家庭の祭祀(まつり)事典 : 神棚と敬神行事』西牟田崇生編(国書刊行会, 2005)【176/ニタ2005.9】
「護符」の項,p.25
2 自館OPACでキーワード“お札”で検索して下記の書誌を調査。「大年神,大国主神,釜神等」に関する記述は確認できなかったが,お札の画像は多数あり。
・『「お札」にみる日本仏教』ベルナール・フランク(藤原書店, 2006)【182.1/フヘ2006.9】
3 国立国会図書館の雑誌記事索引検索でタイトル「神札」で検索した結果下記の3件がヒットしたが,どれも当館には所蔵なし。
(検索日2021/3/25)
・筒井裕「昭和期における鳥海修験者の神札の調製と配札」『山形民俗』 (19) 2005.11, pp.1-12
・田中宣一「松本平のエビス信仰(上)西宮恵比寿神社の神札頒布にかかわらせて」『日本常民文化紀要』 25, pp.1-28
・大森正義「三峰神社における神札の御利益創出--危機的状況における民衆の創造力」『國學院雜誌』106(3) (通号 1175) 2005.3, pp.64-78
4 国立国会図書館の雑誌記事索引検索でタイトル「護符」で検索した結果54件のヒットがあったが,問合せ内容に関係した記事で当館所蔵資料として内容が確認できた資料は下記の1件のみで,頒布の歴史に関わる記述は見当たらなかった。(検索日2021/3/25)
・千々和到「護符の文化的・社会的意味に関する基礎的研究」『日本歴史』 (692) 2006.1 pp.54-56
5 「かま神」についての記述を下記資料に確認した。
・『国史大辞典 3』国史大辞典編集委員会編, (吉川弘文館, 1983.2)【210.03/コ4/3R】
「かまどがみ」の項,p.560
・『日本民俗大辞典 上』福田アジオ編(吉川弘文館, 1990)【380.33/1999.X/1R】
「かまがみ(釜神)」の項,p.389
「かまどがみ」の項,pp.391-392
・『東北かま神図説』細川魚紋子著(1974)【164/ホ2】
「かま神の分布」の項,pp.6-8
主に旧仙台藩を中心とした「かま神の分布」について記述あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 祭祀 (176 9版)
- 参考資料
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- 福田 アジオ/[ほか]編. 日本民俗大辞典 上. 吉川弘文館, 1999.10【380.33/1999.X/1R】:
- 川口 謙二/編著. 日本神祇由来事典. 柏書房, 1993.10【172/ニ1】:
- 西牟田/崇生∥編著. 家庭の祭祀(まつり)事典. 国書刊行会, 2005.9【176/ニタ2005.9】:
- 国史大辞典編集委員会/編. 国史大辞典 3. 吉川弘文館, 1983.2【210.03/コ4/3R】:
- 大塚民俗学会/編集. 日本民俗事典. 弘文堂, 1994.6【380.33/1994.6/R】:
- 薗田/稔∥編 橋本/政宣∥編. 神道史大辞典. 吉川弘文館, 2004.7【170.33/シン2004.7/R】:
- ベルナール・フランク∥[著] 仏蘭久淳子∥訳. 「お札」にみる日本仏教. 藤原書店, 2006.9【182.1/フヘ2006.9】:
- 佐々木 勝/著. 厄除け. 名著出版, 1988.9【164/サ4-2】:
- 青柳/健二?著. オオカミは大神. 天夢人, 2019.5【175.5/アケ2019.5】:
- 稲田/智宏∥執筆 堀越/光信∥執筆. すぐわかる日本の神々. 東京美術, 2005.12【172/イト2005.Z】:
- 細川魚紋子/著. 東北かま神図説. 細川魚紋子, 1974【164/ホ2】:
- キーワード
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- お札
- 護符
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 【遡及入力】
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000311092