レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/06/09
- 登録日時
- 2021/05/29 00:30
- 更新日時
- 2021/05/29 11:00
- 管理番号
- 所沢富岡-2021-002
- 質問
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解決
鎌倉時代に日本で「オーロラ」が見えたと聞いたが、その記録が見たい。可能であれば、なぜ「オーロラ」であると判断されたのか説明している本が良い。
- 回答
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「オーロラの特性を捉えた記述になっている」ことや、「同時期の中国の史書『宋史』に巨大な太陽黒点出現の記録がある」ことから、『明月記』および『御室相承記』にある、建仁四年正月(一二〇四年二月)の記録が、「オーロラ」を記したものだと考えられています。
以下の資料に記載があります。
〇『オーロラの日本史』 岩橋清美/著 平凡社 2019年
〇『デジタルアーカイブ・ベーシックス 3』 勉誠出版 2020年
〇『日本に現れたオーロラの謎』 片岡龍峰/著 化学同人 2020年
〇『定家『明月記』の物語』 稲村榮一/著 ミネルヴァ書房 2019年
また、以下のホームページにも記載があります。
「国立極地研究所」ホームページ
- 回答プロセス
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1.市内所蔵資料の内容を確認する
〇『オーロラの日本史』 岩橋清美/著 平凡社 2019年
p.31~34 「2 建仁四年のオーロラ」の項目あり。
p.31 「定家が四十三歳のとき、建仁四年正月十九日(一二〇四年二月二十一日)の日記に以下のような記述がある(図10)。秉燭以後、北ならび艮(うしとら)の方に赤気あり。その根は月の出で方の如し。色は白明にして、その筋遥かに引き、焼亡の遠光の如し。(以下略)」との記載あり。
p.32 「『明月記』によれば、赤気は同年一月二十三日の夜にも北および北東の空に現れている」、「この建仁四年正月のオーロラは、『明月記』だけではなく、『御室相承記』にも記されている。そこには「正月十九日戌の刻、赤気白気交わる」、「廿日同前」、「廿一日また、同じ」とあり、オーロラは三日間、連続して出現していた。」との記載あり。
p.33 「『明月記』をめくると、元久元年十二月二十九日(一二〇五年一月二十日)にも赤気の記述がある。そこには、「東方に赤気あり、亥の刻ばかり地震、元歴に及ばずと言えどもなお大地震なり、かくの如きこと毎度不吉か、恐るべし」と記されている。(中略)この赤気の記録は中国や朝鮮の記録にはないので、オーロラかどうかについては検討を要する」との記載あり。
p.35~38 「3 赤気をめぐる人々の反応と対応」の項目あり。
p.35 「赤気発生時の人々の対応を仁治二年二月四日(一二四一年三月十七日)の赤気を事例に見ていこう。『吾妻鏡』巻三十四に以下のような記述がある(図12)。
四日 壬戌 晴くもり。戌の剋[刻]に、白赤の気三条(みすじ)出現す。(以下略)」
※p.37 「この赤気と白気が現れたり消えたりするという表現は、オーロラの特徴を示しているように思われる。」との記載あり
△『オーロラの本』 田中達也/[撮影] 学研 2004年
×『天変の解読者たち』 作花一志/著 恒星社厚生閣 2013年
2.後日調査の追加事項
〇『デジタルアーカイブ・ベーシックス 3』 勉誠出版 2020年
p.175~194 「第8章 異分野融合で切り拓く歴史的オーロラ研究」(岩橋清美/著)の項目があり、以下の記載あり。
p.180 「オーロラの確定には、(1)離れた2箇所以上の場所での観測記録があること、(2)発生時間は20時から翌日の2時まで、(3)色は赤色、(4)発生方向は北ないしは北東である、の4点を満たしていることが必要となる」との記載あり。史料1として『明月記』のオーロラの特性を記述した原文を紹介している。
p.180-181 「史料1で注目されるのは(中略)オーロラの特性を捉えた記述になっている。さらに、同時期の中国の史書『宋史』に巨大な太陽黒点出現の記録があるので、これらの情報をあわせると、オーロラとして特定することができる」との記載あり。
〇『日本に現れたオーロラの謎』 片岡龍峰/著 化学同人 2020年
p.13~43 「第1章 『明月記』の赤気の謎」の項目あり。
〇『定家『明月記』の物語』 稲村榮一/著 ミネルヴァ書房 2019年
p.25~30 「3 世界が驚いた天文記録」の項目あり。
×『オーロラの話をしましょう』 赤祖父俊一/著 誠文堂新光社 2018年
×『オーロラ!』 片岡龍峰/著 岩波書店 2015年
×『オーロラ宇宙の渚をさぐる』 上出洋介/著 KADOKAWA 2013年
(引用元の資料) ※オーロラであるとの記載は見当たらない
△『明月記 第1』 藤原定家/著 国書刊行会 1985年
p.356 (元久元年二月)「十九日」および「廿一日」の項目あり。
p.397 (元久元年十二月)「廿九日丁丑」の項目あり。
△『明月記 第2』 藤原定家/著 国書刊行会 1985年
p.563 (嘉禄二年十二月)「廿九日庚戌晦」の項目あり。
△『現代語訳吾妻鏡 11』 五味文彦/編 本郷和人/編 西田友広/編 吉川弘文館 2012年
p.109~110 「二月大 四日」の項目あり。
3.インターネット上の情報を調べる
〇「国立極地研究所ホームページ」
【https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20170321.html】
「『明月記』と『宋史』の記述から、平安・鎌倉時代における連発巨大磁気嵐の発生パターンを解明(2017年3月21日)」
- 事前調査事項
- NDC
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- 情報学.情報科学 (007 9版)
- 気象学 (451 9版)
- 日記.書簡.紀行 (915 9版)
- 参考資料
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- オーロラの日本史 岩橋清美/著 平凡社 2019.3 451.75 978-4-582-36458-3
- デジタルアーカイブ・ベーシックス 3 勉誠出版 2020.4 007.5 978-4-585-20283-7
- 日本に現れたオーロラの謎 片岡龍峰/著 化学同人 2020.10 451.75 978-4-7598-1687-7
- 定家『明月記』の物語 稲村榮一/著 ミネルヴァ書房 2019.11 915.49 978-4-623-08327-5
- 「国立極地研究所」 『明月記』と『宋史』の記述から、平安・鎌倉時代における連発巨大磁気嵐の発生パターンを解明 https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20170321.html 2021/5/16
- キーワード
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- オーロラ
- 藤原定家
- 明月記
- 御室相承記
- 吾妻鏡
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 一般
- 登録番号
- 1000299460