レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年7月9日
- 登録日時
- 2020/10/13 13:02
- 更新日時
- 2021/06/17 16:20
- 管理番号
- 690
- 質問
-
解決
『神々は真っ先に逃げ帰った』に「本書はソ連軍の満州侵攻時に、満州や朝鮮の神社の「神体」がまず保護され内地に搬送されたことから説き起こし…」とあるが、「ソ連軍の満州侵攻時に、満州や朝鮮の神社の「神体」がまず保護され内地に搬送された」という事実はあったのか、また台湾にも台湾神宮があったと思うが、同じようなことが行われたのか?
- 回答
-
下記の資料を紹介した。
①『朝鮮終戦の記録 米ソ両軍の進駐と日本人の引揚』森田 芳夫 著 巌南堂書店 1964.8(兵庫県立図書館請求記号:221/39/1)
p107-114 神宮・神社の昇神式挙行
p109-111 朝鮮神宮の昇神式
p110 権宮司竹島栄雄氏の報告として「御霊代は、八月二十四日、京城飛行場発、飛行機にて宮内省式部次長坊城俊良に託し、宮中へ奉遷申し上げたり。」
p111-114 各地の神社の昇神式
p112 「全州神社は、(略)十一月八日引揚の際に、米軍の許可を得て二等車に神体を奉じて、日本に持ち帰った」 その他、焼却等の事例の記載あり
②『「神国」の残影 海外神社跡地写真記録』 稲宮 康人、中島 三千男 著 国書刊行会 2019.11(175.9/341)
p145-173 各神社解説
p146 台湾神宮 御神体について記述なし
p147 台南神社 「敗戦後、台南神社の御神体は台湾神宮に移された後、焼却された。」
p149 朝鮮神宮 「終戦時、御神体は防空壕に移されていた。1945年8月24日飛行機を使って御神体を宮中に返納」
p156 建国神廟 「(1945年8月)12日に建国神廟と建国忠霊廟の御神体は、溥儀と共に新京を脱出した。溥儀がソ連に逮捕された後、建国神廟の御神体は新京神社に移され、翌年5月15日に昇神式が行われた。御神体は日本に戻された後、行方不明になった。」
p157 建国忠霊廟 「敗戦後、建国忠霊廟の御神体は橋本祭祀府長官と共にソ連に連行され、行方不明になった。」
p158 大連神社 「1945年8月15日に関東州庁は御神体の焼却指示を出したが、水野宮司は従わなかった。水野は雅楽や舞でソ連軍政官を接待するなどして祭祀を続け、1947年3月に御神体と共に引揚げた。」
③『台湾旧神社故地への旅案内 台湾を護った神々』金子 展也 著 神社新報社 2015.9 (175.9/331)
p4-5 終戦始末 「多くの神社で御神体は、破壊や盗難を恐れ、地中に埋められたり、海中になどに沈められたようである。」
④『日本統治下の海外神社 朝鮮神宮・台湾神社と祭神』 菅 浩二 著 弘文堂 2004.9(175.9/266)
p13-19 海外神社と「国家神道」をめぐる問題
p13 「台湾では総督府の通達に従い、殆どの神社で終戦後数日の内に、祭神の昇天祭と、御神体の土中・海中への埋納が行われている。(略)樺太や満州のように突然のソ連軍侵入により処置が間に合はなかった例もあったらしい。「朝鮮半島の総鎮守」たる勅祭社・朝鮮神宮の御神体は、早くも八月十五日午後には祭神昇天祭の後に航空機で内地に移され、宮内省の所管となっている。」
⑤『僕の見た「大日本帝国」 教わらなかった歴史と出会う旅』 西牟田 靖 著 エビデンス・コーポレーション株式会社情報センター出版局 2005.2(292.09/65)
p281-288 作り替えられた鳥居ー鞍山、丹東
p286-288 「なかには異民族に破壊されるぐらいならいっそのこと自分たちの手でということで、昇神を願い、その神社の神主だった日本人が焼却処分にしたケースもあった。だが、大半の神社のその後の経緯はわかっていない。」奉天神社、建国霊廟、大連神社の終戦後が書かれています。
【国立国会図書館デジタルコレクション】
◆『神社本庁十年史』神社本庁 1956(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1708180
p41-49(44-48コマ) 海外神社の始末
p43-45 朝鮮
p43 「朝鮮神宮の御霊代は逸早く飛行機によって宮内省に奉還、その他の神社にあつては、大部分昇神、奉焼の儀を斎行した。」
p44 「宮幣大社朝鮮神宮ノ終戦後ノ始末 イ、終戦後特記スベキ祭儀其ノ他ノ事情」
p45-46 台湾
p46「各神社の御霊代は昇神の儀を斎行し、次の如く処理せられた。台湾神宮に奉還後奉焼したもの(台南神社)神社限りに於て奉焼又は地中、水中に納めたるもの(建功神社、文山神社、瑞芳神社)其の儘存置せられたるもの(開山神社)」
p46 満洲 「満洲はソ軍侵入後、(略)新京神社境内に、各地の神社の御霊代を一時避難奉遷せられた。(略)中には御霊代を奉じて、各地を転々と避難奉遷、最後に奉焼したものあり、又避難地に奉遷の儘となつたものもある。」「新京神社は昇神祭後、(略)御霊代を奉焼した。」
p46-47 中国 「蒙彊神社に関しては、祭神北白川宮永久王命の御霊代並びに御遺品は、宮司が奉持して飛行機にて東京赤坂氷川神社に奉遷せられた。」
◆『海外神社史 上巻』小笠原省三 編述 海外神社史編纂会 1953
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3451902(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)※2021年2月17日現在、国立国会図書館限定
p475-480(255-258コマ) 建国神廟始末記 元満州国祭祀府奉祀官 岡田實 著
p479 「皇帝並に吉岡中将外、御鏡は外島祭務処長、御剣は橋本総裁捧持して、通化より軍用機にて奉天に向かった。奉天飛行場にて内地へ向けて飛ぶ予定になってゐたダグラス機に乗り換へようとして、(略)ソ連兵の知るところとなり、遂に悉く捕はれの身となったのである。(略)」
◆『ああ八月十五日:終戦の思い出 第2集』八幡師友会 1964(国立国会図書館/図書館送信参加館内公開)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2989237
p206-209(118-119コマ) 終戦と大連神社 水野久直
【インターネット情報】
◇海外神社(跡地)に関するデータベース 神奈川大学 非文字資料研究センター
http://www.himoji.jp/database/db04/index.html
「関連論文」のページより
◇旧満州国の「満鉄附属地神社」跡地調査からみた神社の様相 津田良樹〔ほか〕著
http://www.himoji.jp/jp/publication/pdf/nenpo/No04/203-289.pdf
【調査済資料】
⑥『海外神社とは? 史料と写真が語るもの 公開展示会図録』津田 良樹・渡邊 奈津子 編集・執筆 神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター 2015.3(175.9/329)
⑦『植民地神社と帝国日本』青井 哲人 著 吉川弘文館 2005.2(518.8/271)
ホームページ最終確認日:2020年10月13日
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- アジア史.東洋史 (22)
- 神社.神職 (175)
- 衛生工学.都市工学 (518)
- 参考資料
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森田芳夫 著 , 森田, 芳夫, 1910-1992. 朝鮮終戦の記録 : 米ソ両軍の進駐と日本人の引揚. 巌南堂書店, 1964.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001070181-00 -
稲宮康人, 中島三千男 著 , 稲宮, 康人, 1975- , 中島, 三千男, 1944-. 「神国」の残影 : 海外神社跡地写真記録. 国書刊行会, 2019. (非文字資料研究叢書 ; 2)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030078562-00 , ISBN 9784336063427 -
金子展也 著 , 金子, 展也, 1950-. 台湾旧神社故地への旅案内 : 台湾を護った神々. 神社新報社, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026765895-00 , ISBN 9784908128028 -
菅浩二 著 , 菅, 浩二, 1969-. 日本統治下の海外神社 : 朝鮮神宮・台湾神社と祭神. 弘文堂, 2004. (久伊豆神社小教院叢書 ; 1)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007489349-00 , ISBN 4335160380 -
西牟田靖 著 , 西牟田, 靖, 1970-. 僕の見た「大日本帝国」 : 教わらなかった歴史と出会う旅. 情報センター出版局, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007680301-00 , ISBN 4795843023 -
津田良樹, 渡邊奈津子 編集・執筆 , 津田, 良樹, 1947- , 渡邊, 奈津子 , 神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター. 海外神社とは? : 史料と写真が語るもの : 公開展示会図録. 神奈川大学日本常民文化研究所非文字資料研究センター, 2015.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I026602092-00 , ISBN 9784904124239 -
青井哲人 著 , 青井, 哲人, 1970-. 植民地神社と帝国日本. 吉川弘文館, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007629329-00 , ISBN 4642037683
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森田芳夫 著 , 森田, 芳夫, 1910-1992. 朝鮮終戦の記録 : 米ソ両軍の進駐と日本人の引揚. 巌南堂書店, 1964.
- キーワード
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- 神体
- 満州
- 朝鮮
- 台湾
- 神社
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000288212