レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2008/08/07
- 登録日時
- 2009/01/23 02:11
- 更新日時
- 2009/01/27 13:17
- 管理番号
- 埼熊-2008-045
- 質問
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未解決
宮尾登美子の『天璋院篤姫』で「家茂の遺骸は朱を詰めた棺に納めて」「将軍薨去の日から、幕府は棺に詰める朱が足りなくなるのを案じて」の「棺に朱を詰めた」のは、何のためか。
- 回答
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朱が江戸時代の葬儀に使われた明確な理由に結びつく資料は見つからなかった。古墳時代から「水銀の殺菌力を利用して棺内に朱を充填すること」や、中国の神仙思想と結びつき、「死者の魂の永世や復活の観念と結びついている」のではないかと思われる。以下の関連資料を紹介する。
『世界大百科事典』(平凡社)、『国史大辞典』(吉川弘文館)、『日本考古学事典』(三省堂)、『歴史考古学大辞典』(吉川弘文館)、『朱の研究』(雄山閣 1984)、『古代の朱』(学生社 1975)、『松田寿男著作集6』(六興出版 1987)、『丹生の研究』(早稲田大学出版部 1970)、『日本色彩文化史』(岩波書店 1983)、『中国の民話 薬草編 下』(東京美術 1987)、『原色鉱物岩石検索図鑑』(北隆館 1976)、『絵具染料商工史』(大阪絵具染料同業組合 1938)、『金属と地名』(三一書房 1998)、『日本民俗文化資料集成 10 金属の文化誌』(三一書房1991)、『国訳本草綱目 第3冊』(春陽堂書店 1977)、『講座 道教3 道教の生命観と身体論』(雄山閣出版 2000)、『不老不死 仙人の誕生と神仙術』(講談社 1992)。
- 回答プロセス
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百科辞典や国史大辞典・考古学事典等で「朱」が「朱砂」「丹砂」「辰砂」などと呼ばれていることを確認し、それぞれの用語から、古墳時代の副葬品として用いられたことなどが判明する。
『歴史考古学大辞典』によれば「中国では古くから神仙思想と結びつき、弥生時代・古墳時代は日本にもその考え方が広まった」とあり。『古代の朱』から水銀など鉱物の資料を確認する。『日本民俗文化資料集成 10 金属の文化誌』収載「日本産水銀の史的研究」の論文中に「本草綱目啓蒙」や「本草綱目」の石の部に丹砂や水銀の効能について記載あり。不老不死や神仙思想と結びつくことから道教関係資料を確認する。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 9版)
- 金属元素とその化合物 (436 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 丹砂-朱砂-辰砂
- 水銀
- 徳川 家茂(トクガワ イエモチ)
- 副葬品
- 道教
- 不老不死
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000051040