レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年6月11日
- 登録日時
- 2022/05/07 14:58
- 更新日時
- 2022/05/21 09:26
- 管理番号
- 岩手-384
- 質問
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解決
岩手の民謡・郷土芸能である「からめ節」「金山踊りからめ節」の由来や成り立ちについて知りたい。
- 回答
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「からめ節」は南部地方に伝わる産金民謡のひとつ。旧南部藩領の尾去沢鉱山(現在は秋田県鹿角市)が発祥の地と言われる。元来は作業唄として各地の鉱山で歌われてきたが、明治に入り盛岡の花柳界で採り上げられたことによりお座敷唄として普及した。このような経緯から、岩手県の民謡・郷土芸能として紹介されることが多い。
「からめる」とは鉱山用語であり、採掘した鉱石を細かく砕き、ざるに入れ水洗いして不純物(カラミ)を取り除く作業を指す。この精選作業に従事した女性たちが槌を振るうリズムに合わせて歌った「石からみ節」が原型であるとされる。
また「金山踊り」の祖としては、27代南部藩主利直の家臣・北十左衛門が慶長3年(1598)に鹿角の白根山にて大金鉱を発見したことで南部藩の財政が豊かになり、この好況を「大直利(新しい鉱脈が発見されて景気が良くなること)」として喜んだ人々が昔から伝えられていた「からめ節」に精選の手ぶりを付けて踊った、という伝承が残っている。
明治初期に盛岡の粋人・橘正三(不染)が「鹿角からめ節」と「佐比内からめ節(岩手県紫波郡紫波町)」を元にして歌詞の補足および振りの統一を行い、盛岡本町・八幡町の芸妓に教えたものが現在の「金山踊りからめ節」として伝わっている。二上りの三味線・笛・太鼓を伴奏に、姉さんかぶりの手ぬぐいに赤い襷掛け、「大直利」と染め抜いた前掛けに、小ざるを手にして踊る。
上記について記載のある関連資料を紹介。
・『からめ節金山踊り 無形民俗文化財記録作成調査報告書 3』鹿角市教育委員会∥編 鹿角市教育委員会 2005.3
・『どじょうすくいと金山踊り』茂木 真弘∥著 随想舎 1994.10
p.55~82 第二章 金山踊り〈秋田編〉、p.105~125 第四章 金山踊り〈岩手編〉
・『岩手の民謡』「岩手の民謡」発刊委員会∥編集 岩手県民謡協会 1982.4
p.108~109 からめ節
・『民謡歴史散歩 北海道・東北篇』池田 弥三郎∥共編 宮尾 しげを∥共編 河出書房新社 1961.12
p.86~88 からめ節
・『郷土芸術日本民謡』金田 空山∥編 光文社 1931.12
p.180~183 からめ節
・『鹿角市史 第4巻』 鹿角市∥編集 鹿角市 1996
p.673~675
・『花輪・尾去沢の民俗 下』鹿角市総務部市史編さん室∥編集 鹿角市 1992
p.127~129 三、尾去沢からめ節、金山踊り
・『盛岡伝説案内 其の壱-其の百』高橋 智∥篇著 盛岡出版コミュニティー 2013.5
p.164~166 金山踊りからめ節
【参考文献】
・『両鹿角扈従日記』郷土史学習会∥編 鹿角市立花輪図書館 1978.3
⇒万延元年(1860)、第14代盛岡藩主南部利剛が鹿角地方を巡視した際の記録。小姓として随行した上山守古による。尾去沢鉱山にて見聞した「石からみふし」についての記述がある。
- 回答プロセス
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(1)「からめ節」「金山踊り」のキーワードで検索し該当の資料を確認
(2)民謡・郷土芸能関連の資料を確認
(3)旧南部藩の鉱山があった市町村の資料を確認
(4)岩手の伝承について書かれた資料を確認
- 事前調査事項
- NDC
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- 東北地方 (212)
- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380)
- 舞踊.バレエ (769)
- 参考資料
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鹿角市教育委員会. からめ節金山踊り : 無形民俗文化財記録作成調査報告書. 鹿角市教育委員会, 2005. (鹿角市文化財調査資料 : 82集)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036137955-00 (当館請求記号:386.8124/カラ) -
茂木 真弘 著 , 茂木‖真弘. どじょうすくいと金山踊り. 随想舎, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036611673-00 (当館請求記号:K386/モ5/1) -
「岩手の民謡」発刊委員会 編 , 岩手県民謡協会. 岩手の民謡. 岩手県民謡協会, 1982.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001572195-00 (当館請求記号:K767.5/イ3/1) -
池田 弥三郎 共編 , 宮尾 しげを 共編 , 池田‖弥三郎 , 宮尾‖しげを. 民謡歴史散歩 : 北海道・東北篇. 河出書房新社, 1961.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036613099-00 (当館請求記号:K767.5/イ1/1) -
日本郷土俚謡研究会 編 , 日本郷土俚謡研究会. 郷土芸術日本民謡. 光文社, 1931.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000741454-00 (当館請求記号:K767.5/カ1/1) -
鹿角市 編 , 鹿角市. 鹿角市史 第4巻. 鹿角市, 1996.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002511949-00 (当館請求記号:K279/カ2/1-4) -
鹿角市総務部市史編さん室 編 , 鹿角市. 花輪・尾去沢の民俗 下. 鹿角市, 1992. (鹿角市史民俗調査報告書 : 第6集)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036600631-00 (当館請求記号:K382.124/カズ/6) -
髙橋智 篇著 , 高橋, 智, 1967-. 盛岡伝説案内 : 其の壱-其の百. 盛岡出版コミュニティー, 2013.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I024416301-00 , ISBN 9784904870266 (当館請求記号:K388.122/タカ) -
郷土史学習会 編 , 郷土史学習会. 両鹿角扈従日記. 鹿角市立花輪図書館, 1978.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036180309-00 (当館請求記号:K200.9/キ2/1)
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鹿角市教育委員会. からめ節金山踊り : 無形民俗文化財記録作成調査報告書. 鹿角市教育委員会, 2005. (鹿角市文化財調査資料 : 82集)
- キーワード
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- からめ節
- 金山踊り
- 民謡
- 郷土芸能
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000315980