レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023/08/21
- 登録日時
- 2023/09/01 00:30
- 更新日時
- 2023/09/21 11:51
- 管理番号
- 15426341
- 質問
-
解決
1910~1920年代(明治~大正期)に日本製の画用木炭が輸出されていたかどうか分かる資料はありますか。当時の広告類でもかまいません。輸出されていた場合、輸出先にインド(当時はイギリス領インド帝国)があったかどうか分かる資料はありますか。
- 回答
-
照会事項を分割しました。
ここでは、以下について回答します。
事項1 1910-1920年代に日本製の画用木炭が海外、特にイギリス領インドに輸出されていたことがわかる資料
事項2 1910-1920年代の日本製画用木炭の生産、輸出入について英語で書かれた資料
末尾に「*」が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、インターネットで公開しています。
末尾に「**」が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、国立国会図書館および図書館送信参加館内・個人送信限定で公開しています。
末尾に「***」が付された資料は、国立国会図書館デジタルコレクションに収録されており、国立国会図書館内で公開しています。
【 】内は国立国会図書館請求記号、インターネットの最終アクセス日は2023年8月17日です。
事項1について調査したところ、「木炭筆」が日本からフランスへ輸出されていたことがわかるものとして、資料1がありました。
画用木炭が日本からイギリス領インドへ輸出されていたことを示す資料はありませんでしたが、画用に限らない木炭が日本からイギリス領インドへ輸出されていたことがわかるものとして、資料2から3までがありました。
参考までにお知らせします。
資料1
外務省通商局 編. 通商公報. 1194. 帝国地方行政学会, 1924.9.【雑45-107】***
コマ番号5-6に、「日佛貿易状況(三月) 日本よりの佛国輸入品」として、1924年3月中及び1923年3月中に日本からフランスに輸出された物品の品名、数量、価格などが記載されています。
コマ番号6に、「繪具インキ鉛筆木炭筆」の項目があります。
資料2
大日本外国貿易年表. 大蔵省 【14.4-220】*
以下の「19 輸出品国別表」の「英領印度」の中に「木炭」の項目がありました。
・明治43年. p.236(コマ番号125)
以下の「Ⅲ. 品別表 輸出品表」の「木炭」の中に「英領印度」の項目がありました。
・大正4年 上篇. pp.351-352(コマ番号188-189)
大正2-4年に輸出された数量及び価格が記載されています。
ただし、大正4年の数値は「・・・」として記載されていません。
・大正7年 上篇. p.382(コマ番号207)
大正5-7年に輸出された数量及び価格が記載されています。
ただし、大正7年の数値は「・・・」として記載されていません。
・昭和2年 上篇. p.334(コマ番号179)
大正14年及び昭和元-2年に輸出された数量及び価格が記載されています。
ただし、昭和2年の数値は「・・・」として記載されていません。
明治44年、大正元(明治45)年、大正8-13年は該当するものが見当たりませんでした。
資料3
大蔵省 編. 日本外国貿易年表. 大蔵省 【14.4-220】*
以下の「Ⅰ. 品別表 輸出品表」の「木炭」の中に「英領印度」の項目がありました。
・昭和4年 上篇. p.204(コマ番号108)
昭和3-4年に輸出された数量及び価格が記載されています。
事項2について該当する資料は見当たりませんでした。
お尋ねの年代に出版され、日本画における画用木炭について言及のある英語の資料として資料4がありました。
また、お尋ねの年代における画用木炭の国内生産量がわかる資料は見当たりませんでしたが、木炭及び画材が含まれる文具の生産量などを資料5から7までで確認しました。いずれも日本語で書かれた資料です。
参考までにお知らせします。
資料4
Bowie, Henry P. On the laws of Japanese painting; an introduction to the study of the art of Japan, by Henry P. Bowie, with prefatory remarks by Iwaya Sazanami and Hirai Kinza.. P. Elder and Company, [c1911] 【Ba-463】
Smithsonian LibrariesのDigital Libraryで確認しました。
( https://doi.org/10.5479/sil.861535.39088017682550 )
p.32に、以下の記述があります。
“In painting on silk, a rough sketch in sumi is sometimes placed under silk guidance. Outlining on paper is done with straight willow twigs of charcoal, called yaki sumi, easily erased by brushing with a feather.”
資料5
農商務大臣官房統計課 編. 工場統計表 大正8年. 統計学社, 大正10-14 【14.8-49イ】*
p.552(コマ番号291)に大正8年の木炭の生産量及び生産額が掲載されています。
用途による分類はなく、明治42年と大正3年は該当がありませんでした。
p.550-551(コマ番号290)に、明治42年、大正3年、大正8年の「鉛筆」「万年筆(※大正8年のみ)」などの「文具類」の生産量及び生産額の記載がありましたが、画用木炭の項目はありませんでした。
資料6
商工大臣官房統計課 編. 工場統計表 昭和4年 前編 生産. 商工大臣官房統計課, 昭和6. 【14.8-49イ】*
p.711(コマ番号378)に大正9年-昭和4年の木炭の生産量及び生産額が掲載されていますが、用途による分類はありませんでした。
pp.745-746(コマ番号395-396)に、大正9年-昭和4年の「鉛筆」「万年筆」「クレヨン(※昭和4年のみ)」の生産量及び生産額の記載がありましたが、画用木炭の項目はありませんでした。
資料7
燃料に関する数表 ; 燃料に関する図表. 燃料協会, 1930 【DT611-1】**
pp.52-53(コマ番号34)の「第43表 本邦木炭需給量」に、明治38年から昭和3年までの木炭の生産量、輸入量、輸出量が示されています。「画用木炭」などの区分はありません。注には、「輸出量は大蔵省の調査に依る、但し大正6年迄の分は専ら絵画用木炭なるのみならず之れが価額年額百数十円乃至数百円に過ぎざるを以て之を省略す」とあります。注中の「輸出量」は第43表の内容と齟齬があるため、「輸入量」の誤植の可能性があります。
(調査済み資料及びデータベース)
・青木芳昭 著. よくわかる今の絵画材料 : 絵画素材の科学. 生活の友社, 2011.4. 【KC412-J1】
・印藤真楯 著. 油絵楷梯. 嵩山房, 明39.11. 【30-498】*
・小川幸治 編著. 日本画画材と技法の秘伝集 : 狩野派絵師から現代画家までに学ぶ 新装版. 日貿出版社, 2016.11. 【KC437-L6】
・外務省通商局 編. 日刊海外商報 (22). 中屋印刷所, 1925.1. 【雑45-107イ】**
・外務省通商局 編. 日刊海外商報 (46). 中屋印刷所, 1925.2. 【雑45-107イ】**
・金子亨, 速水敬一郎, 西川正恒, 村辺奈々恵, 佐藤みちる. 素描に関する一考察 : リアリズム絵画を中心に. 東京学芸大学紀要. Bulletin of Tokyo Gakugei University 芸術・スポーツ科学系 = Arts and sports sciences. 64:2012.10. pp.11-35 【Z11-284】
東京学芸大学リポジトリで閲覧しました。( http://hdl.handle.net/2309/131955 )
・岸本定吉 著. 炭. 丸ノ内出版, 1976. 【RB417-3】***
・窪田重太郎 編, 越元辰雄 画. 新油絵画法と批評の仕方. 教文書院, 大正10. 【395-183】*
・新潮世界美術辞典. 新潮社, 1985.2. 【K2-51】***
・全国燃料会館 編. 木炭の文化史. 東出版, 1962. 【658.2-Z24m2】**
・全国燃料会館日本木炭史編纂委員会 編. 日本木炭史経済編. 全国燃料会館, 1960. 【658.2-Z24n】**
・高嶋雅明. 木炭史覚書 : 木炭用途に関する史的素描と若干の文献拾遺. エネルギー史研究. 10. 1979.3. pp.61-77 【Z14-617】
九州大学附属図書館九大コレクションで閲覧しました。( https://doi.org/10.15017/13673 )
・『デザインの現場』編集部 編. 新・画材大全 : 新しい画材ガイド. 図書美術出版社, 1999.4. 【KC412-G4】
・東京文具卸商同業組合 [編]. 東京製文具目録 : 東京文具卸商同業組合ニ於テ優良ト認メタル外国製品ニ対抗スベキ. 東京文具卸商同業組合, 大正3. 【337-199】*
・東京文具商報社 編. 東京文具発展史. 東京文具商報社, 昭和4 【552-289】**
・農林省山林局 編. 木炭関係資料 第3輯 第3号 木炭需給関係調査書. 大日本木炭協会, 昭和12-13. 【14.2イ-760】*
・樋口清之 著. 木炭の文化史. 東出版, 1962. 【658.2-H449m】**
・美術手帖増刊号編集部 編. デッサン : 見ること描くこと. 美術出版社, 1982.11. 【KC421-61】***
・三浦明範 著. 絵画の材料. 武蔵野美術大学出版局, 2020.3. 【KC412-M3】
・目黒区美術館 編. 画材と素材の引き出し博物館. 中央公論美術出版, 1995.9. 【KC412-G2】
・森田恒之 監修. 絵画表現のしくみ : 技法と画材の小百科 : カラー版. 美術出版社, 2000.3. 【KC411-G95】
・森田恒之 著. 画材の博物誌. 中央公論美術出版, 1986.6. 【KC412-2】***
・渡辺全 著. 木材と木炭. 日本評論社, 昭和8. 【630-3】**
・C.ヘイズ 編著, 北村孝一 訳. 絵の材料と技法. マール社, 1982.4. 【KC411-15】***
・ホルベイン工業技術部 編. 絵具の事典. 中央公論美術出版, 1996.12. 【KC412-G3】
・クルト・ヴェールテ 著, 戸川英夫, 真鍋千絵 共訳. 絵画技術全書. 美術出版社, 1993.4. 【KC411-E30】
・マックス・デルナー 著, ハンス・ゲルト・ミュラー 改訂, 佐藤一郎 訳. 絵画技術体系. 美術出版社, 1980.10. 【KC411-10】***
・ロバート・マッセイ 著, 山添耕治 訳. 画家のための処方箋 : 絵画材料と技法ハンドブック. クリエイツかもがわ, 2002.4. 【KC412-G6】
・ラザフォード・J.ゲッテンス, ジョージ・L.スタウト 著, 森田恒之 訳. 絵画材料事典 新装版. 美術出版社, 1999.6. 【KC2-G9】
・呉征涛. 近代中国木炭の日本輸出 : 日本資料を中心に. 東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies. (10):2017.3. pp.619-636 【Z71-V800】
関西大学学術リポジトリで閲覧しました。( http://hdl.handle.net/10112/10947 )
・Eze, C. A. 2019. Charcoal as a Medium for Contemporary Art Production. Multidisciplinary Journal of Education, Research and Development. 3(1) 2019.
Academic Journals Onlineで閲覧しました。
( https://www.acjol.org/index.php/mujerd/article/view/541 )
・国立国会図書館オンライン ( https://ndlonline.ndl.go.jp/ )
・国立国会図書館デジタルコレクション ( https://dl.ndl.go.jp/ )
・国立国会図書館サーチ ( https://iss.ndl.go.jp/ )
・Google Scholar ( https://scholar.google.co.jp/ )
・Googleブックス ( https://books.google.co.jp/ )
・CiNii Research ( https://cir.nii.ac.jp/articles )
・CiNii Books ( https://ci.nii.ac.jp/books )
・CiNii Dissertations ( https://ci.nii.ac.jp/d )
・朝日新聞クロスサーチ [当館契約データベース]
・大宅壮一文庫雑誌記事索引検索 Web版(Web OYA-bunko) [当館契約データベース]
・雑誌記事索引集成データベース ざっさくプラス(皓星社) [当館契約データベース]
・ジャパンナレッジLib [当館契約データベース]
・中日新聞・東京新聞記事データベース [当館契約データベース]
・毎索 [当館契約データベース]
・ヨミダス歴史館 [当館契約データベース]
・JSTOR [当館契約データベース]
・ProQuest Central [当館契約データベース]
・伊研 ( https://userweb.www.fsinet.or.jp/iken/ )
・全国燃料協会 ( http://zen-nen.or.jp/ )
・文房堂 ( http://www.bumpodo.co.jp/ )
・林野庁 ( https://www.rinya.maff.go.jp/ )
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
・最近のデータとしては『輸出統計品目表 2021』(日本関税協会 2020.12)に「96.09 雑品>鉛筆>図画用木炭」として記述があるが、「鉛筆」として括られている。
・『明治以降本邦主要経済統計』(日本銀行統計局 1966)では石炭・木材など主要品目の輸出統計しか取り上げられていない。
・『炭』岸本 定吉/著(創森社 1998.12)p.280に丸善商店が製炭している記述があるが、輸出に関する記述なし。
・国立国会図書館デジタルコレクションで次の2点の資料に日本製画用木炭の記述があるが、いずれも輸出に関する記述なし。
(1)『洋画材料品日本画用品明細目録』(大日本絵画講習会 明42.8)p.55(34コマ目)
ID:000000488340 URL: https://dl.ndl.go.jp/pid/851920/1/34
(2)『玩具手工と図画』藤五代策, 山本鼎 著(児童保護研究会 大正12)p.74(113コマ目)
ID:000000556417 URL: https://dl.ndl.go.jp/pid/938722/1/113
・英語または中国語の資料について当館の蔵書検索システムや国立国会図書館サーチの検索窓に“conte drawing material”「炭鉛笔」「炭棒」など入力して検索したが、ヒットする資料なし。
- NDC
-
- 貿易 (678 10版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 貿易
- 統計
- 画用木炭
- 輸出
- 英領インド
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 経済社会(レファレンス)
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 公共図書館 図書館
- 登録番号
- 1000337920