レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年01月11日
- 登録日時
- 2019/03/22 10:42
- 更新日時
- 2023/11/29 20:34
- 管理番号
- 愛知県図-03364
- 質問
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解決
『不思議の国のアリス』の作者ルイス・キャロルが数学について書いた作品を知りたい(集合に関係する本ではないか)。
- 回答
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・基本的事項の確認として、下記の辞典を参照
『世界数学者人名事典 増補版』【資料7】にはキャロルの本名「ドッジソン(Dodgson)」で見出しがあり、「オックスフォード大学を卒業し,同大学で仕事をした…(略)…数学の一連の参考書を著した.数理物理学および代数幾何学の各分野で仕事をした.」と解説されています。
・図書
ルイス・キャロルが数学について書いた作品の翻訳では、以下の図書を所蔵しています。
【資料1】『ルイス・キャロルのユークリッド論』
キャロルの3冊の数学書(ユークリッドの『原論』第Ⅰ,Ⅱ巻、ユークリッドの『原論』第Ⅴ巻、数学の楽しみ 第1部)を翻訳・解説したもの。
【資料2】『ユークリッドと彼の現代のライバルたち』
原題 Euclid and His Modern Rivals を翻訳・解説を付したもの。
【資料3】『ルイス・キャロルの知的ゲーム』
キャロルの記号論理学についての著作 Symbolic Logic(PartⅠ)と Game of Logic を合わせて再構成したもの。
【資料4】『不思議の国の論理学』
『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』のほか、『もつれっ話』『枕頭問題集』などの作品から精選した、数学と言葉あそびにまたがる問題集。
・著作一覧
キャロルの数学分野の出版物や著作等が一覧形式で分かるものとしては、以下のものがあります。
【資料5】に数学分野の重要な出版物を主に取り上げた年表(p.ix-xi)あり
【資料8】「ドジスン(キャロル)の数学関連の業績 : ドジスンはいかなる数学者だったのか」
https://irdb.nii.ac.jp/01454/0002032454
The Lewis Carroll Handbook,Dawson Archon Books 1979.から数学的な標題を抽出したものを、5つに分類して検討しており、巻末に数学的標題の一覧(p82-90)及び「分類別の執筆状況の表」(p91)が示されている。
・キャロルと集合について
【資料8】の「2 論理学」の項には、「20世紀後半の集合の教育で…(中略)…ヴェン(Venn)図が使われるが、ドジソンはヴェン図よりも優れているものを考案したという自負を持っていたようである。」(p76)とあり、脚注に「…(前略)…五つの変数まで2次元的な図で表せることをSymbolic Logicの付録に示している。」(同頁)と紹介されている。なお、Symbolic Logicは【資料3】の第Ⅱ部として翻訳されているが、目次には「付録」とは書かれておらず、該当部分がどこかは明確でない。
【資料9】「ロジック イン ザ キャロル ワールド:キャロル図による論理の国への招待」
http://izumi-math.jp/F_Nakamura/Carroll.pdf
「集合(真理集合)の包含・補集合の関係を視覚的に示すシェーマ(Schema)図」として、「ベン図」「カルノー図」「キャロル図」が掲載されている。
あとがきに、「本文のキャロル図は、キャロルのボードゲームのアイデアをシェーマ図にしたものであるが、実際のボードゲームは論理問題で、前提から結論までの道筋を三段論法的に示すものである。」とある。
※『コンサイスカタカナ語辞典 第5版』(三省堂 2020)によると、「シェーマ(Schema)」はドイツ語で「図式、型式」。
【資料10】『キャロル大魔法館』
「論理ゲーム」(p222-234)の項から、【資料9】のキャロル図の元となった図が1886年に私家版で出された『論理ゲーム』と、1896年刊行の『記号論理学 第1部。入門篇』からであることが判明。この図は、【資料3】【資料4】に収録されている。
・その他
数学者としてのキャロルや彼の数学関連の業績をテーマとした図書では以下の資料を所蔵しています。
【資料5】『数の国のルイス・キャロル』
【資料6】『現代数学の世界 4 数学者の世界』p161-183「8 キャロル ―ふしぎの国の数学者―」
また、当館では所蔵していませんが、以下の資料があります。
【資料11】『ルイス・キャロル解読 不思議の国の数学ばなし』
- 回答プロセス
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1.当館蔵書検索で著者名「ルイス・キャロル」、分類が4類の資料を検索したところ資料1~4が見つかった。資料1,2の解説に、ルイス・キャロルの数学に関連する著作・論文等についての記述があった。
2.当館蔵書検索で個人件名「ルイス・キャロル」を検索したところ、資料5がヒットした。
3.当館蔵書検索でフルテキスト「キャロル」&「数学」で検索したところ、資料6がヒットした。
4.数学者の人名事典等の索引で「キャロル」及び本名の「ドジソン」を引いたところ、資料7に「ドッジソン」で掲載されていた。
5.資料1,2の訳・解説者の「細井勉」と「キャロル」をCiNii ResearchでAND検索したところ、資料8が見つかった。
6.ルイス・キャロルと集合との関わりについて、Googleで「数学」&「集合」&「キャロル」を検索したところ、資料9が見つかった。資料9のあとがきから資料10が見つかった。
7.「ドジソン」「ドッジソン」「ドジスン」等で当館蔵書検索やNDLサーチを再検索したが、新たな資料は見つからなかった。なお、「細井勉」の著・訳に資料11があるが、当館は未所蔵。
- 事前調査事項
- NDC
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- 数学 (410)
- 幾何学 (414)
- 英米文学 (930)
- 参考資料
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【資料1】ルイス・キャロル 著 , 細井勉 訳・注 , Carroll, Lewis, 1832-1898 , 細井, 勉, 1937-. ルイス・キャロルのユークリッド論. 日本評論社, 2016.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027236353-00 , ISBN 9784535798021 (当館資料ID:1111214171) -
【資料2】ルイス・キャロル 著 , 細井勉 訳・解説 , Carroll, Lewis, 1832-1898 , 細井, 勉, 1937-. ユークリッドと彼の現代のライバルたち. 日本評論社, 2016.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027028154-00 , ISBN 9784535798038 (当館資料ID:1111172901) -
【資料3】ルイス・キャロル [著] , 鈴木瑠璃子, 長島富太郎 編訳 , Carroll, Lewis, 1832-1898 , 鈴木, 瑠璃子, 1938- , 長島, 富太郎, 1937-. ルイス・キャロルの知的ゲーム. 大修館書店, 1987.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001844892-00 , ISBN 4469211362 (当館資料ID:1104405093) -
【資料4】ルイス・キャロル 著 , 柳瀬尚紀 編訳 , Carroll, Lewis, 1832-1898 , 柳瀬, 尚紀, 1943-2016. 不思議の国の論理学. 筑摩書房, 2005. (ちくま学芸文庫)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007820066-00 , ISBN 4480089233 (当館資料ID:1108769809) -
【資料5】ロビン・ウィルソン 著 , 岩谷宏 訳 , Wilson, Robin J., 1943- , 岩谷, 宏, 1942-. 数(かず)の国のルイス・キャロル. ソフトバンククリエイティブ, 2009.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010045192-00 , ISBN 9784797348385 (当館資料ID:1109611862) -
【資料6】サイエンティフィック・アメリカン 編 , 遠山啓 監訳 , 遠山, 啓, 1909-1979 , サイエンティフィックアメリカン. 現代数学の世界 4. 講談社, 1970.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001134960-00 (当館資料ID:1100723160) -
【資料7】A.I.ボロディーン, A.S.ブガーイ 編 , 千田健吾, 山崎昇 訳 , Borodin, Aleksei Ivanovich , Bugai, Arkadii Sil'vestrovich , 千田, 健吾 , 山崎, 昇, 1930-. 世界数学者人名事典 増補版. 大竹出版, 2004.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007362786-00 , ISBN 4871860973 ((当館資料ID:1108494162)) -
【資料8】笠井, 勝子,細井, 勉,下笠, 徳次. ドジスン(キャロル)の数学関連の業績 : ドジスンはいかなる数学者だったのか. 英米学研究 37 p. 67-91, ISSN 0288-9943
https://irdb.nii.ac.jp/01454/0002032454 (最終確認日20231005) -
【資料9】中村,文則. ロジック イン ザ キャロル ワールド:キャロル図による論理の国への招待. 数学のいずみ ネットワーク型教材データベース
http://izumi-math.jp/F_Nakamura/Carroll.pdf (最終確認日20231026) -
【資料10】ジョン・フィッシャー著 ; 高山宏訳 , Fisher, John W. , 高山, 宏. キャロル大魔法館. 河出書房新社, 1978.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I001275484-00 , ISBN 4309200192 ((当館資料ID:1106173390)) -
【資料11】細井勉 訳著 , 細井, 勉, 1937-. ルイス・キャロル解読 : 不思議の国の数学ばなし. 日本評論社, 2004.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007464932-00 , ISBN 4535785007
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【資料1】ルイス・キャロル 著 , 細井勉 訳・注 , Carroll, Lewis, 1832-1898 , 細井, 勉, 1937-. ルイス・キャロルのユークリッド論. 日本評論社, 2016.
- キーワード
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- ルイス・キャロル
- チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン(ドッジソン、ドジスン、ダジソン)
- 数学
- 数
- 集合
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 数学 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000253517