レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2001年9月5日
- 登録日時
- 2013/10/30 11:59
- 更新日時
- 2021/01/10 00:30
- 管理番号
- PML20010905-01
- 質問
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解決
ダンテの『神曲』の原題が、1555年で変わったというのは、本当か?
- 回答
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1555年のヴェネツィア版より『神曲(La Divina Commedia)』となる。
それ以前、ダンテ自身は『Commedia』と呼んでいた。
- 回答プロセス
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以下の書籍で調査。
『ブリタニカ国際大百科辞典』
【ダンテ】の項 日本におけるダンテ に、「ダンテ自身は『神曲』を単に「コンメーディア」と呼んでいた。「神々しい」と言う形容詞はボッカチオに由来するが、イタリア語のDivina Commediaという題名は一五五五年のベネチア版で決定されたと言われている…(後略)」。
*2014年再調査*
・今道友信『ダンテ『神曲』講義』p.105~Commediaには「実は、La Divina Commediaの、La Divinaという語がいつつけられたのか、正確にはよくわかっていない。ダンテ自身はこの作品を単にCommediaと呼んでいた。これに、形容詞「神聖な(divina)」をつけたのは、ダンテとは対照的な愛憎の文芸作品を発表していながら、ダンテのこの作品の最初の註釈書の一つを著したボッカッチオだと言われる。一五五五年のヴェネチア版以降、La Divinia Commediaという題名が確定している。
・『ダンテ『神曲』の旅:描かれた地獄・煉獄・天国』所収
佐川美智子「『神曲』の旅のための道案内」には、「…また、『神曲』は原語では「ディヴィナ・コメディア」だが、ダンテ自身は単に「コメディア」と呼んでいた。「ディヴィナ」は「神の」とか「神聖な」という意味である。この言葉が追加されたのは1555年刊行の印刷本のタイトル以来であるとされる。なお、「コメディア」は「喜劇」という意味で理解されるが、この場合は結末がハッピーエンドのもの全般を指して使っている。」
・マリーナ・マリエッティ著,藤谷道夫訳『ダンテ』
p.130~ Ⅲ「神曲」(La Divina Commedia)《聖なる詩》に、「十六世紀から用いられるようになった《神曲》(神聖なる喜劇)という表題は、ダンテの最も名高い伝記作者でもあるポッカチョがこの詩に冠した形容詞「神聖な(ディヴィーナ)」を受け継いだものである。」とあり、註として「もっと正確にいえば、ルドヴィゴ・ドルチェによって準備され、ガブリエーレ・ジョリートによって印刷された一五五五年のヴェネツィア版から「神聖な(ディヴィーナ)」が冠されたが、この表題はボッカッチョからというよりもクラウディオ・トロメイの『チェザーノ』からドルチェが取ってきた公算が大きいとされる。いずれにせよ、それ以前は『幻想』、『夢』、『喜劇』、『三韻句詩』、『地獄、浄罪、天国』などといったさまざまな表題で呼ばれていた。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩 (971 9版)
- 参考資料
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ブリタニカ国際大百科辞典 〔別巻3〕 第5版. ティビーエス・ブリタニカ, 1994.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I017935740-00 -
今道友信 [著]. ダンテ『神曲』講義 改訂普及版. みすず書房, 2004.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007358313-00 , ISBN 4622070928 (S900-I44) -
町田市立国際版画美術館 編. ダンテ『神曲』の旅 : 描かれた地獄・煉獄・天国. 町田市立国際版画美術館, 2004.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007371312-00 (S900-Ma16) -
マリーナ・マリエッティ 著 , 藤谷道夫 訳. ダンテ. 白水社, 1998. (文庫クセジュ)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002681576-00 , ISBN 4560058008 (289.3-D39)
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ブリタニカ国際大百科辞典 〔別巻3〕 第5版. ティビーエス・ブリタニカ, 1994.
- キーワード
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- ダンテ
- 神曲
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 『圧力の美』展図録 p.52に反映
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 当館学芸員
- 登録番号
- 1000139764