レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2023年07月27日
- 登録日時
- 2023/07/27 11:59
- 更新日時
- 2024/01/09 09:29
- 管理番号
- 20230727-2
- 質問
-
解決
能楽の秘伝書を出版したために、破門された能役者について知りたい。
- 回答
-
以下の資料が見つかった。能楽師観世流シテ方の木下敬賢(きのしたたいけん)が、「能楽蘊奥集(のうがくおうのうしゅう)」を出版したために、破門されたと記載があった。
<事典類>
・コトバンク
新撰 芸能人物事典 明治~平成 「木下敬賢」の解説 キノシタ ケイケン
https://kotobank.jp/word/%E6%9C%A8%E4%B8%8B%20%E6%95%AC%E8%B3%A2-1671076 (2023/09/20 確認)
生年月日として、嘉永3年1月12日(1850年)、没年月日として、大正5年 8月24日 (1916年)が記載されている。
「能楽シテ方(観世流)(略)明治23年「能楽蘊奥集」6巻を上梓し、観世宗家の忌避にふれて破門される。」
・ジャパンナレッジ
「木下敬賢」(1850(嘉永3)・1・12‐1916(大正5)・8・24)
「シテ方観世流木下家の三代。名古屋生れ。(略)」初代、二代正三郎について記載あり。
「九〇年(明治二三)『能楽蘊奥(うんのう)集』六巻を上梓、秘すべき型付などを公刊したことから観世宗家の忌避にふれて破門されるが、のち許されて帰参し、観世の職分として二三世宗家清廉(きよかど)をたすけて活躍した。(略)」
"きのしたけいけん【木下敬賢】[人名]", 新版 能・狂言事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com ,(2023/09/20 確認)
<図書>
能楽蘊奥集 木下, 敬賢 吉田謠曲書店 1913 訂正増補
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA35971098?l=ja (2023/09/20 確認)
能樂蘊奥集 木下, 敬賢 木下敬賢 1890
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA55255616?l=ja(2023/09/20 確認)
<国立国会図書館デジタルコレクション>
木下敬賢 著『能楽蘊奥集』巻1,吉田謡曲書店,大正2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/926569 (2023/09/20 確認)
<論文・記事>
尾本頼彦「研究ノート 木下敬賢の略伝と彼の秘蔵した能楽伝書」東海能楽研究会年報 1巻 p.2-3
https://48462716-2cd3-41d8-a337-6b09f2cf4ed4.usrfiles.com/ugd/484627_cfde57673fe04dbc86b7709e38223094.pdf (2023/09/20 確認)
※木下敬賢の略歴と、所有した能楽伝書類が解説されている。木下の没後は、大槻十三に渡り、大槻家の保存となったことが記載されている。
※出版と破門の関係について通説となっているが、直接出版との関係が不明であることを指摘している。
p.2「明治二十四年二月二日付の清廉より名古屋の西村敬光等九名の能楽師に宛てた破門状が残っている。理由は『流儀に対し甚だ不都合なことをした』というだけで直接この出版と関係があるのかどうかは不明である」
東海能楽研究会
https://sites.google.com/site/tokainohken9kai/ (2023/09/20 確認)
東海能楽研究会 年報
https://tokainohken9.wixsite.com/hannya/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E8%83%BD%E6%A5%BD%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A-%E5%B9%B4%E5%A0%B1 (2023/09/20 確認)
※各年次全ページ公開されており、全文にアクセスできる。
<新聞記事>
ヨミダス歴史館
読売新聞 1891.02.08 朝刊4面 [広告]「能楽薀奥集」
「全六冊正価四圓廿銭二百部」とあり。
「内外別能翁士気大小習一切型付装束其他百般の傳秘訣を詳悉し体格原則及び道成寺の類は悉図解を示すを本書行動くの諸君不審あらば此書携帯あれ懇篤に説明す」と記載されていた。
<「能樂蘊奧集」についての言及>
観世左近「流儀の定め」青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/cards/000938/files/56573_70472.html (2023/07/27 確認)
初出「文藝春秋 第十三年第一號(新年特別號)」文藝春秋社 1935(昭和10)年1月1日発行
観世左近(1895―1939)は、観世流24世宗家で、「いま坊間に流布して居る「能樂蘊奧集」なるものは實は此の片山幽室の型附なのである。」と記載があり、こののち、木下敬賢を破門としたとされる。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 能楽.狂言 (773)
- 参考資料
- キーワード
-
- 能楽蘊奥集
- 木下敬賢
- きのしたたいけん
- 観世左近
- 破門
- 能楽師
- 観世流
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査 所蔵調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000336343