レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019/06/10
- 登録日時
- 2020/04/15 12:25
- 更新日時
- 2021/03/02 09:20
- 管理番号
- 関大総図 19Q-5
- 質問
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解決
インターネットで以下の記述を見た。
「人類学では、身長160 cmから169 cmまでを「中身長」とし、
150 cmから159 cmは「低身長」、150 cm未満は「超低身長」と言い、
170 cmから179 cmは「高身長」、180 cm以上は「超高身長」とする。」
この定義を引用するために、何か根拠にできる文献はあるか?
- 回答
-
インターネット上の文章は、こちらの資料から取られています。
『人種とは何か』 寺田和夫著(岩波新書 ; 青-658)
所蔵がありますので、ご覧ください。
また、『世界大百科事典』14巻p.411の「身長」の項目にもこの定義をまとめた表が掲載されています。
なお『人類学・先史学講座. 第一卷』「第二章 身長」(p.8-10)に記載されている通り、
この定義はドイツのRudolf Martinによって提唱されたものです。
資料は「国立国会図書館デジタル化資料送信サービス」で閲覧いただけます。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1872970 【最終アクセス2020/04/17】
またMartinの原書はハイデルベルク大学のデジタルライブラリーで公開されていました。
Martin, Rudolf 『Lehrbuch der Anthropologie in systematischer Darstellung』
https://doi.org/10.11588/diglit.37612#0230 【最終アクセス2020/04/17】
p.208にこの記述の根拠となる表が掲載されています(本文はドイツ語)。
この身長の基準は男女で数値が異なります。
インターネットで見かけられた文章は男性の基準についての記述です。
女性にあてはめないよう、ご注意ください。
引用する際は『人種とは何か』や『世界大百科事典』を根拠とすることは可能ですが、
最初の提唱者がRudolf Martinであることは押さえておいてください。
- 回答プロセス
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①インターネット上で見かけた記述を探す。いくつかの質問系サイトでこの定義を見かける。
Wikipediaの「身長>概念」に書かれていたものが根拠になっているよう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BA%AB%E9%95%B7 【最終アクセス2020/04/17】
②Wikipediaの文章の典拠が岩波新書の『人種とは何か』であり、
その「身長」の項目に同じ文章があった。
③辞書・事典類にまとまった記載がないか、ジャパンナレッジとコトバンクを検索。
コトバンクから『世界大百科事典』の「身長」の項目がヒットしたため、
この分類についての記述が載っていないか冊子体で確認。
「身長」の項目(p.411)で表を確認した。
④Googleブックスでヒットした『人類学・先史学講座. 第一卷』(デジタル送信サービス 書誌ID:000001075264)などから、この身長分類を提唱したのはMartinという人物とわかる。
⑤”Martin 人類学”でGoogle検索。「人類学教科書. (LehrbuchderAnthropologie)」の著者Martin, Rudolf の事ではないかと予想を付ける。
⑥ハイデルベルク大学のデジタルライブラリーで『LehrbuchderAnthropologie』がデジタル公開されていたため、「超低身長」を意味すると担当者が予想した”sehr klein”をキーワードに全文検索。p.208に元の表が掲載されていることを確認した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 人類学 (469)
- 参考資料
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- 寺田和夫著. 人種とは何か. 岩波書店, 1967. (岩波新書 ; 青-658) (当館請求記号 *469*TE43*1, 当館資料番号 003108759)
- 世界大百科事典 14 ショオ-スキ [2007年] 改訂新版. 平凡社, 2007. , ISBN 9784582034004 (当館請求記号 N8R*031*7*14, 当館資料番号 210526025)
- キーワード
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- 人類学
- 身長
- Martin, Rudolf, 1864-1925
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- クイックレファレンス
- 内容種別
- 質問者区分
- 学部生
- 登録番号
- 1000280611