レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年09月16日
- 登録日時
- 2023/02/17 12:47
- 更新日時
- 2023/04/15 12:53
- 管理番号
- 関大総図 22N-17S
- 質問
-
解決
「興福寺僧浄英書寫大般若経奧書」の所蔵機関を知りたい。
出典:『史料綜覧』巻7, p. 610
- 回答
-
※本回答中Webサイトの最終アクセス日は、全て2023年2月24日です
結論から申しますと、奥書(奥跋)に「大法師 浄英」と記載されている大般若経の巻291が、
一般財団法人律宗戒学院に所蔵されていることが分かりました。
それ以外の巻の所蔵機関は見つかりませんでしたが、『春日神社西之屋大般若経奥書』という
資料が見つかりました。
詳細は不明ですが、本文中に「浄英」と読める名前が記載されていましたので、
ご紹介します。
東京大学史料編纂所データベース『春日神社西之屋大般若経奥書』
https://clioimg.hi.u-tokyo.ac.jp/viewer/view/idata/200/2017/11/0000?m=all&n=20
以下、詳細についてです。
①律宗戒学院所蔵資料について
『日本古寫經現存目録』(*1)を確認したところ、奥書(奥跋)に
「正長二年己酉正月廿七日」、「奉寄進 春日社論講屋 大法師 浄英」と
記載のある「大般若経 巻二百九十一」が掲載されておりました(同書p.335)。
こちらの資料は「律宗戒学院蔵」となっていたため、
同院に確認したところ、現在も所蔵されているとのことでした。
ただし、巻291以外については、所蔵されていないとのことです。
こちらの奥書(奥跋)については、上記『日本古寫經現存目録』p.335に
掲載されているので、そちらで内容を確認できます。
②『春日神社西之屋大般若経奥書』について
日本古典籍総合目録データベースで検索したところ、
「春日社西之屋/大般若経奥書」という資料がヒットしました。
日本古典籍総合目録データベース『春日社西之屋/大般若経奥書』
http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_2199851
※本回答冒頭のURLより画像を閲覧可
「浄英」と読める名前が本文中に確認でき、上記①のとおり、
巻291の奥書に「奉寄進 春日社論講屋」と記載されていましたので、
ご紹介します。
「春日神社西之屋」につきましては、奈良新聞デジタルの記事(*2)によりますと、
「経蔵(経典を納める蔵)」があったとのことです。
春日大社に、お探しの資料が所蔵されていないか確認を依頼しましたが、
春日大社国宝殿の方より、所蔵されていない旨ご連絡いただきました。
回答は以上です。
今回の調査で、大般若経の写本は、上記でご紹介したもの以外にも多数見つかりました。
しかし、全てのものについて浄英書写のものであるか調査することは不可能であるため、
年代や所蔵機関の情報を元に、お探しの資料である可能性が高いと思われたもののみ
確認しております。
*1 田中塊堂[編] (1973)『日本古寫經現存目録』
*2 奈良新聞デジタル「万葉植物園に移築 - 奈良公園内の重文 円窓亭 鎌倉時代の
貴重な板倉/有効活用目指し県 一般公開など検討」(2019.03.05)
URL:https://www.nara-np.co.jp/news/20190305100631.html
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 経典 (183)
- 参考資料
-
- 田中塊堂[編]. 日本古寫經現存目録. 思文閣, 1973. (当館請求記号 R0*183.031*T4*1, 当館資料番号 200409166)
- キーワード
-
- 大般若波羅蜜多経
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 所蔵調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 大学院生
- 登録番号
- 1000329085